取り組み企業が増加中の「健康経営」とは

健康経営とは、社員の健康管理を経営的な課題とし、具体的な取り組みを推進することです。企業の活動は、社員一人ひとりの働きによって支えられています。社員の心身の状態が悪化するとパフォーマンスが低下し、企業全体に影響する可能性があります。そのような事態を避けるために、健康経営に力を入れる企業が増えてきました。

健康経営の取り組みが注目されている理由とは

健康経営の取り組みに注目が集まっている理由は、非常にさまざまです。少子高齢化によって労働人口が減少しており、社員一人ひとりの負担も大きくなりました。また、社員が高齢化しており、生活習慣病のリスクも高まっています。ビジネスを取り巻く環境も劇的に変化しているため、メンタルヘルスの不調を感じる社員も多いようです。

そのような要因によって社員の健康が脅かされると、企業としても問題が発生しやすくなります。たとえば、生産性が低下したり、不祥事によりイメージダウンにつながったりするおそれもあるでしょう。そのような事態を防ぐための対策として、健康経営の取り組みに注目が集まっています。

健康経営の取り組みを行うメリット・デメリット

健康経営に取り組むことで、さまざまなメリットがあります。一方で、デメリットもあることも把握しておきましょう。ここでは、どのようなメリット・デメリットがあるのかを解説します。

メリット

健康経営に取り組むと、生産性アップにつながることが期待できます。企業を支える社員一人ひとりの心身の健康を維持向上させられるためです。その結果、企業としての成果や利益も高められる可能性があります。社員が心身に余裕をもって働けるようになれば、労災の防止にもつながります。健康経営は、リスクマネジメントとしての役割も果たせるでしょう。

社員の健康に配慮しているというイメージが定着すると、社内外からの評価も高くなります。また、社員の健康が促進されると医療費の軽減にもつながります。離職率が低下し、長く活躍してもらえるでしょう。

デメリット

健康経営に取り組むなら、企業全体で取り組まなければ思うような効果は得られません。企業のトップが率先して健康経営を推進しようとしていない場合、社員にも健康経営の意識がなかなか浸透しないでしょう。健康経営は、社員一人ひとりの健康を維持向上させるための取り組みです。社員本人が強く意識しないと、本当の意味での健康経営は実現できません。

また、健康経営を実現するには、管理コストが必要になる可能性もあります。企業の状況によっては、専用のシステムを用意したり外部の専門家を誘致したりする必要があるでしょう。

健康経営の取り組み手順

健康経営に取り組むうえでは、どのような流れで進めればよいのでしょうか。健康経営を実現するには、さまざまなことに対応しなければなりません。ここでは、健康経営の取り組み手順についてくわしく解説します。

1.健康経営に取り組むことを社内外に告知する

健康経営の取り組みを始めるときは、しっかり告知しましょう。社員だけでなく、社外の投資家や取引先の企業にも周知することが大切です。健康経営の取り組みを多くの人に知ってもらえれば、効果も高まりやすくなります。たとえば、社内向けの告知は社内広報、社外向けの告知はプレスリリースを活用する方法もおすすめです。

また、保険協会や保険組合のなかには、健康宣言事業所を募集しているところもあります。自社が加入している団体のWebサイトやお知らせなどを確認し、募集がある場合は健康企業宣言も行いましょう。

2.専門部署を作る

自社で健康経営を推進するうえでは、専門部署の設置も必要です。社員の健康管理を専門に扱う組織を作り、健康経営を主導できるようにしましょう。人事部に新しく担当者を設ける方法もありますが、改めて外部の人材を誘致するのもひとつの方法です。担当者が健康経営について知見をもっていないなら、健康管理に関する研修も実施する必要があります。

なお、健康経営の取り組みは、企業全体で進めることが大切です。そのためには、企画の段階から役員会でも取り上げましょう。企業のトップや役員が健康経営の重要性を理解したうえで、率先して推進するよう働きかけてください。

3.現状と今後の課題を確認する

健康経営の取り組みを始めるうえでは、社内の現状を正しく把握することも大切です。現状を知るため、社員の健康診断やストレスチェックテストの結果を確認しましょう。受診率についても把握する必要があります。

結果や受診率をもとに、社員の健康に関する課題や改善点などを洗い出します。部署や役職によって、課題や改善点などの特徴に違いがみられる可能性もないとはいえません。その場合は、それぞれの特徴を個別に確認して今後の対策を考えましょう。

4.健康管理計画を立てる

課題や改善点を解消するため、健康管理計画を立てましょう。社員の健康状態を向上させるために必要な取り組みについて、具体的に考える必要があります。たとえば、残業の多さが課題になっているなら、ノー残業デーを作るのもひとつの方法です。社員一人ひとりの個別の課題に対処するには、保健師の個別診断による健康指導を導入する方法もあります。

健康経営の取り組みを成功させるには、計画の段階でどのような成果を目指すか目標を設定する必要があります。明確な目標を定めたうえで、社員にも告知しましょう。

5.健康管理を実行・検証する

健康管理計画に沿って健康管理を実行しましょう。まずは計画を着実に実行することが大切です。一定期間取り組んだ後は、検証を行います。結果を確認し、どの程度の成果が出たかチェックしてください。また、実行率も把握し、計画通り進められたかどうかも検証しましょう。

問題点やうまくいかなかった部分がある場合は、原因を把握したうえで対策を考えます。健康経営の取り組みを続けるなかで改善していきましょう。実行と改善の繰り返しにより、健康経営を実現できるようになっていきます。

健康経営の具体的の取り組み例

健康経営の取り組み例としては、さまざまなものがあります。たとえば、社員に運動の習慣をもたせるため、運動講座を開催したり事業所に運動器具を設置したりしている企業もあります。近年では、社員一人ひとりにあわせて運動や食事の内容をアドバイスしている企業も出てきました。社内食堂のメニューを健康的な内容に変えたり、自販機で健康食品を販売したりしているケースもあります。

さらに、セルフケア研修を実施し、社員の意識を高めるのもひとつの方法です。禁煙をサポートする取り組みを実施してもよいでしょう。女性が働きやすい環境の整備も、健康経営の取り組みのひとつです。労働時間の適正化や、休暇取得率の向上を促すための取り組みをしている企業も増えています。

健康経営の取り組みを成功させるポイント

取り組みを成功させるには、企業のトップが健康経営を牽引することが重要です。トップが自ら社員に対して働きかけ、健康への取り組みの重要性をアピールしましょう。

また、実際に健康経営の取り組みを進めるうえでは、社員が参加しやすい内容を考える必要があります。社員にとってなるべく負担なく参加できる内容にしましょう。また、セミナーやイベントを定期的に開催すると、健康経営に対する社員の意識を保ちやすくなります。

まとめ

人材に関する課題を解決するため、健康経営に取り組む企業も増加しています。健康経営に取り組む際は、それぞれの手順をしっかり踏むことが大切です。

健康経営の取り組みを行ううえでは、分析作業の効率化も必要です。タレントマネジメントシステム「タレントパレット」は、社員の健康診断受診状況やヘルスチェックアンケート、ストレスチェックアンケートなどを人材データに紐付けて管理ができます。社員個人の履歴や組織ごとの傾向を把握することで、健康経営の支援をする人事システムです。

詳しく知りたい方は、ぜひ一度資料をダウンロードしてみてください。