コンピテンシー面接は行動や考え方から適性を判断する手法!手順やメリット・デメリットも解説


コンピテンシー面接は行動や考え方から適性を判断する手法!手順やメリット・デメリットも解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。採用のミスマッチや偏った評価など、人材採用における課題でお悩みの方は多いのではないでしょうか。


そこで本記事では、過去の経験に基づいて特定の能力を評価するコンピテンシー面接について詳しく解説します。コンピテンシー面接を行う際の手順やメリット・デメリットを解説するので、人材採用でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。


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コンピテンシー面接とは?導入する目的と通常の面接との違いを解説

コンピテンシー面接は、能力や特性を深く理解できる手法として注目されています。この章では、コンピテンシー面接の特徴や実施する目的を解説します。通常の面接との違いも説明するので、しっかりと理解しておきましょう。


コンピテンシー面接とは

コンピテンシー面接は応募者の具体的な行動や経験を通じて、必要なスキルや能力を評価する手法です。コンピテンシーとは、特定の役割や職務において成功するために必要な能力を指します。具体的には、以下のような能力が含まれます。


  • 問題解決能力
  • コミュニケーションスキル
  • リーダーシップ
  • チームワーク
  • 自己管理
  • 業務知識
  • 決断力


コンピテンシーは職務内容に応じて設定されるため、組織が求める人材像の明確化につながります。採用や育成の基準として活用され、人材管理や評価において重要な役割を果たします。コンピテンシー面接は特定の職務に必要なスキルや特性を事前に定義し、具体的な行動や成果を引き出すための質問を行います。


コンピテンシー面接を行う目的

コンピテンシー面接の目的は「職務に必要なスキルや能力を応募者が持っているか」を判断することです。具体的な経験や実績をもとに評価し、将来のパフォーマンスを予測します。


応募者の問題解決能力やコミュニケーション能力、さらにはストレス耐性などを明確な基準で評価し、企業の方針や価値観に合う人材かを見極めることを目的としています。自社に合う人材を見極め、採用のミスマッチの軽減が期待できるため、非常に注目されている評価方法です。


一般的な面接との違い

コンピテンシー面接は、過去の具体的な行動や経験に焦点を当てるのが特徴です。具体的な事例をもとに応募者の能力を示すことを求めているため、特定の職務での経験について深掘りしていきます。実際の経験に基づいて「どのような状況で」「どう行動したか」、さらに「どのような結果になったか」を詳しく聞き出します。


一方で一般的な面接は、応募者の人物像を知るための質問が多いです。経歴や志望動機に関する質問に加えて、応募者が自身の良い点や強みをアピールする機会が設けられます。一般的な面接は主に応募者の適性を広く把握するのに対し、コンピテンシー面接は具体的な経験をもとに特定のスキルや能力を評価します


効果的なコンピテンシー面接を行う手順5ステップ

この章では、コンピテンシー面接を行う際の手順を紹介します。


  1. コンピテンシーモデルの設定
  2. 評価シートの作成
  3. 面接官の育成
  4. コンピテンシー面接の実施
  5. 応募者の評価


コンピテンシー面接は十分な準備を行い、適切な手順に沿って進めることが大切です。


コンピテンシーモデルの設定

コンピテンシーモデルの設定とは、特定の職務や役割に必要なスキルや特性を明確に定義するプロセスです。自社で優秀な成績を収めている社員の特性から、企業が求める人材像を具体化します。コンピテンシーモデルを設定する際は、以下のポイントを考慮しましょう。


  • 職務分析:職務に必要な能力を明確にし、業務内容を詳しく分析する
  • 必要なコンピテンシーの特定:チームワークや問題解決能力など、職務に関連する具体的な能力をリストアップする
  • 評価基準の明確化: 各コンピテンシーについて、どのような行動が期待されるかを定義する


設定したコンピテンシーモデルに基づいて面接や評価を行うことで、一貫性のある人材選定が可能です。


評価シートの作成

設定したコンピテンシーモデルに沿って、各能力の具体的な定義や基準を記載した評価シートを作ります。評価シートには、以下のような項目を設けると良いでしょう。


  • 応募者情報
  • 必要なコンピテンシー
  • 評価基準
  • 各コンピテンシーに関する具体的な行動指標
  • 応募者の回答
  • 追加質問と回答
  • 総合的な適正評価
  • フィードバック
  • 強みや改善点
  • 評価者情報


評価シートは、応募者の適性を体系的に判断するツールとして活用します。作成したシートに基づいて応募者の適性を総合的に評価することで、組織が求める人材かを見極められます。また評価シートを使って面接を行うことで、異なる面接官でも同じ基準を持って判断できるので、一貫性のあり偏りのない公正な人材採用を実現可能です。


面接官の育成

コンピテンシー面接の有効性を高めるためには、面接官が十分なスキルを身につけておく必要があります。面接官に求められる主な知識やスキルは、以下のとおりです。


  • 職務や業界に関する専門的な知識
  • 応募者の本質を引き出す質問技術
  • コミュニケーション能力
  • 応募者のスキルや特性を見極める能力
  • 客観的に評価する能力
  • 応募者への具体的かつ建設的なフィードバックスキル
  • 状況に合わせた質問やアプローチを行う柔軟性


コンピテンシーの理解を深めるための研修を行い、基本的な知識やスキルを身につけてもらうことが大切です。実際の面接を想定したロールプレイングを行い、質問技術や応募者の評価スキルが身につくよう実践的に学習します。


また面接後はフィードバックを行い、良かった点や改善すべき点を明確にしましょう。コンピテンシー面接の一貫性と客観性を確保するために、面接担当者に対して十分な教育や育成を行うことが重要です。


コンピテンシー面接の実施

コンピテンシー面接実施時は作成した評価シートに基づいて質問し、応募者の過去の経験に焦点を当てて深掘りしていきます。過去の行動や経験を深掘りする際は、STARメソッドを用いて質問します。STARメソッドは、以下の4つに分けて構造的に説明してもらうことが重要です。


  • Situation(状況):どのような状況だったか、環境や時間など説明に必要な背景
  • Task(タスク):応募者が置かれた状況において、自分に与えられた課題や目標
  • Action(行動):課題に対して、自分が行った具体的なアクション
  • Result(結果):自分の行動の結果により得られた成果(数字や具体例を交える)


STARメソッドを用いることで、応募者の思考プロセスや問題解決能力が明確になります。面接中は応募者の話を聞き出すことに集中し、話しやすく落ち着いた雰囲気を作り出すことを意識しましょう。深掘りする際は5W1Hを意識することで、さらに詳しい状況や行動を知ることができます。


応募者の評価

面接官は事前に設定した評価基準に基づいて、候補者の行動や成果を具体的に評価することが重要です。評価時には各コンピテンシーごとの具体的なエピソードを確認し、個人的な感情や先入観に左右されないよう注意しましょう。


複数の面接官がいる場合は評価を共有し、異なる視点を取り入れることで総合的な判断が可能です。具体的かつ建設的なフィードバックを行い、応募者に明確な評価を伝えます。


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コンピテンシー面接のメリット3選

コンピテンシー面接を実施するメリットは、以下のとおりです。


  • 応募者の能力や特性を深く見極められる
  • 人材評価を統一できる
  • 採用のミスマッチ防止


人材採用でお悩みの場合は自社の課題と照らし合わせて、面接方法を決定する際の参考にしてみてください。


応募者の能力や特性を深く見極められる

コンピテンシー面接では、過去の行動や経験に基づいた具体的な質問が中心となります。応募者には、特定の状況や課題に「どのように対処したのか」を説明してもらいます。過去の行動や経験について深く質問するので、応募者が「どのような考え」で「どう行動したか」を知ることが可能です


また、STARメソッドにより行動や結果の具体的な回答を得られるので、応募者の本質を深く理解できるのがメリットです。行動に基づいたアプローチであるため応募者の本質を深く理解しやすく、職務や役割に対して必要なスキル・知識を持っているかを見極められます。


人材評価を統一できる

コンピテンシー面接では、特定のスキルや行動特性に基づく質問を設定します。応募者の具体的な行動や実績に焦点を当てるので、複数の面接官が同じ基準を使って評価できます。


異なる視点を持つ面接官であっても、個人的な意見や価値観による偏った評価を減らせるのがメリットです。応募者の回答を一貫した視点で分析できるので、企業が求める職務に適した人材選定につながります。


採用のミスマッチ防止

コンピテンシー面接は、履歴書や職務経歴に書かれていることだけでなく、応募者の過去の経験や行動など実際の能力に注目して評価します。事前に職務に必要なスキルや知識を定義し、面接官は企業側が求める能力に関連する具体的な質問を行います。


過去の具体的な経験に焦点を当てた質問を繰り返すので、企業側は応募者の能力や行動特性をより深く理解できる面接方法です。コンピテンシー面接は「応募者が職務に必要なスキルを持っているか」を判断できるので、採用のミスマッチを減らす効果が期待できます


コンピテンシー面接のデメリット3選

コンピテンシー面接は応募者の能力や特性をより深く見極められる一方で、導入コストの増加や応募者の辞退を招く恐れがあるなどデメリットもあります。デメリットを考慮せず導入してしまうと、意図しない影響があったり期待していた結果が得られなかったりすることがあります。コンピテンシー面接を行う際は、デメリットを十分理解して導入することが大切です。


導入コストの増加

コンピテンシー面接で効果的な評価を行うためには、面接官のトレーニングや事前の準備が欠かせません。コンピテンシー評価の理解を深めるための教育や研修には費用がかかり、コスト増加につながる可能性があります。また、面接時間が長くなる上に複数回の実施が必要になることから、人材採用にかかる費用が増える場合があります。


コンピテンシーモデルの設定が難しい

コンピテンシーモデルとは、特定の職務や役割において成功するために必要なスキル・行動特性など、さまざまな要素を体系的に整理したフレームワークです。コンピテンシーモデルを設定し、組織が求める能力を明確にすることで、人材採用において適正な評価が行えます。


コンピテンシーモデルを設定するためには、自社の優秀な社員を分析した「人物像」の特定が必要です。また職務ごとに求められる能力は異なるため、多様な要素を考慮したコンピテンシーモデルを設定しなければなりません。そのため自社が求める人材となるモデル社員がいない、または少ないと重要な能力を特定するのは難しいです。


応募者の辞退を招く恐れがある

採用面接は企業側が求める人材を見極めるとともに、応募者の「ここで働きたい」という意欲を高める機会にすることが望ましいとされています。応募の段階では、まだ「働きたい」「入社したい」という意欲が低い可能性があるからです。


「入社したい」という意欲を高めるためには、応募者が働くうえで重視しているポイントを把握して的確な情報を提供する必要があります。しかしコンピテンシー面接は能力を見極めることに時間を使うため、企業側の情報を伝えて入社の動機付けにつなげることは難しいです。応募者の能力を見極められても、入社の意欲を高められなければ採用を辞退される恐れがあるため注意が必要です。


まとめ

コンピテンシー面接では企業が求める人材像を明確にできるため、職務に対する適性があるかの判断がしやすい評価手法です。コンピテンシー面接を実施することで、組織に適した人材を確保できる確率が高まります。しかし、コンピテンシーモデルの設定が難しいことや導入コストの増加など、課題もあるので活用する際は注意が必要です。


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