エンゲージメントを高める具体策5つ|エンゲージメント低下の原因と測定方法も解説


エンゲージメントを高める具体策5つ|エンゲージメント低下の原因と測定方法も解説

社員のエンゲージメントを高める具体的な対策は、企業の成長や売上アップにつながる重要な課題の1つです。日本のビジネスパーソンのエンゲージメントは世界的にみて低い水準といわれています。本記事は、人事課題の現状を把握したい人事担当者へ、社員のエンゲージメントを高める具体的な対策やエンゲージメントが下がってしまう原因などを解説します。離職率への施策や組織力の強化に役立ててください。

エンゲージメントの意味と必要性

最初に、エンゲージメントの基本的な意味とエンゲージメントが必要な理由を解説します。

エンゲージメントとは?

エンゲージメント(engagement)とは、主に人事(HR; Human Resources)の領域で使用される言葉です。具体的には「社員が会社にどれほど愛着心があるか」「思い入れがあるか」の趣旨があります。高いエンゲージメントがあると、社員と会社が一丸となりお互いに成長しあうことが可能です。

一方で、エンゲージメントが低いと、生産性の低下や離職率の向上など組織力が弱体化する一因になります。日本のビジネスパーソンのエンゲージメントは、世界的にみて極めて低い点が特徴的です。

関連記事:エンゲージメントの意味とは?向上させる方法と得られるメリット

エンゲージメントが必要な理由

エンゲージメントは会社と社員がともに成長するうえで必要な要素です。社員が会社にいだく満足度が高くても、会社の業績につながるとは限りません。しかし、エンゲージメントの向上は単なる社員の満足度にとどまらず、会社と社員の両方に好影響をもたらす要因です。

組織の理念のシェア、職場環境への関わり方など、さまざまな要因から働く価値は見出されます。人材の流動化が進むなか、会社と社員の結びつきの強さを示すエンゲージメントはますます重要視される観点です。

社員のエンゲージメントを高めるメリット

では、社員のエンゲージメントを高めると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?会社側のメリットを3つ解説します。

離職率が低下する

社員のエンゲージメントにポジティブなはたらきかけができると、優秀な人材の離職を防げます。キャリア形成をおこなっている人にとっては、仕事にやりがいがないと、独立や転職を考える傾向が強いためです。

主体性が向上する

会社のビジョンや業務の方針に共感できると、社員が自律性を高められます。また、モチベーションがアップすると、与えられた仕事を単にこなすだけではなく、社員が自分で考えて行動へうつす意識にもつながります。

業績が好転する

社員が主体性をもって仕事に取り組めるようになると、労働生産性が高まります。離職率が下がれば求人コストや人材育成コストも削減可能です。生産性を高めながら質の高い人材を確保できるため、業績好転につながります。

社員のエンゲージメントを測る方法

エンゲージメントを可視化するにはどうすればよいのでしょうか?測定方法を解説します。

測定方法は2つ

エンゲージメントの測定方法は、主に「パルスサーベイ」と「エンゲージサーベイ」の2つです。

「パルスサーベイ」とは、社員に実施する簡単なアンケートによる意識調査です。「エンゲージメントサーベイ」も同じくアンケート調査ですが、社員のエンゲージメントをスコア化して組織の課題を明らかにできます。「パルスサーベイ」よりも質問の項目数がたくさんあり、得られる情報量も多い点が特徴的です。

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注目すべき3つの指標

「社員がどれくらいのエンゲージメントがあるのか」を測るには「総合指標(会社への満足度・期待度)」「レベル指標(仕事への熱意・活力)」「ドライバー指標(自己肯定感や当事者意識)」の3つの指標を活用します。測定にはこれら3つの指標が盛り込まれているため、「各々の設問からわかる事柄が何であるか」の理解が重要です。

アンケートの具体例

「総合指標」「レベル指標」「ドライバー指標」ごとに、指標の特徴にあわせた設問設定が必要です。設問数は2~10程度の企業が多く、10段階評価や自由記述の設問をメインとする傾向にあります。指標ごとの具体例は次のとおりです。

【総合指標の具体例】
・現在働いている会社にどのくらい満足しているか?
・現在働いている会社でどれくらい長く働きたいか?

【レベル指標の具体例】
・自分の仕事にやりがいや価値を感じるか?
・仕事をしていると、時間を忘れてしまうほど熱中することがあるか?

【ドライバー指標の具体例】
・職場の人間関係や環境などの状態はどうか?
・職務を難しい(あるいは簡単)と感じるか?

エンゲージメント測定の注意点

エンゲージメント測定で得られた結果は人事担当者だけで把握するのではなく、社員へのフィードバックにも活用すると業績をアップさせるうえで効果的です。また、社員の意識は流動性が高いため、時間が経過すると価値が半減します。

アンケートの分析はできるだけ早くおこなうようにしましょう。また、相関関係と因果関係は区別して分析すると、課題や現状のさらなる明確化が可能です。

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エンゲージメント測定は社員が気軽に入力できるよう、スマートフォンの環境も用意するとよいでしょう

エンゲージメントが向上しない原因は?

社員のエンゲージメントが向上しない背景には、何があるのでしょうか?エンゲージメントが低い原因を解説します。

将来への不安

「いくら仕事を頑張っても、キャリアアップにつながらない」「将来がみとおせない」など、将来への不安があるとエンゲージメント向上は困難です。とくに若い世代は年功序列や終身雇用など、時流に反する社風の会社では、将来のビジョンを描きにくい傾向にあります。

評価に対する不満

仕事や成果に対して上司や会社から適切な評価を得られないと、エンゲージメントだけでなくモチベーションも下がってしまいます。したがってエンゲージメント向上には、適切かつ明確な人事評価のシステムを導入し、人材登用や給与面などへの反映が必要です。

目的意識のミスマッチ

経営理念や社風に社員の考え方や価値観が違う状態も、愛社精神ややる気が下がる原因になります。共通の目的や目標がないと愛社精神や思い入れをもつのは難しいためです。会社への愛着心や思い入れが薄まると、生産性も低下します。

社員のエンゲージメントを高める5つの具体策

社員のエンゲージメントを高めるために、どのような施策ができるのでしょうか。5つの具体策を解説します。

社員の価値観を把握する

社員1人ひとりの価値観は異なるため、社員それぞれの価値観の把握が重要です。定期的なアンケートの実施やヒアリング、日常的なコミュニケーションによって、社員の価値観はある程度つかめます。社員の基本的な考え方を理解できると、社員の特性にあった適切なコミュニケーションがとれるため、エンゲージメント向上も期待できます。


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社員を適材適所に配置する

社員1人ひとりの能力を最大限に活かせるよう、人材を適材適所に配属することは重要です。物理学者のアインシュタインの言葉に「誰もが天才だ。しかし魚の能力を木登りで測ったら、魚は一生、自分はダメだと信じて生きることになるだろう」という言葉があります。社員が木を登ろうとする魚にならないよう、仕事内容の適性や職場環境づくりへの配慮も大切です。

マネジメント層の教育に力を入れる

社員のエンゲージメントの低下は、社員の問題だけではありません。上司との関係性や上司のサポート力も大きく影響します。「効果的なコーチングの実施」「定期的なフィードバック」など、マネジメント層の教育に力を入れると社員の抱える不安や問題点を早期に発見して、適切なアプローチへとつなげられます。

社員のオーナーシップを育てる

オーナーシップ(当事者意識)が社員に根づくと、自発的な行動ができるようになります。社員のオーナーシップを育むには、上層部からのオープンな情報共有や部下への権限の付与が効果的です。社員が仕事の責任を「自分ごと」として認識できるため、エンゲージメントやモチベーションによい影響をもたらします。

チームリーダーを正しく評価する

チームリーダーの言動は、社員のエンゲージメントに大きな影響力があります。よって、チームリーダーがメンバーを適切に働きかけられているか、正当な評価が重要です。チームリーダーの評価は人間力の側面も影響するため、数字だけでは把握が難しいケースもあります。リーダーの能力を明確に評価できる基準の設置が必要です。



エンゲージメントが向上しない場合に見直すべきポイント

最後に、エンゲージメントが思ったように向上しない場合はどうすればよいのでしょうか?見直したいポイントを2つ解説します。

エンゲージメント向上の課題点はどこか

1つめのポイントは「課題点の洗いだし」です。社員のニーズと組織の現状を把握し不満や課題点を明確にしましょう。課題がみえてくると、エンゲージメントを向上させるためにどのようなアプローチができるかがわかります。あわせて、エンゲージメント測定方法が適切かどうかもチェックしてください。

エンゲージメント測定や施策を活かせているか

2つめのポイントは「施策の実効性の確認」です。課題が明確になって施策を打ちだせても、改善へのアクションがとれなければ十分な効果は得られません。「計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check→改善(Action)」の仕組みを確立させ、施策の実行による効果や新たな課題点を次に活かす取り組みが重要です。

まとめ

社員のエンゲージメント向上は、社員のモチベーションだけでなく会社の業績にも寄与する重大な課題です。ポイントをおさえた施策の実施ができると、効果的に人事評価の改善ができます。

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