人事考課(人事評価)のフィードバックの重要性とは?適切な伝え方や注意点を解説


人事考課(人事評価)のフィードバックの重要性とは?適切な伝え方や注意点を解説

人事考課においては、適切なフィードバックを行う必要があります。この記事では、人事考課のフィードバックのやり方を知りたい人に向けて、適切なフィードバック方法や注意点を解説します。人事考課のメリットを最大限に活かすために、ぜひ参考にしてください。

人事考課における適切なフィードバックとは?

ここでは、人事考課においてどのようなフィードバックが適切なのか解説します。

事前に設定した目標と照らし合わせる

事前に設定していた目標と照らしあわせ、達成度を考慮しながらフィードバックすることが大切です。適切にフィードバックするには、目標の内容を社員やチームの状況にあわせて設定しておく必要があります。評価期間の途中で状況が変化したときは、目標も適宜修正しましょう。

具体的な指摘をする

フィードバックでは、社員の具体的な行動に対する明確な指摘が必要です。そのためには、対象となる社員の行動を細かく観察しておかなければなりません。客観的な根拠を示したうえで指摘しましょう。

実現の可能性があるアクションプランを提案する

フィードバックは、実現の可能性がある内容にすることも重要です。実現できそうにないアドバイスをした場合、社員が目標を達成できる可能性も低くなります。モチベーションの低下につながる恐れもあるため、注意が必要です。

できるだけタイムリーなフィードバック

フィードバックは、なるべくリアルタイムで行いましょう。時間が経過してからフィードバックすると、社員は具体的にどのような行動をしたか忘れる可能性があります。その場合、フィードバックをしても効果が薄くなってしまいます。

フィードバック面談を行う理由とは?

ここでは、フィードバックのために面談を行う理由を4つ解説します。

人事考課の共有ができる

フィードバックを行えば客観的な評価を共有できるため、社員の自己評価とのギャップも明らかにできます。また、社員が評価を詳しく把握できるようになれば、納得感も得やすくなるでしょう。

問題の認識や解決方法を共有できる

フィードバックのなかで課題をしっかり認識させれば、社員も自発的に解決方法を考えられるようになります。社員だけで解決方法を考えるのが難しい内容なら、フィードバックの際に解決方法を提案しましょう。そのようにすれば、社員がよりスムーズに問題を解決できるようになります。

従業員のモチベーションの向上が期待できる

人事考課のフィードバックでは、過去の振り返りだけでなく将来的な目標についても確認できます。今後の目標が明確になると、社員自身のモチベーションの向上も期待できるでしょう。

生産性の向上にもつながる

評価をフィードバックすると、社員は何を求められているのか理解しやすくなります。会社のためにどのような行動をすべきかわかりやすくなり、長期的な生産性の向上も期待できるのがポイントです。

フィードバック面談のメリット・デメリットを確認

フィードバック面談には、メリットとデメリットの両方があります。ここでは、それぞれについて解説します。

フィードバック面談のメリット

メリット1:人事育成のサポートができる

人事考課のフィードバックを行ったうえで研修を実施すれば、人材育成につなげられます。研修は社員のレベルにあわせて行うことが大切です。また、課題解決のためにはどのような教育が必要であるかについて、上司と社員が一緒に考える機会をもつことも効果的です。

メリット2:従業員のスキルを把握できる

フィードバックを通して社員がもっているスキルを把握できれば、成長のためのサポートもよりスムーズに行えます。スキルを評価して給与や待遇などに反映させると、社員のモチベーションも高められるでしょう。

メリット3:コミュニケーションが取れる

フィードバックのために面談の機会を設けると、社員と上司のコミュニケーションを活性化させられます。じっくり話せるようにすれば、信頼関係を深めることも可能です。社員から上司への相談や提案がしやすい環境を整備できます。

フィードバック面談のデメリット

デメリット1:手間がかかる

フィードバック面談を実施するには、前提として人事考課の基準を設けなければなりません。そのため、制度を構築する手間がかかります。スムーズに人事考課のための制度を整備するには、人事考課に精通している人を雇用したり、外部の専門家に依頼したりするとスムーズです。また、人事考課システムを導入するという方法もあります。

デメリット2:人事考課のノウハウが必要

人事考課の基準は、客観的に見て平等なものにする必要があります。そのためには、人事考課についてのノウハウが必要不可欠です。知識がないなかで適当に基準を定めると、不満を抱く社員が出る可能性があります。人事考課に精通している人物に頼ったり、人事考課システムを導入したりして対策することが大切です。

デメリット3:人事考課が低い人は不満を持つ可能性がある

人事考課の基準を設定して評価すれば、高い評価がつく人もいれば低い評価になる人もいます。特に自己評価と人事考課の結果に大きなギャップがある社員は、不満を持ちやすいです。

そのような社員に対してはフィードバックにおいて評価の根拠を示し、具体的な改善点をアドバイスが必要になります。また、社員のモチベーションを下げないためには、伝え方にも工夫するべきでしょう。

デメリット4:評価につながる仕事しかしない従業員が出る可能性がある

評価されにくい仕事があると、その仕事を任せられるのを嫌がる社員が出てくる恐れがあります。また、評価されない仕事を担当する社員が不満を持つ可能性も高まります。このような状況を作り出さないためには、評価が偏らないようにしなければなりません。

たとえば、上司だけでなく同僚を含む多数の人が評価する360度評価を導入するのもひとつの方法です。また、普段の業務上の行動をもとにするコンピテンシー評価もあります。

フィードバックの前に準備すべきことは?

スムーズにフィードバック面談を実施するには事前の準備が必要です。ここでは、具体的な準備について解説します。

従業員が回答しやすい材料を集める

フィードバックを行う際は、あらかじめ社員の業績や過去の行動を確認しておきましょう。社員に関する十分な情報を集めておけば、アドバイスがしやすくなります。また、社員も質問されたことに回答しやすくなります。

面談の場所や時間を確保する

確実に面談を実施するには、場所や時間を早めに確保しておくことも大切です。話している内容を他の社員に聞かれないような場所を確保すると、社員も本音を話しやすくなります。また、時間については社員の予定を考慮しましょう。参加しにくい時間に面談を設定した場合、社員は会社から配慮されていないと感じる可能性もあります。

フィードバック面談当日の手順を解説

ここでは、フィードバック面談を行う当日の流れについて解説します。

アイスブレイク

フィードバック面談ではいきなり本題に入るのではなく、アイスブレイクから始めましょう。何気ない世間話をするだけでも、社員の緊張感を和らげられます。

従業員から自己評価を報告してもらう

社員の自己評価について報告を受けるときは、相槌を打って話しやすい雰囲気を心がけてください。また、何か気になることがあっても、途中で報告を遮らないようにすることが大切です。確認したいことがあるなら、報告をすべて聞き終えたうえで質問しましょう。

人事考課を伝える

最終的な人事考課の結果を明確に伝えます。マイナスの評価を伝える場合は、あわせて根拠も伝えましょう。具体的なフィードバックの方法は後述するので、そちらを参考にしてください。

課題を解決する方法を共有する

課題がある場合、解決策は社員に自発的に考えさせることが大切です。評価者はあくまでもサポートする立場であるため、社員自身が主体的に行動できるよう促す必要があります。

フィードバックをまとめる

フィードバックした評価結果をまとめたうえで、次回の評価に向けた目標を設定します。モチベーションを高められるようなまとめ方を意識し、社員の仕事に対するやる気を刺激しましょう。

人事考課のフィードバックで気を付けるポイントとは?

ここでは、人事考課のフィードバックにおいてどのようなことに気をつける必要があるか解説します。

日ごろからコミュニケーションを取る

日常的に意思疎通を図っておけば、面談時に双方が緊張せず話しやすくなります。些細なことですが、何か問題があるときでも打ち明けやすい雰囲気につながります。目標をクリアできない可能性がある場合は、声をかけてフォローすることも大切です。

伝え方を工夫する

マイナスな評価をストレートに伝えると、社員のモチベーションも下がってしまいます。いい部分についてはしっかり褒めつつ、悪い部分があればどのように改善すべきか具体的に提案しながら伝えましょう。

人事考課の根拠をきちんと話す

改善点を指摘するときは、必ず評価の根拠を示してください。社員が評価に納得できるよう配慮する必要があります。社員の自己評価と人事考課の結果にギャップがある場合は、理由を明確にしたうえでフォローしましょう。

面談中の態度に気を付ける

社員に対する評価がどのような内容だとしても、高圧的な態度をとらないようにしましょう。高圧的な態度では社員が不安を持つ恐れがあるため、話しやすい穏やかな雰囲気を意識することが大切です。そのためには、普段から社員の心理的安定性を高めることを意識する必要があります。心理的安定性とは、不安や恐怖を感じず相手に意見を伝えられる状態です。

たとえば、日頃からコミュニケーションをとったり、フォローしたりすることが重要です。加えて、それぞれの社員に適した目標を与えましょう。

フィードバックの手法は全部で3種類

フィードバックの手法としては、サンドイッチ型、ペンドルトンルール、SBI型の3種類があります。以下では、それぞれの特徴について具体的に解説します。

サンドイッチ型

いい部分を伝えてから悪い部分を伝え、再び良い部分を伝える手法です。良い部分に対する印象が強まるため、社員のモチベーションを低下させにくくなります。ただし、改善点が伝わりにくくなる恐れもあるので、注意が必要です。

ペンドルトンルール

社員の自己評価や目標設定をもとにし、今後の計画を立てる手法です。社員の主体性を引き出せるのが特徴です。ただし、フィードバックの回数が多いため、時間がかかります。

SBI型

状況、行動、影響の順でフィードバックを行う手法です。フィードバックの内容が具体的に伝わるため、認識を共有しやすくなります。ただし仕事ぶりを細かく追求するため、ネガティブな内容だと社員のモチベーションが下がる恐れもあります。

まとめ

人事考課のフィードバックにおいては、さまざまなことに配慮する必要があります。社員が評価を前向きに捉えて課題を解決できるようにするには、フィードバックの方法も工夫しましょう。
タレントパレットは、データ活用の視点からシステム設計が行われています。360度評価をはじめとし、さまざまな評価形式に対応しています。評価の高い社員の特徴も分析できるので、ぜひ活用してみてください。