こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
当記事では、ジェンダーハラスメントについて徹底解説します。この記事を読めばジェンダーハラスメントに対して認識が高まり、なぜ企業での対策が必要なのかを理解できます。ジェンダーハラスメント対策は、今後企業に求められる重要課題の1つです。目を通して対策への取り組みに役立ててください。
そもそもハラスメントとは
ハラスメントとは、相手に精神的・身体的な苦痛を与える行為です。「嫌がらせ」や「いじめ」など、相手への迷惑行為全般が該当します。
ハラスメントはPTSD等の深刻な後遺症が残ることもある危険行為です。そのため、法律では人格権侵害の不当行為とされ、加害者・行為者とその雇用主には下記の法的責任が課せられます。
加害者・行為者 | 雇用主 |
・損害賠償義務 ・侮辱罪など | ・安全配慮義務違反 ・使用者責任など |
また、裁判に発展する可能性があることも覚えておきましょう。
ジェンダーハラスメントの意味
ハラスメントには複数種ありますが、その1つがジェンダーハラスメントです。ジェンダーハラスメントは「男性はこう」、「女性はこう」といった、社会的な固定観念や役割分担意識が生んだ「社会的性別」に基づくハラスメントを意味します。
「体力がある男性は営業」、「そうでない女性は事務職」といった、性別による決めつけがジェンダーハラスメントです。
ジェンダーハラスメントとセクシャルハラスメントの違い
ジェンダーハラスメントとセクシャルハラスメントは、下記のようにハラスメントの内容が全く異なります。
ジェンダーハラスメント | 性別に対する社会的な固定観念や役割分担意識を原因とする発現や行動 |
セクシャルハラスメント | 異性に対する性的な発言や行動 |
どちらも性別を問わず加害者・被害者になり得る点は変わりませんが、この違いはよく理解しておきましょう。
ジェンダーハラスメントを受けたことがある人の割合
ジェンダーハラスメントはまだまだ認知度の低いハラスメントですが、被害にあった人は意外にも少なくありません。
「男性・女性だからこうするべき」といったことを言われたり、強制されたりした経験はあるかという質問への回答結果は下記のとおりです。
よくある | 12.8% | 30.4% |
たまにある | 17.6% | |
あまりない | 38.7% | 69.6% |
全くない | 30.9% |
出典:2021年2月ワークポート調べ
「よくある」「たまにある」と回答した男女の合計値は30%にも上ります。
ジェンダーハラスメントによる企業への影響
ジェンダーハラスメントによる企業への影響は、事業主としても無視できません。悪影響ばかりだからです。従業員へのジェンダーハラスメントによる影響が、直接企業へ悪影響を及ぼしかねない問題に発展します。
業務の生産性が低下する
ジェンダーハラスメントによる身体的・精神的被害は下記に直結するため、業務の生産性を低下させる原因につながります。
- モチベーションの低下:職務意欲
- エンゲージメントの低下:企業と従業員の関係性
モチベーション低下はやる気を、エンゲージメントの低下は企業に対する愛着や貢献意志を削ぐため、業務の生産性低下は避けられません。また、ハラスメント被害が発生すれば、対応担当者は通常業務を離れ、生産性のない対応業務に時間を割くことになるため二重苦となるでしょう。
離職率が増加する
ジェンダーハラスメントの発生は、従業員の離職率を増加させる恐れがあります。その原因はジェンダーハラスメントによる身体的・精神的ダメージによるものです。
身体的・精神的ダメージが募れば出社意欲がなくなり、場合によっては出社できない状態に追い込まれるでしょう。
そうなればエンゲージメントの低下を招き、自社に居続ける意味を見いだせなくなってしまいます。自分を守るために転職を考える人も出てくるといった具合です。
世間から見た企業イメージが損なわれる
ジェンダーハラスメントが発生すると、確実に企業イメージの低下を招くでしょう。現在はインターネットの発達で情報伝達スピードが向上しています。しかも、インターネット上には個人の意見を交わせる場に不自由しません。あっという間に情報が広まり、残った記事や口コミで長い間ひと目にさらされます。
簡単に企業イメージの回復はできないでしょう。企業イメージの低下は売上減少や優良人材の雇用阻害に直結するので、発生防止は重要な課題となるでしょう。
法的リスクを負う危険がある
ジェンダーハラスメントによる被害は、企業に法的リスクを生じさせる危険があります。
裁判沙汰に発展するケースもあり、下記のような裁決が下った判例も見られます。
- ハラスメントの訴え放置による、安全配慮義務違反に基づく損害賠償義務違反の裁定
- ハラスメント行為は不認定だが使用者責任や職場環境配慮義務、安全配慮義務違反の裁定
法的責任を負うのは、加害者だけではない点を肝に銘じておきましょう。
ジェンダーハラスメントの対策だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
ジェンダーハラスメントにより被る企業の悪影響を考慮すれば、発生防止の対策は不可欠な課題と言えるでしょう。企業力の低下を招かないように、迅速な取り組み着手が必要でしょう。そのジェンダーハラスメント対策におすすめなのが、タレントマネジメントの導入です。
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企業で起こるジェンダーハラスメントの具体例5選
ジェンダーハラスメント対策に取り組むなら、まずはどんなことがジェンダーハラスメントに当たるのかを知っておくべきでしょう。
1.性別により役割を区別される
企業において「男だから」「女だから」といった社会的性別による役割の区別は、ジェンダーハラスメントです。下記のような言動は、すべて社会的性別による役割区別と判断されます。
- お茶くみは女性の仕事だ
- 職場の掃除は女性がやるべきだ
- 飲み会では女性にお酌をして欲しい
- 女性に大事な仕事や役職は任せられない
- 力仕事は男性がやるべきだ
- 体力がある男性は営業職に向いている
2.性別により昇進やキャリアアップに差が出る
性別による昇進やキャリアアップの格差に対する言動も、社会的性別によるジェンダーハラスメントです。このケースは女性に該当するものが多数を占めます。このジェンダーハラスメントに該当する主な言動は下記のとおりです。
- 女性が仕事を頑張る必要はない
- 女性だからキャリアアップの必要はない
- 女性は寿退社するから当てにならない
- 女性上司の下につくのは嫌だ
- 女性は結婚後の転勤ができないから管理職に向かない
- 女性は寿退社や育児休暇の消化があるから昇進できない
3.性別によりプライベートに過干渉される
性別によるプライベートへの過干渉も社会的性別による区分となるため、ジェンダーハラスメントに該当します。これも女性に該当するものが多数を占めますが、下記のように悪意のない何気ない一言ばかりです。
- 早く結構した方がいいよ
- 結婚はまだなの
- 子供はまだできないの
- 仕事より家庭を大事にするといいよ
- 女性は若いうちが花だね
中には悪口や陰口と取れるものも見られますが、大半は男性が女性を気遣って発した一言です。相手の状況や気持ちを考えた上での発言が求められるでしょう。
4.性別により言動や服装を区別される
社会的性別による言動や服装の区別も、ジェンダーハラスメントと判断されます。下記のような発言は、すべてジェンダーハラスメントです。
- もっと女性らしい喋り方をすればいいのに
- なんだ、その女みたいな喋り方は
- 男ならナヨナヨするな
- なんで最近の女性はパンツスタイルが多いんだ
- なんだ、その女みたいな格好は
事実、「男らしさ」「女らしさ」という社会的性別の慣習が根強く残っている中高年には、ハラスメントだと理解しづらい人も少なくないでしょう。
5.LGBTに対する言動や態度に問題がある
ジェンダーハラスメントは男性・女性に限った問題ではありません。LGBTの従業員に社会的性別による区別を押し付け、見た目の性別に沿った言動を求めるのもジェンダーハラスメントです。そのため、LGBT従業員に対する下記のような言動は、すべてジェンダーハラスメントに該当します。
- 気持ちが悪い
- おかしい
- 理解できない
- スカートを履く、体が男性で認識が女性のトランスジェンダー従業員にパンツ着用をすすめる
まずは、社内でLGBT認識を高める取り組みに着手が必要でしょう。
企業でジェンダーハラスメントを起こさないために
企業に悪影響しか及ぼさないジェンダーハラスメントを起こさないためには、企業が徹底した対策を練る必要があります。そこで最後に企業でジェンダーハラスメントを起こさないための対策方法を紹介します。
企業で方針を決め従業員へ周知する
まずは、ジェンダーハラスメントにどう対応するかの企業方針を決定してください。それを従業員に周知させることで、従業員にはジェンダーハラスメントに対する意識改革が生まれます。
ジェンダーハラスメント対策は、企業と従業員が合同で取り組まなければいい結果は望めません。「厚労省ハラスメントパンフレット」にも、ハラスメント対策の責務は企業・従業員双方にあると記されています。通達には下記の方法を実施するといいでしょう。
- 社内報
- 会社パンフレット
- 社内HP
ハラスメントに対する研修を行う
社内でジェンダーハラスメントへの理解を深める研修会の実施も有効です。ジェンダーハラスメントに対する認識度は決して高いとは言えません。研修によりジェンダーハラスメントに該当する言動を周知することで、低い認知度をアップできます。個人の考え方や発言を改められるいい機会になるでしょう。
研修を実施する人は、外部から有識者を招くのも1つの手です。人事担当者等が実施する場合は、ハラスメントに対する深い理解と実務的対応を学ぶようにしてください。
偏見を口にしない努力をする
全従業員の偏見を口にしない努力も、ジェンダーハラスメント発生を防ぐ対策方法の1つです。ジェンダーハラスメントとなる偏見を、無意識に生み出している人も少なくないでしょう。
これは育った環境や経験により個人差があるため、決して非難されるものではありません。しかし、自分自身の偏見を自覚して、口にしない努力をすれば、相手を傷つけることを防げます。
まずは自分の発言が、相手にとって常識的なものかを考えてから発言しましょう。
ハラスメントと感じたら相談する
ジェンダーハラスメントにあった当事者は、早い段階で専門窓口等への相談がおすすめです。1人で問題を抱えたままでは精神的・身体的ダメージが蓄積し、うつ病等の発症や退職につながる可能性もあります。
早期相談を徹底すれば迅速に問題解決ができ、従業員・企業共に甚大なリスク発生から免れるでしょう。
早期相談を可能にするためにも、社内の相談窓口設置は欠かせません。素早く問題解決に向けて対応できるため、ハラスメント被害を最小限に抑えることが可能です。
まとめ
今後ジェンダーハラスメント対策は、企業にとって欠かせない課題です。従業員と企業が共にウィンウィンの関係性が築ける職場環境作りにも大きな効果を生むでしょう。
また、ジェンダーハラスメント対策で好結果を得るには、分析結果から経営や人事課題を解決するための根拠のある施策が打てるタレントパレットの併用がおすすめです。
企業力を高めるためにも、両者の導入を検討してみてはいかがですか。