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確証バイアスとは、認知バイアスの一種であり、自分の先入観や思い込みを肯定するために、無意識のうちに自分にとって都合の良い情報ばかり集めてしまうことを指します。確証バイアスの影響を強く受けた場合、ビジネスに支障をきたすケースも珍しくありません。
では、確証バイアスはどのように起こり、ビジネスにどんな影響を与えるのでしょうか。
本記事では、確証バイアスが生じる原因やビジネスシーンにおける事例をみていきましょう。
確証バイアスとは何か
確証バイアスとは、自分の先入観や思い込みを肯定するために、都合の良い情報のみを集めてしまう傾向のことです。確証バイアスが働いていると、思い込みを否定する情報があっても頭に入ってきません。実は、多くの人は無意識下で頻繁に、確証バイアスを起こしているといえます。
似たような考え方
確証バイアスは認知バイアスの一種です。認知バイアスとは、物事を判断する際に、これまでの経験や直感、思い込みに影響されて非合理的な判断をしてしまう心理現象を指します。
認知バイアスには様々な種類があります。ここでは、確証バイアスに似た考え方を2つ、見ていきましょう。
・正常性バイアス
正常性バイアスは、予想しない出来事に遭遇した際に「ありえない」と感じてしまう心理現象です。たとえば、火事や地震など大きな災害が起こった場合、「ありえない」と感じてしまい、「危険である」と認識できずに逃げ遅れてしまうケースがあります。
建物の中にいて非常ベルが鳴った場合に「誤報に違いない、大丈夫だろう」と思い込んで、避難しない場合もあるでしょう。このような心理状態は正常性バイアスが働いているために起こるのです。
・ゼロサム思考
「誰かが得をした場合、必ず別の人は同じだけ損をする」と考えてしまうのがゼロサム思考です。全員の利益の総和がゼロになる「ゼロサムゲーム」をベースにした考え方に基づいています。実際にはゼロサムの原理が働いていない場所でも、そのような考えに支配されてしまう点は知っておきましょう。
たとえば、仕事上で「部下のAさんの売上が増えたら、その分自分の売上が減ってしまう」と考え部下に仕事を教えないような場合は、ゼロサム思考に支配されているといえます。
確証バイアスが生じる原因
確証バイアスは誰でも抱いてしまう自然な現象です。しかし、ビジネスの場で無意識に確証バイアスがかかっている場合、不利益が生じる可能性もあります。
予防するためには原因を把握しなければなりません。ここでは、確証バイアスが生じる原因をみていきましょう。
正当性の証明のため
確証バイアスは、自分の考え方が正しいと信じ、その正当性を証明するために生じます。たとえば、自分の立てた仮説に対して、「正しいと信じるあまり、それを立証するデータだけを集め、否定するデータには目をとめない」といったことが起こるのです。
先入観と思い込み
これまでの人生経験などで得た先入観と思い込みから、次のように無意識に物事を判断してしまうことも、確証バイアスが生じる原因の1つとなります。
・個人の特徴を見ず大きな枠で人を判断してしまう
例.「A型の人間だから几帳面に違いない」「Z世代だから効率性を重視するだろう」
・根拠のない先入観を持って人を判断してしまう
例.「運動部に入っていたから上下関係がきちんとしている」「男性だから家庭よりも仕事を重視するに違いない」
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確証バイアスの防止対策
ビジネスシーンでは確証バイアスが邪魔になるケースは多いといえるでしょう。
たとえば、採用面接などで確証バイアスがかかった場合、第一印象だけで相手のことを決めつけてしまい、優れた人材の採用を見送る結果になるケースも想定されます。
ここでは、確証バイアスの防止対策についてみていきましょう。
確証バイアスの認知
確証バイアスは特別なものではなく、誰にでも起こり得るものであると認識しておくことが大切です。確証バイアスの可能性を認知することで、自分が何か判断を下す際に「これは確証バイアスの影響を受けているのではないか?」と、疑うことが可能になります。
確証バイアスを認知すれば、他人の意見に対しても「確証バイアスの影響を受けているのではないか?」という視点を持ちながら、他の従業員の話も客観的に聞けるようになるでしょう。
否定的な情報を受け入れる
確証バイアスが働いている場合、否定的な情報が入ってこなくなります。そのため、定期的に「否定的な情報を見落としていないか?」と意識し、探してみる習慣・仕組み作りが大切です。
自分の意見に対し否定的な情報をあえて受け入れることで、確証バイアスを防止し、客観的な視点からの判断が可能になるでしょう。
専門家の意見を参考にする
専門家の意見を聞くことで視野が広がり、先入観や思い込みの偏りに気付くことが可能になります。
たとえば、サービスや商品の担当者として、反対意見が多く納得できない場合に専門家の意見を聞いてみることが大切です。視野を広げ多くの意見に耳を傾けることが確証バイアスの防止につながります。
企業として、手順やフローの中に専門家への確認を条件とすることも検討しましょう。
具体的な数値を確認する
具体的な数値に基づいて判断すると、確証バイアスの影響を受けづらくなります。たとえば、人事評価を下す際も、印象やイメージではなく「営業成績」「勤怠情報」といった数値を元に判断することで、確証バイアスの影響を受けづらくなるでしょう。
ビジネスシーンにおける確証バイアスの事例
ここでは、ビジネスシーンにおける確証バイアスの事例をみていきましょう。人材採用や面談などに関しても事例を知ることで、判断の誤りを避けられます。
人材採用
人材採用は短い採用時間の中で、応募者が自社が求める人材とマッチしているかどうか見極めなければなりません。
また、面接時には、応募者の第一印象で判断してしまう傾向にあり、次のような確証バイアスの影響を受けやすくなるといえます。
- 有名大学出身だから仕事をこなす能力も高い
- 容姿によって、営業ができるかどうか判断する
- 年齢が高いのでPCは十分に扱えない
面接時の第一印象が良かったため、履歴書の良いところの情報しか入ってこないといった影響を受けるケースも多いでしょう。
人材採用時には、確証バイアスの影響を受けることを前提に、複数人で客観的に判断する・異なる意見がないか検証する、といった仕組みや手順をルールや意識として取り入れると良いでしょう。
人事評価
人事評価に関しても次のように確証バイアスを受けることがあります。
・上司が「態度の良い部下は仕事ができると思い込む」
・営業成績の高い社員に対し、勤務態度などの評価も無意識のうちに評価が高くなる
人事評価は給与や賞与、昇進などに影響するため公平な評価が必要です。確証バイアスの強い人事評価は、「上司に気に入られなければ出世できない」「公平な評価が得られない」など、多くの従業員のモチベーションを下げてしまうことがあるため、すぐに改善が必要です。
人事評価の確証バイアスを防止するためには、「数値で判断する」「複数人で評価する」「過程も加味する」など、企業の仕組みとして、工夫が必要になるでしょう。
マーケティング
確証バイアスは、ビジネスの中でポジティブに作用することもあります。そのため、マーケティングにおいては、確証バイアスが意識的に活用されている場面もある点は知っておくとよいでしょう。
たとえば、一度自社サイトを訪れたユーザーに対し、サイト離脱後、ユーザーが他サイトの閲覧中に自社サイトの広告を載せるマーケティング手法(リターゲティング広告)があります。
企業がリターゲティング広告を出している場合、ユーザーは様々なサイトで何度も「以前訪れた企業サイト」の広告を見ることになるのです。同じ広告を何度も見ているうちにユーザーは「この商品は何度も見かけるから、人気が高いに違いない」と確証バイアスの影響を受けて、商品購入に至るケースもあります。
まとめ
確証バイアスとは、自分の先入観や思い込みを肯定するために、無意識のうちに自分にとって都合の良い情報ばかり集めてしまうことを指します。誰にでも起こりうる心理現象であるものの、ビジネスシーンでは公平な人事評価ができなくなるなどの問題が生じるため注意が必要です。
「確証バイアスを認知する」「否定的な意見を取り入れる」「専門家に意見を聞く」「具体的な数値を取り入れる」などの工夫で、確証バイアスを防止してみましょう。
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