認知的不協和をわかりやすく解説!具体例や使い方、解消方法も徹底解説!


認知的不協和をわかりやすく解説!具体例や使い方、解消方法も徹底解説!

「認知的不協和」は自分の考えと行動に矛盾が生じる認知を抱えている状態を指す言葉です。認知が歪んでしまうと、正しく物事を捉えられなくなるので注意が必要だといえます。今回は、認知的不協和の具体例や解消方法を詳しく紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


「認知的不協和」は自分の考えと行動に矛盾が生じる認知を抱えている状態を指す言葉です。認知が歪んでしまうと、正しく物事を捉えられなくなるので注意が必要だといえます。


この記事では、認知的不協和の具体例や解消方法を詳しく解説します。


認知的不協和の意味とは?

認知的不協和(cognitive dissonance)とは、自分自身の考えや行動などと矛盾する認知を抱えている状態をいいます。また、そうした状態に不快感を抱くといった特徴も見られます。


例えば、「タバコは体に悪い」と頭では理解していても、一方で「タバコを吸ってしまう」行動をとるといったケースがあげられます。矛盾した認知を抱えている状態だといえるでしょう。


認知的不協和に関する心理学者の実験

認知的不協和はアメリカの心理学者であるレオン・フェスティンガーによって提唱された理論です。彼が行った実験として、以下のものがあげられます。

・学生に単調な作業を行ってもらい、報酬を支払う(高い報酬を支払うAグループと少ない報酬を支払うBグループに分ける)。

・次に同じ作業をする学生に、その作業の楽しさを伝えさせる。

上記の実験では、「単調な作業」という認知と、「作業の楽しさを伝える」という行動に矛盾が生じています。実験結果では、報酬が少なかったBグループの学生は、報酬が高かったAグループの学生と比べて、作業の楽しさを一生懸命に伝えました。


この実験からわかる点は、Bグループの学生はわりに合わない報酬であるにもかかわらず、作業の楽しさを伝えなければならないため、その矛盾を解消するために「本当はこの作業は楽しいのかもしれない」と思い、認知そのものに修正を加えたといえます。


一方で、Aグループの学生は十分な報酬を得ていたので、Bグループの学生のように認知的不協和を抱えませんでした。そのため、作業に楽しさを見出そうとする心理は働かなかったものと、実験結果から考察されています。


認知的不協和理論の具体例を5つ紹介!

認知的不協和の理論を正しく学ぶには、具体的な例を知っておくと理解が早くなります。ここでは、認知的不協和としてよく取り上げられる5つの事例を紹介します。


タバコが止められない

認知的不協和の代表例として、体に悪いと知りながらもタバコを吸ってしまう行為があげられます。認知的不協和が生じている状態ですが、喫煙者はタバコを吸い続けることになるため、次第に自らの行為を正当化してしまい、認知的不協和を低減しようとする傾向がみられます。


飲食店の行列につい並ぶ

飲食店の行列に並んで待つ人は、飲食店に持つ不満が少ないほど待ち時間が長いといわれています。つまり、認知的不協和の度合いが強い人ほど、並ぶ時間が長くなる傾向が見られるのです。


まだ食べる前にも関わらず、「長い時間をかけて並ぶのだから、きっと美味しいお店に違いない」と考え、認知的不協和を解消しているといえるでしょう。


会社を辞めずに続けてしまう

給与が低く、残業が多い会社に勤めている人がいたとします。労働環境としてはあまり望ましい状態ではないはずなのに、上司から「社会貢献をしている仕事だ」と言われると認知的不協和が生じるケースがあります。


本来、待遇面にあまり納得していないにも関わらず、「自分は正しい仕事をしている」と自分を納得させることで認知的不協和を解消しています。


出世した後輩に納得がいかない

自分よりも後から入社した後輩が出世した場合、「後輩に先を越された」という事実と「本当は自分が先に出世するべき」という考えに矛盾が起こります。そのため、「後輩は上司に取り入ったから出世したはずだ」「自分は出世よりも、現場の仕事が好きだ」という認識を抱くことで、自分自身を納得させる傾向が見られます。


目標達成に届かない

管理職の立場でいくら一生懸命に努力をしても、なかなか目標を達成できない状態にあったとします。会社からは「目標を達成しなさい」と言われていても、「目標を達成できない」という事実があります。


この矛盾した状態を解消するために、「目標設定に無理がある」「そもそも部下の能力が低すぎる」といったことを考え、目標を達成できない理由を正当化するケースがあるといえるでしょう。


認知的不協和を解消するには?

認知的不協和を解消するために、自分にとって都合の良い理由を見つけようと人はしてしまうものです。しかし、そうした行為をとることで認知的不協和は抑えられたとしても、本質的な問題の解決にはつながりません。


認知的不協和を根本から解消するために、どのように向き合えばよいかを解説します。


価値の付与

「価値の付与」とは、新たな価値を与えることで認知的不協和を改善する方法です。タバコの例でいえば、「タバコを吸う」ことに理由を見つけがちですが、価値の付与を「タバコを吸わない」ことに見つけてみるのが大事です。


タバコを吸わなければ、「お小遣いが増える」「周りから褒めてもらえる」といった考えにシフトしてみると良いでしょう。タバコを吸わないことによる価値が、吸うことで得られる価値を上回れば、認知的不協和をうまく解消できます。


脱価値化

「脱価値化」はそもそも、前提となる条件を変化させて価値をなくしてしまうことで、認知的不協和を改善する方法です。ダイエットの例であれば、そもそも「食べること」に価値を見つけてしまっているので、「食べるための理由」を探しがちになるといえます。


そこで、「スイーツは美味しい」といった価値観を「スイーツは美味しくない」と無価値にしてしまうことで、スイーツに対する欲求そのものをなくしてしまいます。また、自分の好みではないスイーツを用意しておくことで、スイーツに対する欲求そのものを消すのも良いでしょう。


食べることの前提となる価値に変化が生じれば、認知的不協和を改善できるでしょう。


あらゆる人事データを統合して分析

認知的不協和は程度の差はあっても、多くの人が抱えているものなので、まずは正しく理解をすることが大切です。その上で、根本的に問題を解決する方法を探ってみましょう。


タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、あらゆる人事データを一元管理し、活きた情報として最大限に価値をもたらすためのツールです。個々の従業員の特性を把握するのに役立ちます。


ご興味を持たれた方は、ぜひ下記より資料をダウンロードしてみてください。

時代は人材情報「管理」から人材情報「活用」へ!

タレントマネジメントシステム『タレントパレット』で、様々な経営課題と向き合えます。

・あらゆる人事情報を一元集約

・人材の見える化で埋もれた人材を発掘

・AIシミュレーションで最適配置を実現

・簡単操作で高度な人事分析が可能

タレントパレットの資料を見てみたい

マーケティングも活躍!認知的不協和の使い方

認知的不協和は、マーケティングなどビジネス領域においても活用されています。どのような使い方があるのかを紹介します。


タイトルやキャッチコピーに入れる

認知的不協和を使ったマーケティングの手法として、本のタイトルや広告のキャッチコピーに応用するといったことがあげられます。例えば、「1日たった5分の運動で人生を変えられる」というタイトルの本があった場合、「運動はつらい」という認知と、「少しの努力で変えられる」という認知に矛盾が生じており、認知的不協和が発生し、本を購入することを正当化しようとします。


わざと認知的不協和を生じさせることで、ターゲット層に認知的不協和の解消を促す目的(本の購入)を達成できるのです。


アフターフォローの徹底

商品を購入した後に、正しい買い物をしたかどうか気になってしまう場合には、認知的不協和によって「自分の買い物は正しかった」と思い込もうとする心理が働きます。アフターフォローを行う営業担当者は、あえて顧客に対して「正しい買い物をした」という認知を念押しします。


そうすることで、顧客は自分の判断に誤りはなかったと思い、認知的不協和が解消するのです。


行動するための理由を提案

商品を買うべき理由を提示すれば、顧客の認知的不協和が解消され、商品を購入してもらいやすくなる傾向が見られます。例えば、顧客が「今必要なわけではないけど、欲しくないわけではない」と購入をためらっている状況だった場合、販売スタッフはその商品が必要な理由を提案してあげると良いでしょう。


丁寧に説明することで、顧客は「やっぱり今買わないといけない」といった心理になり、結果として商品の購入につなげられます。


営業中に顧客が聞いてくれるお願いをする

セールスを警戒している顧客がいたとして、営業担当者が「こちらの資料を読んで頂けますか」とお願いし、顧客が承諾したとします。顧客としては「セールスを警戒している」認知を持っているにも関わらず、「願いを受け入れた」という認知が発生し矛盾が生じます。


そうした流れから、顧客は「願いを受け入れたのだから、実はセールスに興味があるのかも」と認知的不協和を起こすのです。


人間関係を構築しておく

商品を販売する際に、商品そのものを売り込むよりも、販売スタッフの人柄を売り込む方法があります。初めのうちは否定的だった顧客が、徐々に販売スタッフを信頼することで、最終的に商品を購入してくれるというケースは意外と多いものです。


商品をどのように売るかといった視点も大事ですが、良好な人間関係を築くことにも意識を向けてみましょう。


認知的不協和に関するおすすめの本

認知的不協和をさらに深く学ぶには、関連する本を読んでみるのも良いといえます。ここでは、3冊の本を紹介します。


認知的不協和の理論-社会心理学序説

『認知的不協和の理論-社会心理学序説』は、アメリカの心理学者であるレオン・フェスティンガー氏が書いた本です。認知的不協和の提唱者でもあるため、体系的に学べる本だといえます。


なぜあの人はあやまちを認めないのか 言い訳と自己正当化の心理学

『なぜあの人はあやまちを認めないのか 言い訳と自己正当化の心理学』は、認知的不協和の具体例が豊富に紹介されている1冊です。認知的不協和を解消するために、自己を正当化しようとする人間の心理をわかりやすく解説しています。


社会心理学 補訂版

『社会心理学 補訂版』は、心理学の専門家らが基礎から最新の話題までを網羅的に書いている1冊です。現代社会における様々な事業を紐解き、構造的に理解するために役立つ本だといえます。


あわせて覚えておきたいビジネス用語

認知的不協和と関連して覚えておきたいビジネス用語がいくつかあります。まず「返報性の法則」ですが、人は他者から報酬やメリットを受けると、何かお返しをしないと気が済まなくなる気持ちに支配されるという心理を表す言葉です。


次に、「ベン・フランクリン効果」ですが、助けてくれた人を好きになるのではなく、助けた人を好きになる意味となります。ビジネスを円滑に進めるためのヒントが詰まった言葉です。


そして、「ハロー効果」は特定の対象を評価するときに、人は目立ちやすい特徴に引きずられてしまい、他の特徴を軽視する現象を表します。例としては、テレビCMで好感度の高いタレントが出ていると、商品の悪い部分についてはあまり気にならなくなるといったことがあげられます。


まとめ

認知的不協和は、矛盾が生じた認知を正当化しようとする心理の動きを表すものです。基本的な特徴を押さえることで、ビジネスの面でも応用できます。


どのような業種であれ、商品やサービスを販売するには、顧客の心理を理解しておく必要があります。営業やマーケティング、広告宣伝といった業務に携わる人は特に理解しておくことが大事です。企業としても自社の顧客をきちんと理解しておくことは大切であり、人材育成にも影響を与える部分だといえるでしょう。


そこで活用したいのが、「タレントマネジメントシステム」です。タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムをいいます。


人材一人ひとりのスキルや保有資格、経歴などのデータをもとに、計画的な人材育成や高度な配置戦略を練るために活用できます。また、タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、データに基づいた科学的な人事を実現するためのシステムです。


あらゆる人事データを蓄積・統合することにより、精度の高い分析を行えるので、「マーケティングや営業に強い人材を育てたい」という方は、ぜひタレントパレットをご活用ください。


タレントパレットのHPはこちら