こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
夏と冬に支給されるボーナスは、従業員が楽しみにしているイベントの1つです。しかし、経営陣からすれば、目安や支給額に頭を悩ませるケースもあるのではないでしょうか。
この記事では、支給する側に焦点を当て、ボーナスの意味や賞与との違い、支給によるメリットやデメリットについて解説します。支給における税金や社会保険料についてもふれていますので、ぜひご一読ください。
ボーナスの意味や支給額の目安は?
ボーナスの意味や支給額などについて解説していきましょう。
ボーナスとは?
企業に勤める従業員は、毎月定期的な給与(固定給)を支給される雇用契約を締結し、業務に従事します。そして、定期的な固定給とは別に特別に支給される報酬がボーナスです。ボーナスには次のような特徴があります。
- ボーナスは毎月支給される固定給とは違い、必ず支給されるものではない
- 企業にボーナスを出せるだけの経済的資源がある場合や前年度の決算を上回ったときなどに支給される
- ボーナスが支払われる時期や回数などについても明確な決まりごとがない
企業の就業規則の中にボーナスを支払うと明記されているケースでは、就業規則に従って定期的に支給されるため、企業ごとに大きく違う点は知っておきましょう。
ボーナスの支給額はどの程度?
ボーナスの支給額も企業によって大きく異なります。また、毎年決まった金額が支給されるものでもありません。
たとえば、会社の決算が過去最高の場合は、ボーナスの支給額が大きいケースも多いでしょう。対して、業績が良くなかった場合はボーナスの支給額が下がるなど、企業の状況に左右されます。
実際のボーナスの支給額に着目すると、厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査」によると、令和3年の夏季賞与平均は301,553円、冬季賞与平均は314,149円です。
引用:厚生労働省「毎月勤労統計調査」
夏季賞与よりも、冬季賞与の方が支給額は多くなる傾向といえます。冬季賞与の場合、年末年始に出費が多いイベントが多いため、賞与で出費をカバーできるように企業側が配慮しているという側面も想定されるでしょう。
月収の何カ月分程度がボーナスの目安?
ボーナスの計算方法に関しても企業によって異なります。最も多いケースは、基本給×月数で計算されるケースであり、基本給の2カ月分から2.5カ月分となっています。
しかし、企業の業績によってボーナスの額は大きく異なります。企業の業績次第では、個人として営業成績が上がった社員も前年よりボーナスが少なくなる可能性も否定できません。
勤続年数が長くなるほど、基本給が上がるケースが多いため、比例してボーナス額も多くなる傾向です。
ボーナスと賞与の違い
企業によっては、ボーナスではなく、賞与という名称で支給されているケースもあります。また、夏季手当や冬季手当と呼ぶ企業もあるものの、基本的にボーナスと賞与に関して、意味合いは同じです。
また、ボーナスとして扱われる金額に関しては、支給条件などが明確化されている決算賞与や業績賞与などもある点は知っておきましょう。
ボーナスの種類や特徴
ここでは、ボーナスの支給条件やボーナスの種類などについて深く掘り下げていきましょう。とくに、支給条件に関しては対象となる従業員が限られることも多いため、自社の条件と比較してみましょう。
ボーナスの支給条件とは
ボーナスの支給条件は、企業によって異なります。そのうえで、多くの企業は次のように対処しています。
- 正社員として勤務している従業員が支給対象となっている
- アルバイトやパート、年俸制で契約している従業員などは支給対象外となっている
- 夏季賞与と冬季賞与など年2回支給する企業は、夏季賞与の支給対象期間、冬季賞与の支給対象期間に勤務していることも条件となっている
仮に、7月に夏季休暇が支給される場合、対象となる支給対象期間は1月から6月の6カ月間となるといえるでしょう。
そのため、4月に入社する新入社員は、対象となる期間に2カ月間しか勤務していないため、賞与額が減少することがほとんどです。
決算賞与とは?
決算賞与とは、業績が好調だった場合に支給される賞与です。過去最高の業績などを出した場合などは高額の支給となることもあります。
また、通常支給されるボーナスではなく、決算賞与を別に支給する企業などもあるため、企業によっては賞与が年に3回支給されるケースもあるでしょう。決算月は企業によって異なりますが、3月や9月が多くなっています。
業績賞与とは?
業績賞与と決算賞与は同じように扱われる企業もありますが、企業によって異なるといえるでしょう。
たとえば、決算賞与は企業全体の業績に対して、業績賞与は部門部門ごとの業績が好調だった場合に支給されるケースもあります。成果報酬的な意味合いが強く、特に成果主義が強い企業などによく見られる賞与体系です。
そのほかのボーナス
そのほかに支給される賞与では、個人に対して支給されるものがあります。企業に対し多大な貢献を行った個人に支給されるケースが多いといえるでしょう。次のような事例が代表的です。
・個人に対する賞与はお金とは限らず、慰安旅行やゴルフクラブなどの商品で支給されるケース
・区切りの創立記念年にも賞与が支給されるケースや勤続年数が長い従業員などに特別賞与が支給される
決算賞与や業績賞与を支給するポイント
ここでは、決算賞与や業績賞与を支給するポイントについて解説していきましょう。会社としてのアピールやモチベーションを向上させるきっかけにもつながるため、支給する意味を再確認することが大切です。
特別な報酬であることをアピールする
毎年業績が好調な状態であり、決算賞与を支給している場合、決算賞与が当たり前と思われてしまう可能性があります。そのため、業績が悪く決算賞与が支給されなかった場合、逆に従業員のモチベーションが大幅に下がってしまう可能性も否定できません。
総じて、決算賞与がマイナス要因になってしまうといえます。そのため、決算賞与が当たり前に支給される賞与であるといったイメージを持たせないことが大切です。
決算賞与は、従業員が頑張って業績を上げたために支給される特別報酬であり、定期的に支給されるわけではない点を定期的に伝えておきましょう。
モチベーションを上げるきっかけにする
決算賞与や業績賞与は、決算や業績が好調であれば支給される賞与です。従業員の成果によって、向上した業績に対して還元されるものだといえます。
業績を上げることによって、従業員の収入が増えていくことを実感してもらい、決算賞与の支給で従業員のモチベーションを上げることが可能です。
従業員の生活を考えていることを伝える
決算賞与や業績賞与は、従業員が頑張って業績を向上させた対価としての意味合いを持っています。企業によっては、いくら業績が好調だったとしても特別に賞与を支給せず、従業員に還元されないケースも少なくありません。
このような場合、従業員のモチベーション・生産性の低下を招くことも想定されるでしょう。つまり、業績賞与や決算賞与の支給によって、従業員の生活のことを考えていることをアピールすることが可能です。
また、従業員の生活を考えていると会社として示すためには、育休中ボーナスなど有効な手段です。
「育休中ボーナス」については、こちらの記事をご確認ください。
無理して支給しすぎない
決算賞与や業績賞与は、業績が好調だった年に支給する特別な報酬です。この際、次のようなリスクに気をつけましょう。
- 決算や業績が前年よりも少し良かった程度で支給してしまうと、人件費が高騰して利益自体が下がる可能性がある
- いったん支給した場合すると、当然ながら翌年も支給に対する期待が高まります。あまり無理して支給すると、毎年の人件費が高くなる可能性がある
決算や業績が一定の割合を超えた場合に支給することが大切です。
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ボーナスを支給するメリット
ここからはボーナスを支給するメリットについて解説します。ボーナスは必ずしも支給されるわけではありません。固定給のなかに賞与分の給与が含まれている場合などもあることから、どういったメリットがあるのかを知っておきましょう。
従業員のモチベーション向上
ボーナスは特別な報酬という位置づけです。ボーナスは、毎月の固定給よりも支給される金額が多いため、ボーナスが支給される月はモチベーションが上がる従業員も多いと想定されます。
ボーナスをうまく活用できれば、従業員のモチベーション向上も可能です。
人件費がコントロールしやすい
決算賞与や業績賞与は、ある程度経営陣の裁量によって支給額が決定できるため、人件費とのバランスが取りやすいといえるでしょう。加えて、業績連動型の賞与にしておくと、業績に応じて賞与の額が調整可能です。
そのため、業績に合わせた人件費のコントロールが容易だという利点があります。
有能な人材雇用ができる
ボーナスが発生する場合、従業員全体の給与水準が高くなります。従業員の給与水準が高くなるメリットとして、有能な人材が雇用しやすい点が挙げられるでしょう。
ただし、採用時の判断がより難しくなる可能性もあるため、社内体制を見直しましょう。
対外的に業績の安定性がアピールできる
賞与は必ずしも支給されるものではありません。業績が良くなければ賞与の支給はできないため、ボーナスの支給によって、対外的にも業績の安定をアピール可能です。
企業にとって対外的な信用を得るのは非常に重要だといえます。企業間の取引や銀行融資などにおいては、企業の信用度に大きく影響します。
ボーナスを支給するデメリット
ここからは、ボーナスを支給するデメリットについて解説します。とくに、ボーナスを受け取ってから退職する場合も想定されるため、退職の時期が重なる点は知っておきましょう。
ボーナスを受け取っての退職者が多い
ボーナスはほとんどの場合、固定給以上の報酬が支給されます。退職を検討している従業員であってもボーナスをもらうまでは辞めないといった傾向が強くなるでしょう。
そのため、退職者がボーナス支給後にかたまってしまう可能性がある点はデメリットのひとつです。
ボーナスが出ないときのモチベーション低下
業績が悪化してボーナスが出ない場合、従業員のモチベーションが低下するケースが考えられます。特に住宅ローンなどを抱えている従業員は、ボーナス払いなどを利用していることも多く、場合によっては退職につながる可能性も否定できません。
年俸制よりも総支給額が多くなる
ボーナスを支給した場合と年俸制での年収が同じだった場合は、ボーナスを支給した場合の方が社会保険料を多く支払う必要があります。そのため、人件費も高くなることから、結果的に年俸制を取り入れている企業の方が人件費の抑制が行いやすいといえるでしょう。
人件費の高騰
ボーナスを支給するということは、人件費が高くなり、経営収支には悪影響となります。
ボーナスは、一時給与に該当するため、赤字になってまで支給する必要はありません。
ボーナスを支給しないメリット
ここからは、ボーナスを支給しないメリットについて解説します。
給与支給が安定する
ボーナスが支給されない企業は給与が高めに設定されているケースが多いため、従業員は業績に関係なく安定した収入を得やすくなるといえるでしょう。給与支給が安定するので計算が立てやすく、離職率が少なくなる点がメリットです。
事務処理が楽
ボーナスの支給では、計算や支給の手続きを行う必要があります。支給割合が前年と異なるケースもあり、非常に手間がかかる業務の1つといえるでしょう。
ボーナス時期のみではあるものの、事務処理が楽になる点もメリットです。
経営計画が立てやすい
業績賞与や決算賞与は場合によって金額が変動するため、経営計画が立てにくくなるケースも想定されます。ボーナスを支給しない場合、より年間の人件費が計算しやすく、経営計画が立てやすくなる点はメリットでしょう。
人件費が抑えられる
ボーナスを支給しない場合、人件費の抑制に つながります。
人件費が抑えられると、損益分岐点が下がることから利益が出やすい企業体質になるでしょう。
ボーナスを支給しないデメリット
ここからは、ボーナスを支給しないデメリットについて解説します。
業績に興味がなくなる
従業員の努力によって業績を上げたとしても、給与に反映されない場合、社員は業績に興味がなくなるといえるでしょう。給料のみによる業績の向上が難しい点はデメリットです。
従業員のモチベーションダウン
モチベーションとして賞与への反映はないとわかっている場合、「頑張っても無駄」といった風潮になり、業績を上げようとする意識が薄くなってしまいます。そのため、活気のある企業で働きたいと転職を検討する従業員が増える可能性も否定できません。
社員のモチベーションが低くなってしまう点はデメリットとして挙げられるでしょう。
有能な人材が集まりにくい
ボーナスが出ない企業の場合、傾向として、意欲のある人材が集まりにくくなってしまいます。実績を積んでも給与に反映しないため、スキルアップして高い給与を得たい人には避けられやすい職場となってしまいます。仮に、 スキルアップができたとしても転職してしまう可能性が高くなる点にも注意が必要です。
従業員との関係性が弱くなりやすい
業績が上がっても給与に反映されない場合、業績が上がっても経営陣が喜ぶだけといった風潮がまん延してしまう可能性も高まります。企業と従業員の関係性が希薄になりやすい点もデメリットです。
ボーナスにかかる税金や社会保険料
毎月の給与と同じように、ボーナスからも税金などが控除されます。どのような税金や控除されるかについてみていきしょう。
基本的に、所得税と社会保険料が控除される
社会保険の被保険者にボーナスが支払われる場合、基本的にはボーナスに社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)、所得税が控除され、従業員へ支給されます。
控除される税額は、支給されるボーナスの額によって異なり、合計金額から税金などが差し引かれ手元に入ります。
賞与に社会保険料がかからない場合
退職する日が月の半ばである従業員は、賞与に対し社会保険料がかかりません。また、産休や育休における賞与時の社会保険料も免除となる制度があります。産前産後休業保険料免除・育児休業保険料免除制度です。
この制度を利用すると産休中や育休中の社会保険料は免除されます。
賞与支給にあたり必要な手続き
賞与を支給する場合、手続きが必要な書類があります。加入する保険によって提出する書類や届出先が異なるため、注意してください。健康保険や厚生年金の被保険者に賞与を支払う場合、年金事務所に賞与支払い届を作成しなければなりません。
雇用保険の被保険者に対しては、労働保険年度更新手続きの際に労働基準監督署などへ届け出が必要です。賞与支給の際には、漏れがないように準備しておきましょう。
まとめ
ボーナスの支給にはそれぞれメリットやデメリットがあるため、企業側も風土に合った選択が欠かせません。また、ボーナスを支給しない場合は、業績や従業員満足度を高める施策が必要です。従業員の状況を把握するためには人事管理に力を入れ、社員満足度の向上に向け、常に働きかける必要があるでしょう。
また、ボーナス有無やボーナスの金額を決めるうえでは、一人ひとりの人事管理も欠かせません。タレントパレットは、あらゆる人材データを一元化・分析し、組織の力を最大化させるタレントマネジメントシステムです。
人事業務の効率化や高速化にもつながるほか、ボーナスを決める際にも役立つでしょう。
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