家族手当とは?扶養手当との違いや企業側のメリット・デメリットを解説


家族手当とは?扶養手当との違いや企業側のメリット・デメリットを解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

この記事では家族手当の概要や扶養手当などとの違い、メリットやデメリットについて詳しく解説します。

家族手当の概要や背景、他の手当との違い

家族手当とは、配偶者や子どもがいる従業員に対し、一定額が支給される手当のことです。家族手当の対象になる範囲や支給額などは、勤務する企業によって異なります。

 なお、家族手当はすべての企業が支給しているわけではありません。ここからは、家族手当が普及した背景や支給要件、相場について詳しく解説します。

家族手当が普及した背景とは

家族手当が支給され始めたのは、1939年の賃金臨時制度がきっかけです。国家総動員法に基づいて賃金統制令が公布され、賃金の引き上げが凍結されました。物価の上昇に伴い家族を持つ従業員の生活が厳しくなり、収入が少ない従業員に対して許可されたのが家族手当です。

戦後の高度成長期から核家族化が急速に進み、夫が働き、妻が専業主婦となるライフスタイルが一般的になりました。このような背景で、家族手当は従業員にとって欠かせない手当となり、普及していったのです。

家族手当の支給要件と相場

家族手当を支給する企業によって、支給要件は異なります。2020年の人事院調査によると、家族手当を支給している企業は77.9%と非常に多く、浸透していることがわかります。支給される金額の相場は、約1万7,000円です。

ほとんどのケースで、まず配偶者が家族手当の支給対象となります。次に同居の子どもですが、これについては年齢制限がある、扶養対象外の場合は支給しないなど、制限が設けられているケースが多いようです。

 支給要件は企業によって大きく異なりますので、同業他社の要件を把握してから決定しましょう。支給要件を緩くすると、従業員満足度などにおいて他社との差別化につながるでしょう。

扶養手当、児童手当、子女教育手当との違いとは

家族手当とよく混同されるのが、扶養手当や児童手当、子女教育手当などです。扶養手当は扶養される家族に対して支給される手当で、扶養から外れている家族は同居であっても対象外となります。

児童手当は、同居する子どもに対して支給される手当です。ただし小学校卒業までなど、期間に制限があるのが一般的です。子女教育手当で一般的なのは、家族帯同で海外勤務をしている従業員の子どもが、現地で教育を受けるために必要な資金を援助するというものです。

 子どもの教育費に主眼を置いた手当なので、子どもが働いている場合などは対象外です。家族手当と扶養手当・児童手当・子女教育手当には、上記のような違いがあります。

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家族手当を支給するメリットとデメリット


ここからは、家族手当を支給するメリットやデメリットについて詳しく解説します。メリットは以下のとおりです。

従業員の満足度が高まる

家族がいる社員は独身社員と比べると、どうしても支出が大きくなります。特に子どもがいる場合は、教育費や食費などの負担が重くなりがちです。子どもが小さくて共働きを続けることが難しく、夫婦いずれかがキャリアをあきらめる家庭もあるでしょう。

家族手当があれば、家族を持つ従業員の給与を増やすことで、社員満足度を上げられます。

関連記事:従業員エンゲージメントとは?高めるメリットや取り組みのコツ・成功事例を紹介

賞与や退職金は増えず、コストを抑えられる

家族手当は文字どおり手当なので、基本給が上がるわけではありません。そのため、家族手当で月々の支給額を増やしても、賞与や退職金などに影響しないのは、企業にとってメリットといえるでしょう。

一般的な賞与の査定では、基本給に対する加算率をもとに支給額が決まります。つまり、家族手当を支給される従業員は、支給されない従業員と賞与面の待遇は変わらないのです。

企業側から見ると、従業員の満足度を高めながら、賞与や退職金などの大きな支出は変わらない点もメリットといえるでしょう。

独身社員の不満が高まるリスクを抱える

ここからは、デメリットについて解説します。家族手当は、家族を持つ従業員が対象です。当然ながら、独身社員は家族手当の対象ではありません。

 仕事量は同じでも家族手当がない分給与が少ないため、家族を持つ従業員との賃金格差が広がります。独身者が不公平と感じるリスクを抱える点が、デメリットのひとつです。

家族の状況を把握しないまま支給している

従業員数が多い企業では、人事部門が従業員の情報を正確に把握していないかもしれません。家族を持つ従業員でも数年経つと、例えば別居したり、子どもが独立したりして、同居の支給条件から外れることもあるでしょう。

しかし、要件を満たした状態が続いているのか、人事側が一人ひとりについて確認するのは難しく、家族手当の要件から外れた状態で支給しているおそれがある点もデメリットといえるでしょう。

家族手当の見直しが検討されている理由



近年、企業経営において家族手当を見直す動きがあり、実に3割近くの企業が見直しを検討しています。

家族手当の見直しが検討されている理由について、詳しく解説します。家族手当については以下記事でも詳しく解説していますので、興味がある方はぜひチェックしてください。

「家族手当廃止」については、こちらの記事をご確認ください。

共働き夫婦が増加した

家族手当が支給されるようになった背景には、核家族化が進み、夫が働き、妻が家を守って家事をするライフスタイルが一般的になったことがあります。近年は、女性の社会進出が積極的に進められており、それに伴って共働き世帯が増えています。

そのため、家族手当の意味が薄れてしまっているのが現状です。これが、家族手当の見直しが検討されている理由のひとつです。

独身社員の不満解消

家族手当のデメリットの面でも解説しましたが、家族を持つ従業員と独身の従業員には、同じ条件で働いていても収入の格差が生じます。独身社員の中には、この家族手当を不公平だと感じる人もいます。

特に近年はライフスタイルの多様化によって晩婚化が進み、以前より独身社員が多くなっています。家族手当の支給による不公平感をなくし、独身社員のモチベーションを維持しなければならないことも、見直しを検討している理由のひとつです。

関連記事:ワークライフバランスの概要から考え方、現状、ポイントを解説

まとめ

家族手当の支給要件などは、企業ごとに異なります。同業他社と比較して、家族手当を含む福利厚生の充実度を確認してみましょう。

家族手当はあくまでも手当なので、基本給は上がりません。そのため、賞与や退職金には影響せず、人件費が増えるリスクを抑えられます。

近年は、家族手当の廃止や見直しを検討する企業が増えています。しかし、急に打ち切ったり、見直しによって同業他社よりも福利厚生の条件が悪くなったりすると、従業員のモチベーションや満足度の低下につながります。

家族手当の廃止や見直しにおいては、慎重な検討と適切な人事管理が求められるため、タレントパレットのような人事管理システムの導入・活用をおすすめします。

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