こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「人事評価以外の場で部下と会話する機会がない」「社員の現状が把握できていない」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
半年や1年に一度きりの面談機会では、仕事のプロセスや日常考えていることまで把握できません。コミュニケーション不足は、育成の遅れやモチベーションの低下に伴う離職増加の原因に繋がります。また、面談を定期的に行っていたとしても、目的をはっきりしないまま進めてしまうと、双方の時間ややる気を奪うリスクにもなります。
目的を定めた定期的な面談を開催することで、人材育成の方針を決めたり、相互理解を深めたりと、価値ある場となっていくのです。本記事では、面談の目的と種類、活用するためのコツについて解説していきます。
最後まで読むことで、育成や定着といった人材課題解決のヒントとなる面談が実施できるようになります。人事業務でお悩みの方はぜひ最後まで読んでみてください。
ビジネスにおける面談とは?目的を解説
社内面談は、企業と社員の双方が成長していく上で欠かせません。なぜなら、評価結果のみをフィードバックした際に比べ、以下の3つのメリットが得られるからです。
- 社員のモチベーションアップ
- 人事評価の精度向上
- 人材育成の速度を早める
半期に1回きりの面談だけでは、働く意義を見出しづらく、社員のモチベーションが低下してしまいます。現状や抱えている思いについて知りサポートやアドバイスを行うことで、社員も支援を受けている実感が得られて、前向きに業務に取り組むきっかけとなるでしょう。また、面談の頻度を高めることで、コンディションの悪い社員の早期発見や対処に繋がるため、離職率の低下を期待できます。
結果だけをみた評価は、社員からの不安も集まります。社員と一緒に通期・半期の目標を設計し、プロセスも含めて日々会話をしていきましょう。日々の進捗と最終結果を双方から振り返り、フィードバックすることで納得度の高い人事評価が可能です。
目標に向かっていく中でぶつかる壁を一緒に乗り越え、挑戦と改善に取り組むことで、社員成長の速度も上がります。また、今後のキャリアについて会話でき、中長期で磨くべきスキルや行うべき業務が明確となり、成長の幅が広がります。面談の目的について、より詳しく知りたい方は「面談目的」を合わせて読んでみてください。
人事面談の種類とは?ビジネスで重要な4つを紹介
社内で行う人事面談は4つに分類されます。各面談の目的や気をつけるべきポイントを知ることで、いつどのように実施すべきか判断しやすくなります。自社で面談を必要としているシーンを想像しながら、読んでみてください。
目標設定面談
社員の半期や年間の目標を定める場です。営業職であれば定量目標、事務職や専門職であれば、業務内容に沿った目標を、上司と部下ですり合わせながら決めていきます。期初に目標を設定し、期の終わりに達成度合いをもとに評価が決まるため、双方が納得するよう慎重に決めましょう。目標設定の際、3つのポイントを心がけてみてください。
- 目標は押し付けず、部下が能動的に決める
- ゴールに向けたプロセスの話し合いも同時に行う
- SMARTの法則に沿った目標にする
双方が納得するためには、部下が自発的に目標設定することが大切です。上司は、宣言された目標を客観視し、アドバイスします。また、ゴールを決めて終わりにせず、どうすれば達成できるかを検討することも忘れないようにしましょう。
SMARTの法則とは、目標が以下に当てはまっているかチェックする指標です。
- 具体的か
- 測定可能か
- 実現可能か
- 企業や自身に関連しているか
- 期限はあるか
意義のある目標設定に向け、意識してみてください。目標設定に悩む社員には、SMARTの法則をもとに「数値で測ったり期限を設けたりしてみては?」などヒントを与えてみましょう。
フィードバック面談
目標設定面談で決めた内容に対して、進捗や結果をフィードバックする場です。定量成果だけでなく、日常の行動も合わせて評価することで、社員のモチベーションアップに繋がります。フィードバック面談は、主に結果を伝える場と考えられがちですが、可能であれば期中にも機会を設けましょう。
評価期間まで本人に任せきりにしてしまうと、状況やスキルの差によって、進捗度合いに大きな個人差が出てしまうリスクがあります。努力の方向性を間違えており、目標達成まで遠回りしていることに気づかない恐れもあるでしょう。
定期的なフィードバック面談を通じて、ゴールに対して進捗度合いは好調か、取り組んでいる内容や課題は何かを確認していきましょう。こまめな確認が、社員の成長スピードを高めます。また、改善点ばかりでなく、期待や成長点を伝えることでやる気を促すことも大切です。
キャリア面談
今後のキャリア形成について、中長期の視点で会話していく場です。社員の興味分野や価値観の理解を通して人事配置や任せる業務を工夫し、前向きに働くきっかけを提供することが目的です。従来の面談は、今取り組んでいる業務に対して会話をすることがほとんどでした。
そのため、本人の想いに気づかぬまま、突然の離職となってしまうケースが発生します。また、任せている業務が本人のやりたいことと大きくかい離していると、モチベーションダウンも起こりかねません。社員自身に目を向け、将来のイメージや価値観を会話するキャリア面談では、中長期を見据えて今必要なことを会話していきます。
同じ業務内容でもやり方や捉え方を変えることで、仕事のつながりが見え、本人のやる気も向上します。企業側も転職の兆候を把握できるため、採用・育成計画が立てやすくなり、安定した経営が可能です。
1on1面談
話す内容を決めずに1対1で実施する面談を指します。上司と部下のコミュニケーションを目的としており、1対1で周囲を気にせず対話できる点が特徴です。
- 感じている課題
- 不安や懸念点
- モチベーションの状態
- 普段できていない相談
など、テーマを毎回変えながらざっくばらんに会話をしていきます。普段見えない社員の姿や、忙しくて手が回っていない悩みに向き合う機会を確保できるため、一人ひとりに沿ったアドバイスが可能です。同時に、相互理解が深まるため、信頼関係の構築にも役立ちます。
ビジネスを加速させる人事面談の流れとは?5STEPで解説
面談を意味ある時間にするためには、事前の準備が欠かせません。スムーズに進めるための流れを、5つのSTEPに分け、注意点と共に解説していきます。面談を行う前には、一度目を通してみてください。
事前準備
面談実施前には、双方が必ず事前準備を行いましょう。準備を行うことで、質の高い面談時間を確保できます。面談を主催する上司側だけでなく、部下側の準備も大切です。上司は、面談の目的を整理したり伝えるべき内容を決めたりします。面談の目的は事前に部下へ共有しておきましょう。
部下は目的を意識しながら、自身の業務の棚卸しと言語化を行います。その際、自己評価を記入できる面談シートがあると便利です。事前に準備をしないと、当日目的を伝えたり、成果を思い出す作業から始めたりと時間のロスが発生してしまいます。
意義のある面談にするためにも、準備は時間をかけて行いましょう。面談シートの活用方法について、もっと詳しく知りたい方は「面談シート」を合わせて参考にしてみてください。
アイスブレイク
慣れた相手であっても、いきなり本題に入らず、まずはアイスブレイクから始めましょう。面談は、本音で話すことが目的なので、話しやすい空気作りが重要です。いきなり話し始めてしまうと、緊張が抜けず、取り繕った答えになってしまう可能性があります。
業務に関係のない、カジュアルな話題から始めていきましょう。また、場所の工夫も緊張の緩和に役立ちます。リラックスしたい際はカフェ、周囲に聞かれたくない会話は個室など、目的や内容に応じて普段と異なる面談場所を利用してみることもおすすめです。ただし社外で会話する際は、情報漏洩に注意しましょう。
評価を受ける社員の自己評価を確認
場が暖まったら、面談に入っていきます。まずは部下から、良かった点・改善点について話してもらうようにしましょう。先に上司が評価をすると、部下は認識がずれていても切り出しづらく、話を合わせてしまう可能性があるからです。
また、話を聞く際は最後まで聞きましょう。途中で遮ったり、否定をしたりしてしまうと、話を聞いてもらえないと感じ、本音で話すことをやめてしまうリスクがあるからです。部下の自己評価を先にヒアリングすることで、上司の考えとのズレをあらかじめ把握できます。
評価や改善点を伝える
部下から話を聞いたあとは、評価を伝えていきます。フィードバックする際は、客観的な指標・根拠に基づいて伝えていくことで、受け手は納得して評価を受け入れられます。感情的にならないように注意しましょう。
伝える際は、話の順番も重要です。まずはポジティブな評価で、日頃の業務を労りましょう。そのあと、本人も自覚しているネガティブなことへの評価に移ります。最後に本人も気づいていない改善点を伝えるのが、スムーズな進め方です。ダメ出しすることが目的ではないため、相手の状況に合わせて伝え方は工夫しましょう。
- 何が良かった・悪かった(What)
- なぜできた・できなかった(Why)
- どのようにしたからよかった・すればよかった(How)
と質問を用いて掘り下げながら、本人に対して気づきを与えられるようにするとより良いです。課題を上司が決めつけてしまうのは、避けたいところです。
次の目標設定と行動設計を一緒に考える
評価・課題をすり合わせを終えたら、次の目標を一緒に考えましょう。せっかく課題の認識を揃えても、次につながる行動がないと改善はされません。目標設定の際のポイントは以下の3点です。
- 部下主体で目標を決める
- 目標と行動はセットで考える
- 中長期のキャリアに繋がっているかを意識する
人から決められた目標ではなかなかモチベーションは保てません。ゴールを決める際は自身で考えるようにし、上司はアドバイスにとどめましょう。また、目標を決めて終わりではなく、達成に向けた行動もセットで考えることで、次に何をすべきか明確にします。
自身のキャリアを見据えた際に、今回の目標が将来に繋がっているかも確認しながら決めると、成長速度が上がる要因となります。やる気のアップも期待できるため、ぜひ実践してみてください。
ビジネスの成長に繋がる面談とは?4つのポイントを解説
面談をただ行うだけでは意味がありません。双方にとって効果の大きな面談にするポイントは、継続し、前向きな結果を得られるよう調整することです。せっかく時間をかけて行う面談であれば、より意義のある場にできるよう、取り入れられる点から実践してみてください。
単発にせず、継続的に実施する
面談を行う上で最大のポイントは、一度やって満足しないことです。どんな面談も1回きりでは効果は発揮されません。日々の業務に追われている中で、話した内容を忘れてしまったり、途中でやめてしまったりと、面談後の進捗を追えられないからです。
面談を継続的に行うことで、話した内容を常に意識でき、改善・成長へと繋げられます。また、進捗が可視化されることで、必要なサポートも行いやすくなるでしょう。
相互コミュニケーションを意識する
一方的に伝える、ヒアリングするなど、片方が話す割合の高い面談は避けましょう。面談は、双方の考えを理解し、次に向けて建設的な議論を行う場です。
お互いが質問・意見を繰り返しながら進めるよう心がけが大切です。丁寧なアイスブレイクをしても、部下は上司に本音を話しづらいものです。部下の表情や仕草など話の内容以外にも気を配り、発言しやすい場作りを意識できると良いです。
面談の記録を残す
面談を行う際、話した内容を記録しましょう。回答の分析に活用したり、次回面談の際に思い出せる資料としたりするためです。記録に残すことで、進捗の確認も可能になります。
記録を残す面談シートには、自己評価や上司からもらったフィードバックを記入しておきましょう。いつでも見返せるだけでなく、別の上司と面談実施の際にも、スムーズな情報共有ができます。
面談方法やルールはPDCAを回し続ける
面談のしくみを作ったあとも、定期的に運用を見直し、常に良いやり方を求めて変更していきましょう。運用を始めていくと、当初決めた回数ややり方では、足りなかったり、逆にいらなくなったりと変化が見えてきます。
最初に決めたやり方に固執せず、定期的な振り返りを行いながら、しくみを柔軟にアップデートすることも大切です。
まとめ
人材育成の加速や社員満足度の向上といった、企業が抱える人材課題解決のきっかけになりうる場が面談です。さまざまな種類がある面談を、目的に合わせて使い分けることが重要です。「本音で話せる場を作る」「一度きりで終わらない」「進捗を確認する」など、ポイントを押さえることで、実施する側・される側の双方にとって意義のある面談が実現します。
タレントパレットでは、データに基づいた計画的な人材育成や公平な人事評価が可能です。効率的な面談を実施したい企業は、ぜひタレントパレットの利用を検討してみてください。