こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
ビジネス環境は常に変化し、予期せぬ事態や災害が発生する可能性があります。そのような状況に備えて、企業や組織はコンティンジェンシーとして事前に計画を立てることが重要です。
この記事では、コンティンジェンシーとは何か、ビジネス継続計画(BCP)との違い、そして効果的なプランの構築方法について解説します。
コンティンジェンシーとは?
コンティンジェンシーは、ビジネスシーンで使用される経営に関する言葉です。事業を継続させることを意識した考え方の一つで、「コンティンジェンシープラン」「コンティンジェンシー理論」「コンティンジェンシー・モデル」など様々な使い方があります。
ここでは、コンティンジェンシーの基本的な意味について詳しく解説します。
コンティンジェンシーの意味
コンティンジェンシーは英語で「contingency」と書き、「不確実性」「偶然性」などの意味を持つ用語です。ビジネスにおいては、偶然性や不慮の事故などの予期しない要素を指し、計画や戦略を立てる際に考慮すべきリスク要素を示します。
コンティンジェンシーを用いたビジネスにおける計画や理論などがあります。組織がコンティンジェンシーを意識することで、未来の予測不可能な状況に対応するための備えが可能です。未来の予測不可能な状況には、自然災害、経済の変動、政治的な不安定要素、競合他社の動向などが含まれます。
コンティンジェンシープランとは
コンティンジェンシープランは、企業の予期せぬ事態に備えて策定される行動指針や施策が記載されている計画書です。具体的には、組織や個人が直面する可能性のあるリスクや問題を予測し、それに対処するための手順や対応策を定めます。
コンティンジェンシープランの目的は、予期せぬ出来事が発生した際に迅速かつ効果的に対応し、事態の影響を最小限に抑えることです。予期せぬ出来事による影響は、自社だけはなく顧客や取引先にも及びます。
特に、緊急時に活動や経営を社会から求められる企業や、多くの企業との関係がある企業ほど、コンティンジェンシープランを綿密に策定しなければなりません。そのため、金融機関やインフラ業界などは、コンティンジェンシープランの策定の優先度が高いとされています。
コンティンジェンシー理論とは
コンティンジェンシー理論は、リーダーシップ論で基礎とされる考え方の一つです。リーダーシップの効果は、環境や状況によって変化するため、柔軟に対応しなければならないという考え方です。
この理論によれば、リーダーシップは、リーダーの指導スタイルと組織の状況との適合性によって決まります。組織の状況を決める要素として挙げられるのが、タスクの明確さやリーダーとメンバーとの関係性、リーダーの権限の強さなどです。これらの要素が組織において強いか弱いかで、リーダーの指導スタイルは「課題指向型」「人間関係指向型」のうちどちらかが適切であるとされます。
課題指向型のリーダーは、タスクが明確で状況が安定している場合に効果的です。組織内の人間関係も安定し、リーダーの権限が強い状況では、リーダーはタスクに集中した方が組織の成果が高まりやすいとされています。
一方、人間関係指向型のリーダーは、組織内の人間関係が弱く、リーダーの権限が弱い場合に効果的です。タスクに取り組む前に、組織内の信頼関係を構築しなければ成果を出すことができません。また、タスクが不明確で抽象的なものである場合も、リーダーは現場に入ってメンバーとコミュニケーションを行いながらタスクに取り組む必要があります。
このように、リーダーシップの効果は環境や状況によって異なり、最適なリーダーシップスタイルは一概には決められないという考え方が、コンティンジェンシー理論です。
コンティンジェンシー・モデルとは
コンティンジェンシー・モデルは、コンティンジェンシー理論で提唱されるリーダーシップのモデルです。
心理学者フレッド・フィドラーによって1964年に提唱されたのが、コンティンジェンシー理論であり、コンティンジェンシー・モデルは、その理論に基づいた適切なリーダーの在り方として説明されています。
コンティンジェンシー理論で説明される組織の状況を決める3要素は、「状況好意性」と名づけられています。また、リーダーシップのモデルを測定する尺度としてフィドラーが定めているのが「LPC(Least Preferred Coworker)」という指標です。
LPCは、最も苦手な仕事仲間という意味で、LPC指標が低いリーダーは課題志向型であり、高いリーダーは人間関係志向型であるとされています。
ただし、LPC指標が高いリーダーが適切なリーダーモデルというわけではありません。状況好意性の違いによって柔軟にスタイルを変更できるのが、リーダーモデルとして適切であるという考え方が、コンティンジェンシー・モデルです。
コンティンジェンシーが注目された背景
コンティンジェンシーが注目された背景には、デジタル技術の発達や自然災害の頻発などがあります。
IT技術の進化によりビジネスのデジタル化が急激に進み、インターネットが普及したことで、企業は複雑な情報ネットワークに依存するようになりました。しかし、システム障害やサイバーセキュリティの脅威などのリスクは日々進化・多様化しており、企業はこれらに対処する必要があります。そのため、コンティンジェンシーの考え方が重要性を増したのです。
日本においては、自然災害も頻繁に起こり得るリスクの一つです。近年、自然災害による甚大な被害が多発したことも、コンティンジェンシーへの関心を高めました。洪水、地震、台風などの災害は、企業の事業継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。
コンティンジェンシープランとBCPの違い
コンティンジェンシープランとBCP(Business Continuity Plan)は、組織が予期しない事態に備えるための計画という点では同じですが、目的が異なります。
BCPは「事業継続計画」とも呼ばれ、組織全体の業務継続性を確保するための計画です。主に災害や緊急事態に対処し、重要なシステムやプロセスの復旧、オフィス分散化による代替施設の確保などを含みます。
一方、コンティンジェンシープランは、不測の事態による被害を最小限に抑えることが目的です。なお、不測の事態が発生した場合、事業を継続するためには被害が抑えられている必要があります。そのため、コンティンジェンシープランがBCPの中の一つであるという考え方もあります。
コンティンジェンシー理論と条件適合理論の違い
条件適合理論は、コンティンジェンシー理論の考え方のベースとなっている理論です。
条件適合理論は、それまで主流だった「適切なリーダーシップを一つに定義する」という考え方ではなく、「組織やリーダーの特性によって柔軟に変化できるリーダーシップが、組織において最適である」という考え方とされています。
コンティンジェンシー理論とほとんど同じ考え方であり、条件適合理論を進化させた考え方としてコンティンジェンシー理論が誕生しています。
企業がコンティンジェンシーを意識するメリット
企業がコンティンジェンシーを意識することによるメリットは様々です。コンティンジェンシーは、リスクマネジメントや組織づくりにおいて重要な考え方であり、企業経営の円滑化につながるため、正しく把握して自社で活用できるようにするとよいでしょう。
ここでは、企業におけるコンティンジェンシーを意識するメリットについて詳しく解説します。
上下関係の悪影響を受けにくくなる
コンティンジェンシーを意識することで、上下関係に依存しない組織づくりが可能です。
コンティンジェンシー理論は、状況によって柔軟に変化できるリーダーや組織が望ましいとされているため、固定化された上下関係をなくすことができます。これにより、組織のメンバー同士が公平な関係になり、一人一人が適切なリーダーシップを発揮できる組織を構築できるでしょう。
組織の改革がやりやすくなる
コンティンジェンシーを意識する企業は、変化する環境に対応するための組織改革を実施しやすくなります。
コンティンジェンシー意識に基づいて、組織の強みや弱みを分析し、それに応じた適切な戦略やアクションプランを策定します。そうすることで、組織はあらゆる変化に柔軟に対応できるようになるでしょう。
管理職の対応力が上がる
コンティンジェンシーを意識することで、管理職やリーダーの対応力の向上が可能です。コンティンジェンシー理論におけるリーダーシップは、状況に応じた適切な対策を取ることを重視しています。
企業でコンティンジェンシーを意識することで、従業員は、予測する力や環境変化を早期に把握できる力を身につけられるでしょう。
組織の柔軟性が上がる
コンティンジェンシーは状況に応じたアプローチを求めるため、管理職やリーダーは、柔軟に対応できるスキルが身につき、組織自体の柔軟性も上がります。柔軟性と適応力が備わることで、様々な状況や問題に対して創造的な解決策を見出すことが可能です。
組織の状況は、環境だけでなく時代の変化によっても変わります。様々な視点から組織を観察し、適切な対策を講じることで、長期的に継続できる組織や企業がつくられるでしょう。
コンティンジェンシーを意識した経営のリスク
コンティンジェンシーを意識することは、メリットがある一方リスクも存在します。リスクに備えるためには適切な対応と事前準備が大切です。
ここでは、コンティンジェンシーを意識した経営の3つのリスクについて、詳しく解説します。
組織の正しい方向性が見失われる
コンティンジェンシーのアプローチには、組織体制を変化させる柔軟性が求められますが、その過程で誤った方向に進む可能性があります。
組織が頻繁に変化すると、適切な判断や組織変革の計画を欠いたまま、一時的な変化やトレンドに追従して、本質的な問題や目標から逸れてしまうでしょう。
正しい方向性に進んでいないと気づければ、再度組織体制を変化させられるという点は、コンティンジェンシーの強みともいえます。しかし、気づかずに進んでしまった場合は、企業全体の生産性の低下や業績悪化につながる可能性も考えられるでしょう。
そのため、コンティンジェンシーを意識した経営を行う際は、組織を正しく導くことができる優秀な人材が必要といえます。
時代や環境の変化には注目していない
コンティンジェンシーは、組織改革に焦点を当てながらも、時代や環境の変化にはあまり注目していません。このアプローチでは、あくまで組織の特定の状況や要因に基づいて適切な戦略を考えることを重視します。
したがって、組織はコンティンジェンシーの原則に基づいた改革を進めつつも、時代や環境の変化にも十分に注目し、適切な対応を行う必要があります。柔軟性と適応力を持った組織が、変化の激しいビジネス環境で持続的な成功を収めることができるのです。
従業員の専門性を高めにくい
組織の成功は、主に環境や状況に適合するリーダーシップの適切なスタイルやアプローチに依存していると考えられています。従業員の専門性の向上には、トレーニング、教育、経験の提供など、様々な要素が関与します。
しかし、コンティンジェンシーを意識した経営では、状況に応じた組織改革を行う機会が多くなるため、従業員に専門的な知識を蓄積しにくい場合がでてくるでしょう。
その結果、組織自体に知識やノウハウが蓄積されず、専門性の高い組織づくりにつながらない可能性があります。コンティンジェンシーを意識した経営を行う際は、全従業員の知識レベルを向上させるために、従業員同士の知識の共有やシステムを活用した記録の保管などの対応が必要です。
企業の経営リスク管理だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
時代は人材情報「管理」から人材情報「活用」へ!
タレントマネジメントシステム『タレントパレット』で、様々な経営課題と向き合えます。
・あらゆる人事情報を一元集約
・人材の見える化で埋もれた人材を発掘
・AIシミュレーションで最適配置を実現
・簡単操作で高度な人事分析が可能
⇒タレントパレットの資料を見てみたい
コンティンジェンシープラン構築の手順
コンティンジェンシープランの構築手順として、まず、目的と方針を決め、リスクに直面した際の対応を決めます。この目的と方針、リスク回避の対策を決めることが、プランを構築する上で重要な役割となります。
その上で、組織が災害や緊急事態に直面した際にどのようなアプローチを取るかなどの策定が必要です。
目的と方針を決める
コンティンジェンシープランを構築するにあたって、目的と方針を指標として設定します。
コンティンジェンシープラン自体の大きな目的は、不測の事態による被害を最小限に抑えることです。しかし、「被害は何を指すのか」「最小限とはどの程度なのか」などは企業や組織によって異なります。
目的や方針を決めておくことで、組織内による認識の違いを減らし、コンティンジェンシープランの方向性を明確にできます。
リスクを洗い出す
コンティンジェンシープランの目的と方針を決めたのち、そのリスクの洗い出しを行います。ここでは組織が直面する可能性のあるリスクを特定し評価します。
リスクの洗い出しは、組織の様々な領域やプロセスにわたって行われます。組織内の各部門や関係者と協力し、様々な観点からリスクを特定することが重要です。例えば、自然災害、テクノロジーの障害など、リスクと考えられる要素は多岐にわたるでしょう。
リスクの洗い出しは、組織が直面するリスクを明確化するために重要なステップです。一人の従業員で実施するのではなく、各部門から複数を選出して担当者とし、できるだけ漏れがないように多くのリスクを洗い出しましょう。
リスクに対する対応策を考える
洗い出したリスクに対して具体的な対策を策定し、リスクの影響を軽減するための行動計画を立てます。
対応策を考える際は、洗い出したリスクの性質や重要度に基づいて優先順位をつけ、重要度の高いリスクには、より優先的な対策を考案します。
また、緊急事態が発生した際にどのような業務体制で対策を進めるのか、通常のオフィスが使用できない場合は別の施設が使用できるかなどの検討も必要です。
あらゆる事態をシミュレーションし、具体的な対応策が決まれば、マニュアル化に進みます。
すべての従業員へ周知する
コンティンジェンシープランを策定し、マニュアル化が完了したら、その内容をすべての従業員へ周知します。従業員への周知は、プランの効果的な実施と組織全体の危機管理体制の確立に不可欠です。
また、実際に不測の事態が発生した際に従業員がすぐに対処できるように、マニュアルは従業員がいつでも早急に確認できる場所に保管しておく必要があります。
定期的に見直しをする
コンティンジェンシープランは、組織の変化や環境の変動に合わせて定期的な見直しが必要です。緊急時の訓練を行うことで、既存のコンティンジェンシープランに対して改善点が発見されます。
発見された改善点に応じてプランの見直しや改訂を行った場合は、これらの情報を従業員に共有し、理解を促しましょう。このように、プランを策定し、見直しやシミュレーションを行って改善点を見つけ、改訂するサイクルを続けることで、コンティンジェンシープランを質の高いものにすることができます。
コンティンジェンシープラン構築の際に気をつけたい3つのこと
コンティンジェンシープランの構築において気をつけるべき点は以下の3つです。
- プラン策定を目的としない
- ブラッシュアップを繰り返す必要がある
- 従業員に目的を共有
ここでは、3つの注意点について詳しく解説します。
プラン策定を目的としない
コンティンジェンシープランを策定する際は、プランの策定を目的としないよう気をつけなければなりません。柔軟性と適応性を重視して質の高いプランを策定していくのが望ましいですが、運用までに相応の時間も要します。
プランは、策定して運用していくことで、書面上では気づけなかった新たな問題点や改善点の発見につながります。運用までに時間がかかることが分かる場合は、プラン策定が完了するまでの間、作成途中のプランを仮運用することで、組織は何らかの指針に基づいて行動できるようになるでしょう。
ブラッシュアップを繰り返す必要がある
環境やリスクの変化に合わせてプランをアップデートする必要があります。組織は常に変化しているため、新たなリスクや課題が生じる可能性があり、定期的に環境の変化をモニタリングし、プランに適切な変更を加えることが重要です。
また、ブラッシュアップに加え定期的な従業員の訓練も行いましょう。緊急時は現場の判断で動かなければならない場面もあります。そのため、従業員が自身の判断で適切に対処できる教育が必要です。
従業員に目的を共有する
組織全体が一貫した目標に向かって行動するには、従業員がプランの目的を理解し、その重要性を認識する必要があります。そうすることで、緊急事態やリスクが発生した際に迅速かつ効果的に行動することができるでしょう。
コンティンジェンシープランは、不測の事態が発生した際の計画書のため、緊急事態にならない限りは使用されません。そのため、多くの時間や労力をかけて策定することに対して、従業員からの理解が得られない可能性もあります。
従業員にプランの目的や重要性について説明して、納得してもらうことで、現場の意見を取り入れた質の高いコンティンジェンシープランにつながります。従業員に正しく理解してもらうために、コンティンジェンシープランについて説明する場を設けるとよいでしょう。
コンティンジェンシー理論を上手く活用するには?
リーダーは、組織の状況や環境に応じた柔軟性と適応性が求められます。
コンティンジェンシー理論を組織で上手に活用するために行うべきことは、主に以下の4点です。
- グローバル化の対応力を上げる
- 柔軟な組織づくりを心がける
- 様々な人材を採用する
- 現代に合わせた人事制度を作る
グローバル化への対応力を上げる
市場の特性やビジネスのルールに精通し、効果的な戦略を立てるには、グローバル化への対応が必要です。日本企業が世界的な競争力を高めるためにも、グローバル人材の採用が求められています。
グローバルな人材を採用することは、企業内での多様な考え方や広い視点を生み、変化しやすいビジネス環境に対応できる組織になります。また、グローバル化への対応力を上げることで、新しい価値観や視点に触れることによる従業員の創造性向上にもつながるでしょう。
柔軟な組織づくりを心がける
柔軟な組織は、新たなニーズや状況に対応する能力を持ち、変化に迅速かつ効果的に対応できる特徴があります。
例えば、リーダーを定期的に変更したり、組織体制を縦割りから横のつながりを意識したものにするなど、様々な方法で組織を柔軟に変更します。これらの取り組みで情報の共有や意思決定の促進を図ることで、迅速な意思決定や柔軟な行動が可能になるでしょう。
コンティンジェンシー理論では、組織がフラットになる分、リーダーシップの役割も大きく、柔軟性を奨励し、挑戦を促すリーダーの存在が必要です。あらゆる従業員がリーダーとして活躍できる場を設けることで、従業員の主体性が強まったりコミュニケーションが活発化したりなど、組織にとってよい効果が生まれるでしょう。
様々な人材を採用する
様々な人材を採用することで、多様な視点やアイデアが生まれ、問題解決やイノベーションの能力が向上します。コンティンジェンシー理論に基づき、状況に応じて適切なリーダーシップを発揮して組織を動かしていくには、異なる考え方や価値観を持つ様々な人材が必要です。
考え方や価値観が同じ従業員が揃っている場合、従業員同士の衝突は起きづらく、業務がスムーズに進む可能性もあります。しかし、多様なアイデアが生まれず、間違った対処法でも従業員同士の意見が一致してそのまま進んでしまうケースが考えられるでしょう。
変化しやすいビジネス環境に正しく対応して進んでいくためにも、様々な人材を採用して多様性のある組織にしていくことが必要です。
現代に合わせた人事制度を作る
一度決めた人事制度をずっと変えずに運用していくのではなく、定期的に見直して改善していく取り組みも必要です。
従業員や組織全体に多様性を求めるのであれば、一人一人の能力や価値観、個性などの活用に関する評価項目を取り入れることで、求める組織像に近づけられるでしょう。
また、定期的な評価だけでなく、目標管理を重視した制度の導入など、従業員が自身の目標を設定し、成果に基づいて評価される仕組みを構築します。個人の成長や貢献度を重視し、パフォーマンスを向上させることが目的です。さらに、成果だけではなく、従業員自身が、目標に対してどのような取り組みを実施したかという点でも評価すると、スキルアップにつながるでしょう。
コンティンジェンシー理論を活用する際の2つの注意点
コンティンジェンシー理論を組織内で円滑に活用するために気をつけるべき注意点は、以下の2点です。
- 組織管理が難しくなる
- 知識・技術の蓄積が難しくなる
この2つは、コンティンジェンシー理論の中でリスクにもなり得る部分です。注意点を踏まえた上で策定し、運用に活かしていきましょう。
ここでは、コンティンジェンシー理論を活用する際の2つの注意点について、詳しく解説します。
組織管理が難しくなる
コンティンジェンシー理論では、一つの決まった組織体制や管理スタイルが適用されるわけではありません。状況によっては、組織の構造やプロセスを柔軟に変化させる必要があります。
常に変化する組織スタイルでは、管理に目が届かない場面もでてくるかもしれません。そのため、管理者やリーダーは変化に素早く対応し、柔軟な意思決定を行う必要があります。
適切な組織体制を構築するためには、状況分析から組織の目標や戦略、外部環境の変化などを評価し、特定の状況に適切な管理スタイルを選択しなければなりません。この際に、コンティンジェンシー理論で説明される状況好意性を正しく把握することが大切です。組織の状況を正確に分析し、状況に合わせた対応をすることで、適切な組織管理につながります。
知識・技術の蓄積が難しくなる
コンティンジェンシー理論では、知識や技術の蓄積が難しくなる点に気をつけなければなりません。
この理論では、特定の状況や環境に応じた適切な管理手法を探す必要があり、そのためには経験や実践が重要とされているためです。経験や実践を通じて得られる知識や技術は、特定の状況においては上手に活用できますが、異なる状況では対応方法も変わるため、過去の知識や技術がそのまま適用できるわけではありません。
つまり、組織環境が変化するたびに、リーダーの在り方やリーダー自体を変更すれば、その組織における知識や技術が蓄積されなくなってしまうでしょう。
まとめ
コンティンジェンシーとは、予期せぬ出来事や状況を意味する言葉です。ビジネスでは、コンティンジェンシーに対応するための対策や計画を「コンティンジェンシープラン」と呼びます。近年の自然災害やIT技術の進化により、コンティンジェンシープランの関心は高まりつつあります。
また、変化する環境に対応する組織改革においては、「コンティンジェンシー理論」をベースとしたリーダーシップが必要です。
コンティンジェンシープランの構築や活用および、コンティンジェンシー理論の活用は、メリットがある一方、様々な注意点もあります。注意点を正しく把握し、自社に合う形で導入すれば、よりよい方向へ組織を高めていけるでしょう。
あらゆる人事データを一括管理できるマネジメントシステム「タレントパレット」では、人事業務に必要な評価フローをワンストップで実現し、効率的な人事評価を実現します。
また、定期的に組織診断を実施することで、組織の改善状況を可視化します。組織別に比較し、社員の配置検討や優秀な組織の要因分析を行い、経営の意思決定支援も可能です。
まずは無料の資料請求で詳細をご確認ください。
タレントパレットのHPはこちら