フリーアドレスオフィスのメリットは?デメリットや導入事例も解説


フリーアドレスオフィスのメリットは?デメリットや導入事例も解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

フリーアドレスオフィスは、従業員の席が固定されていないため、その日の業務内容やスケジュールに合わせて自由に席を選べるのが特徴です。コミュニケーションの促進や働き方改革の推進など企業にも従業員にもメリットがある制度であり、採用する企業は今後も増えるでしょう。

本記事では、フリーアドレス導入によるメリットやデメリットを解説するほか、成功事例も紹介します。フリーアドレス化を検討している企業の皆さんにとって参考になる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

フリーアドレスオフィスが広まった背景

オフィスをフリーアドレス化する動きが近年拡大しています。森ビルが2022年に実施した「東京23区オフィスニーズに関する調査」によると、フリーアドレスを「既に導入している企業」は40%で、前年比8ポイントの増加です。3年前の2019年調査(19%)から倍増しています。

フリーアドレス導入拡大が続く背景の一つは働く環境の変化です。かつて固定電話や紙の書類が当たり前だった職場の風景は、IT技術の進展で一変しています。

スマホやノートパソコンが普及して固定電話が減り、紙の書類はオンラインデータで管理できるようになりました。席を固定する必要性が薄れてきたのです。

政府が働き方改革を推進していることも要因の一つで、働く場所と時間を柔軟に選べるリモートワークを採用する企業の増加も、フリーアドレス導入を後押ししています。

さらに、2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大により、人と人との接触を避けるよう求められたことも大きなきっかけとなりました。

「フリーアドレス」については、こちらの記事をご確認ください。

フリーアドレス導入のメリット



フリーアドレスオフィスのメリットを解説します。自社に導入する利点を理解した上で運用すれば、効果的に生産性向上につなげられるでしょう。

デスクや椅子の削減でスペース効率が向上する

フリーアドレス導入のメリットの一つは、オフィスのスペース効率の向上です。フリーアドレスオフィスでは、従業員の席を固定しないため、従来は個別に用意していたデスクや椅子、収納家具などのスペースを削減できます。営業職が多い職場など在席率が低い場合は特に有効でしょう。

必要最小限のデスクや椅子の配置により、空いたスペースを有効活用できます。新たな業務の作業スペースやリラックススペースなどを設けることで、生産性向上や働く環境の改善を図れるほか、外部に貸し出して家賃収入を得ることも可能になります。

コミュニケーションを促進できる

オフィス内のコミュニケーションを促進できることも、フリーアドレスを導入するメリットになります。従来のオフィスでは、同じ部署の人とのコミュニケーションが中心になりがちでした。しかし、席が決まっていないフリーアドレスオフィスでは、他部署の従業員とも自然に交流が生まれます。

普段は接する機会が少ない人と近くに座り、雑談を交わしたりする中で、新しい情報に触れるチャンスが増えるでしょう。これにより、新たなアイデアや共同企画など、ビジネスチャンスを生み出す効果が期待できます。

従業員の働き方改革が進む

フリーアドレス導入のメリットとして、働き方改革を進められることも挙げられます。働き方改革は、従業員一人ひとりの事情に応じて、時間や場所に縛られず多様な働き方を選択できるようにしようという考え方です。

座席を固定しないフリーアドレス導入には、オンラインを活用したリモートワークの促進が不可欠です。育児や介護など家庭の事情で出社が難しい 状況にある従業員が、自宅など社外にいながら働ける環境の整備にもつながるでしょう。

リモートワークは働く時間にも柔軟性をもたらし、従業員がプライベートと仕事のバランスを取りやすくなります。企業としても労働力の確保が期待できる取り組みです。

コスト削減につながる

コスト削減につながることもフリーアドレス導入のメリットです。従業員の固定席を設けないフリーアドレスオフィスでは、人数分のデスクや椅子をそろえる必要がなくなります。営業で外出が多い従業員の数などを考慮して座席の数や配置を決めるためです。

デスクや椅子を確保するコストが軽減される上、配置スペースも減らせることからオフィス面積の縮小、賃料や光熱費の削減につながります。ペーパーレス化も進み、コピー用紙などの消耗品費も抑えられるでしょう。

オフィスの環境美化が進む

オフィスから物が減り、環境美化が進む点もフリーアドレスのメリットです。フリーアドレス導入に際し、資料のペーパーレス化は欠かせない取り組みです。従業員の席を固定しないフリーアドレスでは資料を持ち運ぶ手間が増えるため、ペーパーレス化を進める大きなきっかけになるでしょう。

書類やファイルの管理をデジタル化することで文房具も減らせるため、事務スペースをすっきりと整えられます。

組織改編にも対応しやすい

フリーアドレスには組織改編にも対応しやすいという特徴があります。社会経済情勢の変化などに応じて事業を円滑に進めるには、柔軟に組織の姿を変えていくことも大切です。

フリーアドレスオフィスでは席が固定されていないため、組織変更のたびにレイアウトを見直す必要がありません。組織改編などでチームの人数が増減しても、デスクや椅子の増減は不要です。

座席配置の変更や、デスクや椅子の処分などに要していた時間や労力を減らせることがメリットとなります。

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フリーアドレス導入のデメリット



次に、フリーアドレスをオフィスに導入するデメリットを解説します。組織によってはデメリットがメリットを上回り、生産性が低下してしまう可能性もあるのでぜひ参考にしてください。

部署内のコミュニケーションが減る

フリーアドレス導入のデメリットの一つとして、同じ部署内のコミュニケーションが減る可能性が指摘されます。従業員が自由に席を選べるため他部署の人々と交流する機会が増える半面、従来は席が近くにあった同じ部署の同僚とのコミュニケーションが減る可能性があるのです。

チーム内の情報伝達の遅れによるプロジェクトの停滞、あるいは、部下を指導しにくくなることによる人材教育への弊害などが想定されます。チームの一体感が希薄になる点も懸念材料です。フリーアドレスは、常に決まったメンバーで業務を行うことが多い組織には向かない可能性もあります。

居場所を把握しにくい

オフィスの座席が自由ということは、部下や同僚の居場所を把握しにくくなることにもつながります。懸念されるのは、業務の進捗確認などの情報共有や意見交換、指示の伝達など、円滑なコミュニケーションが妨げられることです。

上司が部下の状況や様子を把握しづらくなり、適切なフォローやサポートが難しくなるケースもあります。電話の取り次ぎや来客時の連絡などにも不便が生じるでしょう。

従業員の居場所を把握できるオンラインツールの導入や、チャットアプリなどコミュニケーションツールの活用により、チーム内の連絡を円滑に行えるよう工夫することが重要です。

業務に集中しにくい

フリーアドレス導入のデメリットには、業務に集中しにくくなる点も挙げられます。フリーアドレスオフィスでは従業員が自由に席を選べるため、作業スペース周辺で人の往来が増えがちです。静かな作業環境を確保できず、落ち着いて仕事ができなくなる可能性もあるでしょう。

集中できる静かな環境やプライバシーを確保するためにも、レイアウトには工夫が必要です。周囲と仕切られたパーソナルスペースを設ける、会話を抑制した静かな共有スペースを設置するなどの配慮が必要になります。

資料や荷物の管理が難しくなる

フリーアドレスオフィスのデメリットとして、資料や荷物の管理が難しくなることも挙げられます。フリーアドレスでは従業員が専用の引き出しや収納スペースのある固定席を持たないため、資料や荷物を頻繁に持ち運ぶ必要があるからです。

生産性を高めるはずのフリーアドレス導入により、重要書類の紛失や情報流出が発生しては本末転倒です。フリーアドレスを導入する際は個別ロッカーの設置や、ペーパーレス化の促進なども欠かせません。

席の取り合いになる

フリーアドレスを導入すると、従業員の間で席の取り合いが発生する懸念もあります。フリーアドレスオフィスでは従業員が自由に席を選べるため、景色の良い窓際や静かな場所、気の合う同僚の近くなど、限られた席に人気が集中してしまうケースがあるためです。

チームで集まって作業する必要がある際に、適当なスペースが見つからず、別々の場所で作業することになり生産性が落ちてしまう可能性もあります。座席探しに時間を費やすことにもなりかねません。

フリーアドレス導入前に必要な座席数を精査することや、予約システム導入など使用ルールを熟慮することが重要です。社内でアンケートを実施するなどして、従業員が好む座席をできるだけ多く設置するようなレイアウトの工夫も求められます。

「フリーアドレス失敗」については、こちらの記事をご確認ください。

フリーアドレスオフィスの成功事例

フリーアドレスオフィスの成功事例を二つ紹介します。働き方やオフィス環境の改善により、組織全体のパフォーマンスを向上させた事例として参考にしてください。

一つ目は菓子メーカーのカルビーの事例です。2009年にフリーアドレスを導入したカルビーでは、個人ロッカーの収容量を小さくしたり、打ち合わせを減らしたりすることで紙の資料削減を実現しました。

同社は、仕切り付きの席、他人との接触を一切断って仕事に集中できる席、4人掛けの席など、業務内容によって選択できるスペースを用意。役員もフリーアドレスとなっており、部門や役職を越えて人間関係を築ける環境が整備されています。

二つ目の例は食品会社のキユーピーです。同社は、東京・調布の工場跡地に新設したオフィスに、フリーアドレスを導入しています。資材調達、生産管理、総務など5つの部署の交流が活発化することで、業務改善や商品開発が促進されました。

「フリーアドレスオフィス事例」については、こちらの記事をご確認ください。

まとめ

フリーアドレスオフィスには多くのメリットがある一方、組織によってはデメリットとなる可能性もあるため、特性をしっかり理解することが重要です。

導入目的を見定め、企業や従業員の考え方、業務内容などを考慮し、実態に即したフリーアドレス化を検討してください。

フリーアドレスでは固定席を用意しないこともあり、人材管理はオンラインの活用が基本となるでしょう。あらゆるシステムのデータを統合して分析できるタレントパレットなら、適切な人材管理が可能です。従業員データを直感的に分析・比較し、人材育成や配置、採用強化などの戦略的な人事に活用できるタレントパレットの利用をぜひご検討ください。

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