こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
目標を達成するためには、正しい目標設定が重要です。
目標設定には行動目標、状態目標、成果目標の3つがあり、いずれも目標達成に重要なものですが、その中でも行動目標が特に重要と考えられています。
行動目標とは、「いつ・何を・どれだけ行動するか」を細かく決めた目標で、モチベーションを維持するために不可欠なものです。
この記事では、行動目標の概要、行動目標の立て方、行動目標例を解説します。ぜひ参考にしてください。
目標達成に必要な行動目標とは
目標には、行動目標・状態目標・成果目標の3つがあります。その中でも、目標達成を目指すうえで重要な行動目標について詳しく見ていきましょう。
行動目標の定義
行動目標とは、実際に行動する目標のことです。
いつ・何を・どれだけ行動するかを設定します。
たとえば「1日2時間英語の勉強をする」という目標を立てた場合の行動目標は、「朝夕の通勤時に30分ずつヒアリングの練習、帰宅後に1時間リーディングやスピーキングの練習」といったようなものになります。このように、「いつ、何を、どれだけ行うか」を具体的に決めたものが、行動目標です。
状態目標・結果目標との違い
状態目標は「こうありたい」という理想の姿です。「英語をペラペラ話せるようになってグローバル人材として活躍する」のように、ワクワクするイメージをしてモチベーションが上がるものにするといいでしょう。
結果目標は数字を使って表したより具体的な目標です。「TOEICで900点を取る」といったように、達成したいゴールを具体的に示します。状態目標が抽象的な理想状態であるのに対し、結果目標は数字を使った具体的なゴールです。
行動目標の設定はモチベーション管理にも有効
モチベーションの継続には具体的な目標設定が大切です。
明確で具体的な目標を設定することで、ゴールに達した姿をイメージでき、やる気がでてきやすくなります。抽象的で現実離れした目標設定だと、ゴールに近づいていることが実感しにくく、モチベーションの継続が難しくなるでしょう。
目標を立て、行動目標を作って具体的なアクションをすることで、少しずつゴールに近づいている感覚や成果を実感できます。成果を感じることでさらにモチベーションがアップし、目標達成に近づいていくでしょう。
目標設定の重要性とメリット
目標設定をすることで、目標達成への行動指針が確立されてゴール到達に近づきます。この項では目標設定をすることの重要性・メリットを見ていきましょう。
目標設定の重要性
結果目標だけを設定している場合や、目指すべき目標が曖昧で抽象的なままでは、達成への具体的な方法が見つかりません。「状態目標」「結果目標」「行動目標」がそろってはじめて、ゴールまでの道のりや達成方法が明確になります。
また、「英語の勉強を1日5時間する」など、行動目標を高く設定しすぎると負担が増え、なかなか成果に結び付かず達成感を得られにくくなります。達成感が得られないことはモチベーションの低下を招き、目標達成の実現が難しくなるでしょう。
目標設定のメリット
目標設定をすると「今、どのあたりで、どれだけ進んでいるか」といったように、現在の進捗状況が可視化できます。
努力していてもなかなか前に進めていない状況では、モチベーションも低下するでしょう。
進捗状況を可視化することで、確実にゴールに近づいているのが実感でき、モチベーションの維持や向上が期待できます。
また、進捗状況を可視化できると、予定よりも遅くなっている場合や、想定外のアクシデントの発生に気づけるため、計画見直しや軌道修正などより迅速な対応が可能になるでしょう。
目標設定で使える5つの方法
目標設定をするためには、フレームワークを積極的に活用するのがオススメです。
目標設定の策定で役立つ5つの方法を紹介します。
ベンチマーキング法
ベンチマーキング法とは、競合をベンチマークにして分析や目標設定を行う方法です。
次の4つの手順で行います。
- ターゲティング:ベンチマーク対象を選定する
- 情報の収集・分析:ベンチマーク対象とのギャップの原因を洗い出す
- 目標設定:ギャップを縮める計画を立てる
- 実施・検証:計画を実行して目標の達成度を検証する
ベンチマーク法を使って改善点や問題点を分析することで、明確な目標設定が可能になります。
SMARTの法則
目標設定で効果的な方法として考えられているのが、SMARTの法則です。
目標設定に重要な以下の5つの要素の頭文字を取り、SMARTと呼ばれています。
- Specific =具体的である
- Measurable=計測できる
- Achievable=達成できる
- Realistic=現実的である
- Time-bound=期限が明確である
目標は具体的でなければならないのはもちろん、達成率や進捗状況などの計測ができることも大切です。
努力次第で達成可能な目標にすることもモチベーション維持につながります。
また、期限を設定しないと緊張感が弱くなり、モチベーションの低下につながるおそれがあります。
目標の期限が明確になれば、達成に向かって突き進んでいけるでしょう。
ランクアップ法
ランクアップ法とは、「ストレッチ目標」を設定し、自分を成長させる方法です。ストレッチ目標は、もう少し頑張れば実現できる現実的な難易度の目標のことです。
6つの切り口から目標項目を考えます。
目標設定を行う際、どのように目標を決めれば良いかが分からない場合には、ランクアップ法を活用するといいでしょう。
・改善:自分の問題点を解決できる目標
・代行:自分よりスキルが高い人の代行ができるようになる目標
・研究:設定したテーマについて研究する目標
・多様化:さまざまな分野のスキルや知識を習得する目標
・ノウハウの普及:自分のスキルやノウハウを第三者に伝えられる目標
・プロ化:自分のスキルやノウハウをプロレベルにする目標
ベーシック法
ベーシック法は4つの項目で目標を設定する方法です。
「何を」「どれくらい」「いつまでに」「どうやって」といったように、目標達成に必要な項目を具体的に設定します。
1.目標項目を設定する:何を達成するか
2.達成基準を決める:達成の具体的な基準を明確にする
3.期限を設定する:いつまでに達成するのか
4.達成計画を立てる:どうやって達成するのか
三点セット法
三点セット法とは、「テーマ」「達成レベル」「達成手段」の3つの要素を使って最終的な目標を設定する方法です。
- テーマ:何を達成するのかテーマを決める
- 達成レベル:設定したテーマに対して具体的な達成基準を決める
- 達成手段:どうやって達成するのか、具体的な目標を達成するための行動を考える
3つの要素で構成される三点セット法では、具体的に目標を設定することが重要です。
また、既存の目標設定を見直す際にも役立つフレームワークです。
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具体的な行動目標の設定方法
目標達成に向けて具体的にどう行動するのかの指針となるものが「行動目標」です。
行動目標の設定方法について解説します。
まず結果目標を立てる
行動目標を立てる前に必要なのは、結果目標を立てることです。結果目標に到達するために必要な行動を定めて、行動目標を設定しましょう。
たとえば「行政書士の資格を取る」と目標を決めた場合、資格試験が行われるのがいつかを調べ、「11月の試験に受かる」という結果目標を設定します。試験に受かるために、「1日にテキストを〇〇ページ進める」や「1日に2時間勉強する」など、具体的な行動目標が設定できます。
達成可能な目標を設定する
目標達成には、達成可能な目標を設定することも重要です。目標達成に向けて行動しながら意欲と集中力を維持できるような目標がベストでしょう。
達成が簡単な目標では、達成した時の満足度が低くなり、モチベーションを低下させる可能性があります。目標は届くか届かないかというレベルに設定しましょう。
目標への進捗を定期的に振り返る
目標達成に向けて前に進むことばかりを考えていては、進捗状況が分からなくなります。上司がフィードバックするなどして、進捗状況を確認できる時間を定期的に作りましょう。
定期的な振り返りの積み重ねによって、目標や行動計画を立てられるようになります。
状況にあわせて目標を再設定する
目標を達成するまでのプロセスでは、しばしば想定外のことが起こるものです。そんな時には、目標の再設定を検討するのもいいでしょう。
現状のまま進むことができるのか分析し、目標達成が困難だと判断したら柔軟に目標を再設定しましょう。状況の変化をいち早くキャッチするためにも、常にアンテナを立てておくことも重要です。
【個人・組織別】行動目標を立てるポイント
個人目標と組織目標とでは、目標の立て方が異なります。
この項では、個人目標と組織目標のそれぞれの立て方を見ていきましょう。
個人で行動目標を立てる場合
個人目標のポイントは次の3つです。
- 組織の目標を反映する
- 組織から求められていることを理解し、目標に反映する
- 定量評価可能な目標を立てる
個人目標とはいえ、組織の一員である以上は組織の目標を正しく理解し、個人目標に反映することが大切です。業務に必要なスキルアップを求められているのであれば、資格取得をする、業務マニュアルに精通する、などを目標に入れるといいでしょう。
また、上司が業績を評価する際、定量評価が必要となるため、可能な限り定量評価できる目標を立てましょう。
組織で行動目標を立てる場合
組織目標のポイントは、次の4つです。
- 具体的な目標である
- 事業戦略や中長期計画と連動させる
- 市場動向の分析結果を反映させる
- 達成可能な目標である
従業員全員がイメージを共有できるような、具体的な内容にし、企業全体の戦略や中長期計画と連動させるようにしましょう。
組織が掲げた目標のレベルが高すぎると、従業員は達成するイメージを持つことができなくなります。目標達成が不可能と感じてしまうと、仕事へのモチベーションが低下する可能性があります。組織目標は、従業員のモチベーションを向上させられるような、達成可能なものにしましょう。
行動目標の例
行動目標が大事だとは分かっていても、何をすればいいのか具体的な行動目標を思いつかないこともあるでしょう。営業職・技術職・事務職の行動目標設定の例を紹介しますので、参考にしてください。
営業職の行動目標例
営業職は受注件数や売上金額など、成果が数字で表わせるため行動目標が立てやすい業種です。現実的で達成可能な数字を結果目標とし、達成までの具体的な行動目標を立てましょう。
結果目標:売上5千万円
達成期限:半年で達成
行動計画1:既存顧客から10件紹介をいただく
行動計画2:セミナーや交流会に積極的に参加し、新規顧客10件増
技術職の行動目標例
技術職は営業職のように、数字で目標を表すことが難しい業種のため、技術や品質、業務の生産性が向上するような行動目標を立てるといいでしょう。
結果目標:プログラミングのスキルアップを図り、案件を担当できるレベルになる
達成期限:半年
行動目標1:トレーニングコースを受講する
行動目標2:プログラミングの勉強にあてる時間を、1日に2時間確保する
事務職の行動目標例
事務職の場合、業務の効率化や、業務での課題を洗い出して解決するような行動目標を立てるといいでしょう。
結果目標:経理業務のミスをなくし、定時の5分前には業務を終了する
達成期限:2ヵ月
行動目標1:2週間以内に、マニュアルの見直しをする
行動目標2:チェックリストを作成し、1件あたりの処理時間を5分短縮する
「行動目標例」については、こちらの記事をご確認ください。
行動目標を設定する際の注意点
行動目標を設定する際には気をつけておきたい注意点があります。以下から詳しく見ていきましょう。
否定語を使わない
「〇〇ではない」のような否定語を使わないようにしましょう。人間の意識として、「〇〇ではない」の「〇〇」のほうを脳が先に認識し、本来なら避けるべきものに行動が誘導されやすくなるからです。
また否定語があると、進むべき方向が分からなくなるという問題も出てきます。
例えば「発注ミスをしない」を行動目標にしても、具体的に何をしたらいいか分からない、といった具合です。
具体的な数字を設定する
具体的な数字を示すと説得力があり努力もしやすくなります。
たとえば「見込み顧客を〇人見つける」「アポイントを1日〇件とる」などが分かりやすいでしょう。
達成が無理に思えるような数字を設定するのは控えて、努力すれば実現できそうな数字を設定することが重要です。
実現可能な目標を設定することでモチベーションも継続できるでしょう。
また、目標達成で得られるスキルや経験など、数字以外の要素を盛り込むのもモチベーションアップに効果的です。
期日を設定する
達成日も一緒に設定しましょう。期限が定められていないと緊張感を持って行動ができません。
また、期日に曜日まで入れると目標達成への効果が高まります。
スケジュール表を見る際、期日までに残された時間やその間の行動をイメージしやすくなるでしょう。
目標に固執しない
目標を達成できるかどうかが個人の評価やモチベーション維持につながります。
しかし、目先の自分の目標に固執すると組織全体が見えなくなり、組織そのもののパフォーマンスを低下させるおそれがあります。
そのような事態にならないよう、目標設定の段階で、企業の目標と個人の目標をしっかり連動させるのが重要です。
まとめ
行動目標は従業員はもちろん、組織の成長にも重要なものです。目標達成に向けて行動目標を設定し、上司による定期的な進捗状況の確認やフィードバックが必要ですが、従業員が多数いる場合は管理が困難な場面も出てくるでしょう。
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