評価エラーが起こる原因とは?評価エラーが起こりにくい人事評価の方法を紹介


評価エラーが起こる原因とは?評価エラーが起こりにくい人事評価の方法を紹介

人事評価においては、評価者の主観が入るとさまざまな評価エラーにつながる可能性があります。適切に人事評価を進めるためには、評価エラーが起こる原因を把握しなければなりません。
この記事では、企業の経営者や人事担当者に向けて、人事評価エラーが起こる原因について解説します。評価エラーが起こりにくい評価方法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。

人事評価エラーとは?

人事評価エラーとは、評価者の感情や思い込みによって評価が偏ってしまうことです。人事評価エラーはさまざまな原因によって発生します。また、人事評価エラーが発生すると、いろいろな問題につながる可能性があるため注意が必要です。

評価者は人事評価エラーが起こる原因を理解したうえで、適切に人事評価を進められるように意識することが大切です。

人事評価エラーによる影響

人事評価エラーが発生した場合、どのような影響があるのでしょうか。ここでは、具体的な影響について解説します。

社員の勤労意欲が低下する

人事評価エラーが発生すると、社員が評価に不満をもつおそれがあります。その結果、社員の仕事に対する意欲も低下します。モチベーションが低い状態では、業務上のパフォーマンスも落ちる可能性が高いでしょう。

サービスの質が低下する

人事評価の結果に社員が納得していないと、パフォーマンスの低下により生産性も下がります。企業が提供しているサービスの質そのものも低下し、顧客が不満をもつ可能性もあるでしょう。

離職率が高くなる

人事評価に対する社員の不満が大きくなれば、管理職や人事担当者へ不信感をもつようになります。その結果、いまの職場で働き続けようという意欲が低下し、離職につながる可能性もあります。

組織力が低下する

社員それぞれのスキルや能力を正しく評価できないと、組織力の低下にもつながります。優秀な人材を発見できなければ、その素質を活かせる仕事を割り振れません。そのような状況では組織全体のパフォーマンスも低下します。

人事評価エラーが起こる原因

人事評価エラーが起こる原因はさまざまです。ここでは、具体的な原因について解説します。

ハロー効果が原因で起こる評価エラー

人事評価エラーの原因のひとつとして、ハロー効果があげられます。ハロー効果とは、評価対象者に対する先入観をもとに判断することです。目立った特徴だけに注目し、印象だけを根拠に評価してしまう状態を表しています。たとえば、いつも明るくハキハキと話しているという理由だけで、仕事もできると判断するケースが当てはまります。

中心化傾向が原因で起こる評価エラー

中心化傾向とは、評価基準の中央に評価を集中させることです。評価者が自分の評価に自信をもてていなかったり、社員の反発を恐れていたりする場合、中心化傾向が生じやすいです。評価者としてのスキルが不足している場合も、中心化傾向が生まれやすくなります。明確な根拠をもとに評価できるよう、評価者がスキルを積まなければなりません。

寛大化傾向・厳格化傾向が原因で起こる評価エラー

評価者の感情が評価を左右している場合、寛大化傾向・厳格化傾向が生じています。寛大化傾向は評価を甘くつけること、厳格化傾向は評価を厳しくつけることです。たとえば、評価者が評価の対象者に対して「好き」「嫌い」という感情を抱いている場合、寛大化傾向や厳格化傾向による評価エラーが起きやすくなります。

逆算化傾向が原因で起こる評価エラー

逆算化傾向は、先に結論を決め、それにあうように項目ごとの評価を調整することを表しています。特に、賞与や昇進などの基準がもともと決まっていると、最終的な評価を決めてから帳尻をあわせようとするケースも出てくるでしょう。逆算化傾向を防ぐには、評価が今後の業務そのものに影響するという意識をもつことが大切です。

期末誤差が原因で起こる評価エラー

期末誤差とは、評価期間の終わり際に発生した事象に重きを置いて評価することです。たとえば、評価期間の最初に大きな成功を収めていても、最後に小さな失敗をしている場合に、評価を低くつけてしまうなどのケースが当てはまります。期末誤差が生じると、期首や中間の成果が正しく評価されず、社員は不満をもちやすくなります。

論理的誤差が原因で起こる評価エラー

評価者の思い込みや推論により評価している場合、論理的誤差による評価エラーが発生します。評価者自身は適切に評価を下しているつもりでも、知らないうちに不公平な判断をしている状態です。たとえば、有名大学の出身者は優秀だという思い込みや、自己啓発に取り組んでいる社員は業績がいいだろうという推論が、評価エラーにつながっている可能性があります。

対比誤差が原因で起こる評価エラー

評価を行うときは、客観的な基準に基づいて正当な判断を下さなければなりません。対比誤差とは、評価者自身のスキルや能力を基準にして評価を下すことです。対比誤差が生じると、評価者の得意分野での評価は厳しくなります。一方、評価者が苦手な分野やよくわからない分野については評価が甘くなります。

極端化傾向が原因で起こる評価エラー

極端化傾向とは、評価者が極端な評価をすることを表しています。具体的には、評価が「最低」または「最高」のどちらかに偏ってしまう状態です。中心化傾向に陥らないように意識しすぎたり、社員の評価に差をつけたりしようとすると、極端化傾向が生じやすくなります。

正しい人事評価を導入するポイント

正しい人事評価を実施するにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、具体的なポイントについて解説します。

評価対象者が目指すべき目標を設定する

人事評価を正しく行うには、評価期間に入る前に評価対象者の目標を設定することが大切です。目標が明確に定まっていれば、その目標を基準に評価できます。目標を決めるときは個人として達成すべきことだけでなく、企業や部署などの組織が何を目指しているかについても考慮する必要があります。

目標としては、数値目標と行動目標の2つを定めましょう。数値目標は数値で評価できる目標、行動目標は業務に取り組む姿勢について定める目標です。

目標に沿って業務を遂行する

評価期間中、評価対象者は目標の達成に向けて業務を進めます。定期的に面談の場を設け、評価対象者が評価者に報告する機会を作りましょう。そのためには、日々の業務において評価対象者が行動を記録しておく必要があります。

毎回の面談では目標を改めて確認し、必要があれば見直しを行います。目標を確認しながら日々の業務を進めると、評価対象者は目標の達成を実現しやすくなるでしょう。

プロセスを評価する

人事評価を行うときは目標を達成できたかどうかだけでなく、目標達成に向けたプロセスそのものも評価対象とします。結果だけでなく実際の行動をもとに評価すると、評価に対する信頼性を高めることが可能です。

適切に人事評価を行うためには、評価についてしっかり話しあう必要があります。普段からコミュニケーションを大切にし、評価について話しやすい関係性を構築しておくことが大切です。

人事評価エラーが起こりにくい評価方法

人事評価エラーが起こりにくい評価方法としては、どのようなものがあるのでしょうか。具体的に解説します。

ノーレイティング

ノーレイティングとは、評価をランクで表す方法をやめ、まったく新しい評価制度を構築することです。評価をランク付けするのは、社員同士の競争心を強めるためです。しかし、最近では競争よりも協働が重視されるようになってきました。評価制度においても、社員同士の協働に重きを置く企業が増えています。

360度評価

360度評価とは、上司だけでなく、同僚や部下なども対象者を評価する方法です。さまざまな立場の社員が評価することで、客観的で偏りの少ない評価を実現しやすくなります。評価対象者との関係性によっても見え方は異なる可能性があるため、360度評価を実施すると努力や成果を見逃さず適切な評価をつけやすくなります。

リアルタイムフィードバック

リアルタイムフィードバックとは、業務を進めている場でその都度評価する方法です。問題が発生したときにすぐにフィードバックできるため、改善できる可能性が高まります。評価対象者も下された評価に納得しやすくなり、モチベーションがアップします。

また、業務中にこまめなフィードバックを行うため、コミュニケーションの促進にもつながるでしょう。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、行動についての目標を設定して評価対象者を評価する方法です。すでに成果を出している人の行動を参考にして目標を設定するため、具体的な成果につながりやすくなります。評価項目が決まっていて評価しやすく、人材育成を効率的に行えるというメリットがあります。

バリュー評価

バリュー評価とは、会社の価値観に対する理解とそれに基づく行動について評価する方法です。企業として成果を出すには、自社の方針を理解して必要な行動をとる社員が必要となります。そのため、バリュー評価を実施すると、自社に貢献できる人材を正しく評価することが可能です。成果を出すためにとった行動やプロセスも評価の対象になります。

まとめ

人事評価エラーは、複数の原因により発生します。さまざまな影響が出る可能性があるため、適切な人事評価を行って人事評価エラーを起こさないようにしましょう。そのためには、評価方法も工夫する必要があります。

タレントパレットは、社員に関するデータを一元管理できるツールです。MBOやOKR、360度評価など様々な評価方法に対応しており、データの収集、蓄積、分析、報告が可能です。また、実際の評価結果をもとに、評価者タイプ診断や評価エラー診断を自動で行うことが可能です。
適切な人事評価を進めるために、ぜひ役立ててください。