こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
行動指針は企業理念の浸透や目的達成に向けた判断、行動の足並みをそろえるのに役立ちます。この記事では、有名企業の行動指針の特徴をピックアップしつつ、自社のニーズに合った行動指針の作り方を紹介します。行動指針の作成でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
行動指針を作るメリット
行動指針を作成すると、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
従業員のモチベーションアップ
行動指針は、業務中の従業員が的確な判断をする際に役立つものです。行動指針には、あらゆる状況で優先すべきことや、顧客の対応時に心がけるべきことが明示されています。
行動指針があれば、従業員は判断に迷ったり、自分の選択に不安を感じたりすることなく業務に集中できるでしょう。
不安やストレスが少なければ、従業員のモチベーションはおのずと向上します。素早く的確な判断ができるため、意欲的に仕事に取り組むことができ、その結果、業務の効率化や生産性の向上といった効果が表れるでしょう。
また、それが個人の評価につながっていくなど、良いサイクルが生まれます。
企業理念の浸透
行動指針は、企業理念や価値観、経営理念、行動理念などをもとに作成されます。そのため、行動指針の浸透は企業理念の浸透にもつながるのです。
企業理念や経営信念などには、市場の中での企業の在り方や達成したいこと、大切にしていることといった、抽象的なものも含まれがちです。企業理念や経営信念だけでは、実際にどう行動すればよいかわからないかもしれません。
企業理念を基本とし、「どう行動すればよいのか」をわかりやすく表した行動指針があれば、従業員が日常業務に当てはめやすくなります。行動指針を通して積み上げられていく実績からも、企業理念への理解が深まっていくでしょう。
企業理念や経営信念については、以下の記事で詳しく解説しています。
「企業理念」については、こちらの記事をご確認ください。
「経営理念」については、こちらの記事をご確認ください。
市場における存在意義の向上
行動指針が浸透し、従業員の言動にも変化が見られれば、市場の中で企業が独自の価値を持つようになるでしょう。
例えば、企業理念や信念が反映された商品の開発や、競合他社にはないサービス展開の実現などが期待できます。このようなことが可能になると、市場において唯一無二の価値を持つ存在になれるでしょう。
明確な行動指針がない場合は、利益の追及や市場の中での企業価値向上といった目標があっても、方向性が定まりません。行動指針があれば、どの部署に所属していても全員が同じ方向を向いて努力を積み重ねられるため、より価値の高いものを生み出すことができます。
顧客満足度の向上
行動指針作成の目的には、企業が掲げる目標を達成することも含まれます。一般的な企業であれば、顧客に満足してもらい、第三者からの評価を高め、競合他社より優位な立場を築くことを目標に含めるでしょう。
行動指針には、そのためにどう行動すればよいかが書かれているため、従業員に浸透すれば顧客満足度がおのずと向上します。
また、行動指針が浸透すれば従業員が勝手に行動して事態を悪化させたり、従業員によって対応が異なったりする事態を避けられるでしょう。上司にとっても、個人的な価値観や考え方を持ち出すことなく適切に部下を指導できるため、行動指針の存在は助けになるはずです。
有名企業が設けている行動指針の特徴
有名企業の多くは、それぞれの業種に合わせてユニークな行動指針を定めています。
例えば、サッポロビール株式会社では顧客が楽しさと豊かさを見つけられる商品作りを経営理念とし、行動指針を以下のように定めています。
・カイタクしよう、心を動かすアイデアを
・カイタクしよう、お酒の次の未来を
・カイタクしよう、深く愛されるブランドを
・カイタクしよう、社会との共鳴を
引用:企業理念体系・ビジョン|サッポロビール株式会社
これは、ひとつのキーワードに絡めて、何を一番大切にして仕事に取り組むべきかをわかりやすく箇条書きにしたタイプです。
一方、トヨタ自動車では行動指針の詳細は別に示しつつ、行動指針をより端的にまとめたものを「トヨタウェイ2020」として発信しています。トヨタウェイでは「トヨタは~」という言葉の後に、以下の言葉を続けています。
・「だれか」のために
・誠実に行動する
・好奇心で動く
・ものをよく観る
・技能を磨く
・改善を続ける
・余力を作り出す
・競争を楽しむ
・仲間を信じる
・「ありがとう」を声に出す
引用:トヨタウェイ2020|トヨタ自動車
一つひとつの短い言葉の後に、なぜそれが大切か、どのように仕事をするべきかが書かれているのがポイントです。社内の従業員にも第三者にも、トヨタがどのように仕事に取り組んでいるのかがわかる内容になっています。
東京ディズニーリゾートを運営するOLC GROUPでは、行動規準「The Five Keys~5つの鍵~」として、以下を定めています。
・Safety(安全)
・Courtesy(礼儀正しさ)
・Inclusion(インクルージョン)
・Show(ショー)
・Efficiency(効率)
引用:行動規準「The Five Keys~5つの鍵~」(東京ディズニーリゾート)|OLC GROUP
東京ディズニーリゾートの行動基準(指針)で注目したいのは、優先すべき順番で書かれていることです。テーマパークを運営するにあたって、安全が何よりも大切であり、5つの中では効率が最下位になっています。
このように、有名企業や大手企業の行動指針は、企業として何を大切にしてるのかをわかりやすくシンプルにまとめたものが多いです。また、詳細を補足的に記載しているものも少なくありません。
行動指針には、方向性をわかりやすくまとめるスタイルや、優先順位を明示するスタイルなど、さまざまな種類があります。自社に合った行動指針について、じっくり考えてみましょう。
他の行動指針の例文を見たい方は、以下の記事をご覧ください。
「行動指針例文」については、こちらの記事をご確認ください。
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行動指針の作り方
実際に行動指針を作る際に、どのようなステップで作成すればよいのでしょうか。ここでは、行動指針に含めるべきポイントを解説しながら、行動指針の作り方を紹介します。
行動指針の作成方法を決める
最初に検討すべきことは、行動指針を「誰が作るか」です。行動指針は企業理念や経営信念などが土台になるため、作成方法がどうであれ経営層は携わります。作成に参加する従業員の人数によって、行動指針の作り方は大きく3つに分かれます。
「トップダウン型」は経営層がメインとなって作成する方法で、企業理念や経営信念が色濃く反映された行動指針ができるでしょう。反対意見が出にくく、スピーディーに作成できますが、現場の意見が反映されにくいというデメリットがあります。
現場で働く従業員が受け入れやすく、業務に生かせる実践的な内容にできるかどうかは、現場の声をどれだけ吸い上げられるかがカギになります。
「プロジェクト型」は選出された経営層と従業員がチームを組んで、行動指針の内容を決定する方法です。立場の違う者同士が意見をすり合わせるため、誰もが納得しやすい行動指針を作れるでしょう。
ただし、立場の違いから意見や価値観が衝突してしまうこともあります。プロジェクト型を採用する際には、第三者的な立場の進行役を任命したほうがよいかもしれません。
「ワークショップ型」は、職場で働く人全員で行動指針を決める方法です。従業員の少ない中小企業ならではの方法で、全員の意見が反映されるため、満足度の高い行動指針が完成するでしょう。
ただし、個人的な意見が飛び交うため、内容がまとまりにくいことがあります。また、現場の声を反映しすぎて、経営にプラスになりにくいものができ上がる可能性もあります。
従業員の規模や業種などに合わせて、どのスタイルで作成するのがよいか、最初に決めておきましょう。
ミッション・ビジョン・バリューの定義
具体的な行動指針を決定する前に、自社のミッション・ビジョン・バリューが明確になっているかどうかを確認してください。
「ミッション」とは、企業の存在意義のことです。市場において、また社会において、なぜ自社が必要とされているか、どのような存在であるべきかなどを明確にしておきましょう。
「ビジョン」は、企業の将来像です。これから先、どのようなビジネスを展開していくか、どのような企業として知られていくべきかなども明確にしておきましょう。
「バリュー」とは、従業員が共通して持つ価値観のことです。どの部署で働いていても、大切にすべきことが共有できていれば、チームとして一体感をもって業務を遂行できます。これは、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
ミッション、ビジョン、バリューが反映された行動指針を作成すれば、企業として大切にしていることが明確になります。その結果、会社全体が同じ方向を向いて成長していけるでしょう。
やるべきこと・やるべきでないことをリストアップ
行動指針には、まず「やるべきこと」(従業員にやってほしいこと)を含めます。同時に、「やるべきでないこと」(従業員にやってほしくないこと)も含めて作成しましょう。
例えば、毎日多くの顧客と接する事業を展開している場合、顧客に満足してもらえるような、さまざまなサービスを思いつくかもしれません。しかし、良いサービスが多くても、悪い接客がひとつでもあれば、すべてが台無しになってしまいます。
従業員全員が大切にすべきことであるバリューに基づき、やるべきこと・やるべきでないことをリストアップしましょう。具体的な目標を設定し、その目標を達成するための行動と、達成を妨げる行動を書き出すことで、行動指針の全体像が固まってくるはずです。
シンプルな言葉に整える
目標を達成するための行動をリストアップしていくと、かなりのボリュームになるでしょう。次は、その内容をシンプルな言葉に置き換えていく作業を行います。
リストアップした行動・言動・姿勢などを、いくつかのジャンルに分けていくとよいかもしれません。そこから共通する言葉を見つけて、伝わりやすい文章にしていきます。
業務中に思い出しやすい言葉かどうか、行動を判断しやすい言葉になっているかなど、現場で働く従業員の目線で考えてみるとよいでしょう。
行動指針の詳しい内容は、補足的に記述できます。シンプルな言葉の後に、詳しい内容を理論的に説明するとよいでしょう。
そうすれば、従業員が理解しやすく、受け入れやすく、浸透しやすい行動指針になるはずです。
行動指針の浸透に向けた取り組み
行動指針を作成したら、浸透に向けてさまざまな取り組みを開始します。
まずは、わかりやすい方法で告知・公表しましょう。社内の目立つ場所への掲示、従業員へのメッセージ送信、パンフレットの作成・設置といった方法が考えられます。
作成した行動指針によって、業務のやり方や接客の仕方が変わる場合は、説明会を開きます。なぜ変更したか、何を大切にし、どのような目標を設定しているかを、わかりやすく従業員に伝えましょう。変更に合わせて、職場の状態・働き方の調整やマニュアルの作成・改訂を行うなど、行動指針を業務に当てはめやすい職場環境を整えることも欠かせません。
また、評価制度や表彰制度に行動指針の内容を取り入れるのもよいでしょう。そうすることで、「どのように仕事に取り組むかも大切だ」ということを従業員に伝えられます。行動指針に沿った努力が評価されれば、従業員のモチベーションも向上するはずです。
経営層にも行動指針を適用する
行動指針を浸透させるためには、経営層も自身の業務に行動指針を当てはめ、実行することも欠かせません。
経営層の行動は何も変わらず、従業員にだけ行動指針を適用していては、従業員のモチベーションが低下し、行動指針も浸透しないでしょう。行動指針を定めた経営層は、従業員や顧客への対応において、率先して模範を示しましょう。
まとめ
行動指針は従業員が実行しやすく、企業理念が反映されたものにしましょう。漠然とした理想を言葉にするのではなく、達成したい目標に向けて、筋道を立てて言葉を練り上げていく必要があります。
現場の声にも耳を傾けながら、経営層を含めた会社全体での取り組みを意識してください。
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