社員教育のメリットは?企業にとっての重要性や効果、設計の手順を解説


社員教育のメリットは?企業にとっての重要性や効果、設計の手順を解説

企業の生産性や競争力を高めるには、社員のスキルアップが重要です。優秀な社員を育てる方法として、社員教育があります。社員教育には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。本記事では、社員教育の定義に触れたうえで、メリットを詳しく解説します。社員教育の種類や成功のポイントなども解説するため、ぜひ参考にしてください。


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社員教育とは?

そもそも社員教育とは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、社員教育の定義や重要視されている背景を解説します。


社員教育の定義

社員教育とは、業務において必要なスキルや知識を社員に習得させる方法です。社員の立場や担当する業務内容によって必要なスキルや知識は異なるため、状況に応じた社員教育を提供する必要があります。社員教育の具体例を挙げると、研修の実施や資格取得の資金援助などです。


社員教育が重要視される背景

社員教育が重要視されている背景には、少子高齢化に伴う労働人口の減少があります。労働人口の減少により、人手不足が課題になっている企業も増えてきました。人手不足の状況でも業務を滞りなく進めるには、生産性の向上が必要です。そのために、社員教育による社員のスキルアップを目指すケースが多くなっています。また、人材の流出防止、離職率の低下、定着率の向上にもつながるため、社員教育を充実させることが重要です。


社員教育の目的

社員教育の最終的な目的は、業績の向上による企業の成長といえます。社員のスキルや知識は企業の生産性に直結するため、個々の社員に対する教育が必要です。社員教育に力を入れると優秀な人材を確保しやすくなり、企業の成長も期待できるでしょう。


社員教育のメリット

社員教育にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、具体的な5つのメリットを解説します。


生産性・業績の向上

社員教育によって社員がスキルアップし、業務の質や効率が高まることもメリットの1つです。その結果、企業全体の生産性も向上します。前述のとおり、生産性が上がると業績の向上も見込めるでしょう。


エンゲージメント・定着率が高まる

社員教育に力を入れると、社員は企業に大切されていると感じられます。エンゲージメントが高まることで離職の防止を防げるうえに、定着率が上がり、安定的な人材の確保が可能です。人手不足の発生や悪化を防ぎ、スムーズに業務をこなせる体制を維持しやすくなるでしょう。


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企業への共感が深まる

社員教育の内容は、企業理念や経営戦略に基づいて作成します。そのため、社員教育を受けた社員は、自社の企業理念や経営戦略に対して理解を深めることが可能です。結果として社員の帰属意識が強まり、結束力も強化できます。同じ意識のもとで一貫性のある商品やサービスを提供できるようになるため、ブランディングにもつながるでしょう。


企業のイメージアップ

社員教育を実施すると、企業のイメージアップも期待できます。社員のビジネスマナーや社会人としての振る舞いのレベルが上がるためです。また、ルールや規範に対する社員の理解が深まれば、コンプライアンスの徹底にもつながります。企業に対する消費者からの信頼性や好感度も向上しやすくなるでしょう。


コンプライアンス強化

近年、企業のコンプライアンスの遵守が特に重要視されるようになりました。社員の行動が企業全体に大きな影響を及ぼすケースも珍しくありません。前述のとおり、社員教育により社員のコンプライアンスを強化できます。特に、個人情報の保護、情報セキュリティ対策などに関するルールの周知が重要です。


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社員教育のデメリット

社員教育にはさまざまなメリットがあるものの、実施するためには多くの人的リソースが必要となります。担当者が他の業務と並行しながら社員教育の準備や実施に対応する場合、特に負担が大きくなりがちです。また、社員教育の実施には時間やコストもかかるため、目的や効果を慎重に検討して実施しなければなりません。


【階層別】社員教育の種類

社員教育の内容は、階層によってさまざまです。ここでは、社員教育の具体的な種類について解説します。


内定者・新入社員研修

内定者・新入社員研修は、社会人としての基本的なスキルや知識を伝えるために行う研修です。学生との違いを示し、スムーズに社会人へと切り替えられるようサポートしましょう。具体的には、基礎的なビジネスマナーや仕事に関するスキルについて扱います。たとえば、ビジネスマナー研修やマインドセット研修などです。


若手・中堅社員研修

若手・中堅社員研修は、業務にある程度慣れてきた社員を対象に行います。基礎的なスキルや知識が身についているという前提のもとで、さらにステップアップした社員教育を実施しましょう。具体的には、業務の成果を高めるために必要なスキルを鍛えます。研修の例を挙げると、構造化思考研修やセルフコーチング研修などです。


中堅・リーダー向け研修

中堅・リーダー向け研修は、主任や係長などに対して実施します。業務そのものを進めるためのスキルや知識ではなく、部下やチームをまとめるうえで必要な力について学べる研修を行いましょう。中堅・リーダーを対象とする研修は、企業の成長を促すために重要です。たとえば、適切な指導方法や、チームビルディングの研修が挙げられます。


管理職研修

管理職研修は、課長や部長などの管理職が対象です。マネジメントスキルやハラスメントに関する知識など、社員を取りまとめるうえで必要な内容を扱います。管理職が果たす役割は幅広いため、社員教育で必要なスキルや知識を確実に伝えることが大切です。たとえば、リーダーシップ研修やコンプライアンス研修などが挙げられます。


【目的別】社員教育の種類

社員教育の内容は、目的によってもさまざまです。ここでは、目的に応じた社員教育の種類を解説します。


ビジネススキル研修

ビジネススキル研修は、業務を進めるうえで必要なスキルの習得を目指す研修です。社員のレベルや経験に合わせた内容を伝え、社員自身が自らスキルアップに取り組めるようにする必要があります。主なビジネススキル研修の内容は、問題解決力、ロジカルシンキング、企画力などです。


リーダーシップ研修

リーダーシップ研修では、リーダーとしての振る舞いについて指導します。研修の対象は、将来の経営者候補、中堅社員、管理職などです。時代によって求められるリーダーは異なるため、状況に応じて適切にリーダーシップを発揮する方法を伝えます。


マネジメント研修

マネジメント研修は、マネジメントの専門知識と実践的なスキルを身につけてもらうための研修です。働き方の多様化により、適切なマネジメントの方法は変化しています。具体的には、一律管理から個別管理へシフトしている状況です。研修においては、マネジメントの基本とともに、時代に適した多様なマネジメントに関する情報を提供しましょう。


DX・デジタル人材研修

DX・デジタル人材研修は、DXを推進するためのデジタル人材を育成する研修です。IT技術の需要が高まっている反面、DXやデジタルについてスキルや知識を持つ人材は不足しています。DXを推進するには単に技術だけでなく、周囲と連携・指導できるコミュニケーション能力を伝えることも重要です。


社員教育の主な方法

社員教育は、具体的にどのように行うのでしょうか。ここでは、社員教育の主な方法について解説します。


OJT

OJTとは、現場で実際の業務を経験しながらスキルや知識を身につける方法です。「On the Job Training」の頭文字を取り、OJTと表現されています。業務を通じた指導により、実務で意識すべきポイントや実践的な技術を伝えることが可能です。OJTによって即戦力となる人材を効率的に育成できるでしょう。


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集合研修・オンライン研修

集合研修は、対象となる社員が同じ場所に集まって同時に講義を受ける方法です。セミナー形式やワークショップ形式などがあります。業務に必要なスキルや知識について体系的に学べることが特徴です。


また、近年はオンライン研修も増えています。企業はコストを抑えて研修を実施でき、社員は移動の手間がかかりません。


eラーニング

eラーニングは、オンラインでスキルや知識を学ぶ方法です。スライドや動画などの教材を使用して学習を進めます。いつでもどこでも学習できるため、忙しい社員でも隙間時間の有効活用が可能です。また、会場費や交通費がかからず、コストを抑えて効率的な社員教育を実施できます。


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通信教育・講座

通信教育や講座は、社外の教育機関の教材を使用してスキルや知識を身につける方法です。スキルアップや資格取得のために役立ちます。福利厚生の一環として取り入れている企業も多いようです。意欲が高い人材が自発的に学習できるため、優秀な社員の流出を防止する方法としても効果を期待できます。


外部研修・セミナー

外部研修やセミナーは、専門性の高い分野についてプロへ指導を委託する方法です。第一線で活躍するプロからスキルや知識を学べるため、実務に役立つ情報を効率的に得られます。新しい視点やノウハウなどを取り入るきっかけにもなり、社員や組織全体にとってよい刺激になるでしょう。


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社員教育の設計手順

社員教育を設計する際は、手順に沿って進めることが大切です。ここでは、社員教育の設計手順について解説します。


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現状把握・課題抽出

自社にとって必要な社員教育を考えるためにまず必要なことは、自社の現状を把握することです。そのうえで、事業に取り組むなかで生じている課題を洗い出しましょう。自社の現状や課題を確認するには、担当者や現場へのヒアリングが有効です。リアルな声を集めると、どのような問題が発生しているかより詳しくチェックできます。


目標・期限の設定

社員教育に取り組み、最終的に何を目指すか目標を決めましょう。内容や期限を具体的に決めることが大切です。社員教育の目標や期限を明確に定めると、実際に研修を実施する際もモチベーションを維持しやすくなるでしょう。最初に設定した目標や期限は、社員教育の進捗管理の基準にもなります。


実施スケジュールの組み立て

実際に社員教育を行うための具体的なスケジュールを検討しましょう。企業理念の理解やスキルの向上といった社員教育の効果を高めるには、定期的な実施が必要です。また、入社時の研修、配属直後の研修、昇進時の研修などは、社員のそれぞれの段階に応じて適宜実施しましょう。


実施プログラムの決定

前述のとおり、社員教育にはさまざまな種類があるため、具体的に何を実施するか決める必要があります。それぞれのメリット・デメリットを考慮し、目的や目標に応じて使い分けることが大切です。個々に実施する場合もありますが、効果を高めるために複数を組み合わせて取り組むケースもあります。


効果測定・フォローアップ方法を考える

社員教育を実施するだけで終わりにせず、フォローアップや効果測定も行いましょう。たとえば、アンケートを実施し、研修を受けた社員の意見や満足度を確認することも1つの方法です。また、研修後に簡単なテストを実施し、学習した内容に対する理解度を測定する方法もあります。思うように効果が出ていない場合は、研修の改善も検討しなければなりません。


社員教育を成功させるポイント

社員教育を成功させるには、どうすればよいのでしょうか。以下で具体的なポイントを解説します。


アフターフォローを大切にする

せっかく研修で集中的にスキルや知識を学んでも、時間が経過すると、内容を忘れてしまう可能性があるため注意しなければなりません。一度学んだ内容を定着させるために、復習の機会も設けましょう。研修そのものだけでなく研修後のフォローアップにも力を入れると、社員教育の効果をさらに高められます。


専門機関を活用する

専門性の高い社員教育を実施する場合、自社だけで対応することは難しいケースもあるでしょう。仮に高い専門性を持つ社員がいても、指導が得意とは限りません。社内での指導が難しいなら、外部の専門機関の活用も検討しましょう。社員教育の質や効率性を高めると、優秀な社員を増やしやすくなります。


ブレンディッド・ラーニングを取り入れる

ブレンディッド・ラーニングとは、複数の方法を組み合わせた学習方法です。社員教育を実施するうえでは、方法を1つに絞らず幅広く取り入れると効果的な指導を実現できます。学習方法によってそれぞれ効果が異なるため、ブレンディッド・ラーニングを実践すれば、さまざまなスキルや知識を効率よく習得できるでしょう。


時代・環境の変化に合わせる

近年は世の中の変化が特に激しいため、社員教育の内容も状況に応じて柔軟にアップデートする必要があります。基本的なスキルを指導する場合も、昨年と同じ内容で問題ないか見直すことが大切です。時代や環境の変化を考慮して適切な社員研修を実施すれば、実務でも状況に応じた対応がしやすくなるでしょう。


まとめ

限られた社員で自社のビジネスの成功を目指すには、社員教育の充実が重要です。社員教育に取り組めば、定着率の向上やコンプライアンスの強化など、さまざまなメリットを期待できます。社員教育の種類は多岐にわたるため、目的や目標に応じて実施しましょう。具体的なスケジュールを立て、研修後の効果測定やフォローアップにも力を入れることが大切です。


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