勤怠とは?勤怠管理の適切な方法や把握すべき項目、必要な理由を解説


勤怠とは?勤怠管理の適切な方法や把握すべき項目、必要な理由を解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

昨今、働き方改革関連法施行の影響もあり、正確な勤怠管理が求められています。どのように勤怠管理を行うべきか、お悩みの人事担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、勤怠管理の目的や方法について解説します。正しい勤怠管理を行うための参考にしてください。

勤怠とは

勤怠とは、出勤や欠勤、退勤などの勤務状況を指す言葉で、労働時間を管理するために必要なものです。

人事業務では、労働時間や休憩時間、有給休暇の取得状況を含めた勤務全体の記録を「勤怠」と言います。稼働時間の管理や、給与計算のために必要な記録です。

勤怠管理とは

勤怠管理とは、使用者が「従業員の出勤や退勤の時刻、時間外労働の状況」を把握、管理することです。欠勤や遅刻、休暇取得状況の記録も含みます。

勤怠管理は労働基準法で定められた義務であり、労働基準法第4章が適用される全ての事業所が対象です。対象者は管理監督者以外の全ての従業員となっています。

勤怠管理が必要な理由

勤怠管理は労働基準法を順守するため、そして正確な給与計算を行うために必要です。具体的な理由を次に解説します。

法律順守のため

2019年4月に、働き方改革関連法の一環として改正労働基準法が施行され、残業時間の上限規制や、年次有給休暇の取得義務が定められました(中小企業の残業時間上限規制は2020年から)。これらの働き方改革関連法に違反していないかを確認するためにも、勤怠管理が必要です。

さらに労働基準法第32条には「休憩時間を除き、1週間に40時間以上労働させてはならない」「1日に8時間を超えて労働させてはならない」という定めがあります。

上記の各種法令を順守するためにも、正しい勤怠管理が行われなくてはなりません。

従業員の健康管理のため

適切に勤怠管理を行うことで、従業員のワークライフバランスが改善・充実させられます。従業員の健康を守り、過労を防ぐのにも効果的です。労働時間は適切であるか、休憩や休日を取得できているかを適切な勤怠管理によって把握しましょう。

また、深夜労働や時間外労働を規定時間以上行った場合、医師との面談が必要になります。面談該当者を把握するためにも、勤怠管理が不可欠です。

正しい給与計算・有給休暇管理のため

勤怠管理は、従業員に正確な給与を支払うためにも必要です。そもそも給与は、従業員が労働を行った時間に対して支払われますが、正確に記録されていなければ正しい金額を支払えません。正しく給与が支払われない場合は、従業員との間でトラブルに発展する可能性があるでしょう。

また2019年4月の改正労働基準法施行により、年次有給休暇の取得義務が定められました。従業員に対し年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合、労働基準法39条第7項に違反したとみなされ、企業は30万円以下の罰金を払わなくてはなりません。

このような事態を避けるためにも、正確で透明性のある勤怠管理が求められます。

適切な人事評価のため

勤怠管理は、適切な人事評価を行うためにも必要とされています。人事評価には、欠勤日数や遅刻早退などの記録も反映されるためです。

出退勤時刻や時間外労働の有無、休暇取得など全て正確に記録しましょう。

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勤怠管理の具体的な方法と機能



勤怠管理を行う際には、使用者が始業時間や終業時間を客観的に確認できるよう、正しく記録する必要があります。

勤怠管理にはいくつかの種類があるため、従業員数や企業の規模によって適切な方法を取り入れましょう。具体的な勤怠管理の方法について解説します。

勤怠管理システム

勤怠管理システムとは、出勤や退勤の時刻を正確に打刻するためのシステムです。昨今は、打刻機能以外に給与計算や労務管理まで幅広くカバーするタイプが登場し、企業ごとにカスタマイズも行えます。

打刻の方法もいくつかあり、指紋などの生体認証やICカードの読み取り、スマホアプリから打刻できるタイプも登場しました。

従業員のパソコンやタブレットから打刻するタイプも開発されており、リモートワークや出張時に活用できます。社外勤務の従業員が多い企業に向いているシステムです。

導入時には、従来通りのパッケージソフト型のほか、クラウド型やオンプレミス型(自社サーバーに構築する仕組み)など、さまざまな形態から選べます。

また、昨今注目されているのが、シフト管理機能付きの勤怠管理システムです。シフト管理の効率化を図り、作成者の人件費コストを下げる効果があります。

正しくシフト管理を行うことで勤怠管理にもつながるため、導入を検討してもよいでしょう。

勤怠管理システムの仕組みについて、さらに詳しく知りたい場合はこちらの記事をご覧ください。

「勤怠管理システム」については、こちらの記事をご確認ください。

エクセルで自己申請

エクセルを使用した勤怠管理表は、従業員自ら出勤や退勤の時刻を入力する自己申請方式です。

インターネット上で、用途に合ったテンプレートをダウンロードすると簡単に導入できます。SUM関数などを使用しての自作も可能です。

ただしエクセルを使用した勤怠管理には、改ざんや誤入力などヒューマンエラーのリスクもあります。法改正のたびに計算式を組み直す手間もかかり、都度対応しきれない点がデメリットです。

大企業での使用にはあまり向いておらず、小規模な事業者向けの勤怠管理法といえるかもしれません。

エクセルを使用した勤怠管理方法について知りたい場合はこちらの記事をご覧ください。

「勤怠管理エクセル」については、こちらの記事をご確認ください。

タイムカード

タイムレコーダーにタイムカードを通して出勤や退勤時に打刻する、昔ながらの勤怠管理の方法です。

従業員1人ずつに1枚のタイムカードが用意され、中小企業を中心に今でも広く使われています。時給制で働くアルバイトやパートなど、管理項目が少ない従業員に向いている勤怠管理の方法です。

タイムレコーダーとタイムカードのみ用意すればよいため、コストがかからない点がメリットと言えます。

一方、テレワークや社外勤務の従業員が多い企業では使いにくい点がデメリットです。打刻漏れがあった際に、手書き修正が必要な点も不便といえるでしょう。

紙の出勤簿で管理

カレンダー形式のフォーマットに、手書きで記録する勤怠管理の方法もあります。業務開始時刻や終業時刻を、従業員が各自手書きで記入する方式です。

従業員が記入した用紙を担当者が集計するため、人数が多い企業には向いておらず、少人数の企業に向いています。

簡単に使用できてコストがかからない点がメリットですが、従業員の自己申告制であるため、客観性に欠ける点がデメリットです。

厚生労働省のガイドラインで定められている「適正な労働時間の把握」が可能であれば、使用してもよいでしょう。

関連記事:勤怠管理システムの機能と目的とは?最適な製品の選び方と注意点を解説

勤怠で管理すべき9項目

厚生労働省発行の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によると、使用者は労働時間の適正な把握を求められています。労働時間を含め、勤怠管理で把握すべき項目は次の9つです。

1.出勤時間・退勤時間

従業員の出勤と退勤の時刻を、労働日ごとに記録しなくてはなりません。

必要な記録事項は「労働開始の時刻」と「労働終了の時刻」です。この2つは、労働時間を把握するために記録します。会社に着いた時刻や、会社から出る時刻ではないため気をつけましょう。

遅刻、早退、中抜けをした時刻も記録する必要があります。遅刻・早退や欠勤の控除を行うのに必要なためです。

2.勤務時間・労働時間

就業規則や雇用契約によって定められた、始業時刻から終業時刻までのことを勤務時間といいます。

この勤務時間から、休憩時間を除いた実働時間が労働時間です。会社で定めている勤務時間が9時から17時までで休憩時間が1時間だった場合は、労働時間が7時間となります。

労働時間は、使用者の指揮命令下にある時間を指しており、着替えや掃除の時間、研修時間も含まれますので注意しましょう。

3.休憩時間

休憩時間については労働基準法で定められており、労働時間が6時間を超えた場合は45分、8時間を超えた場合は1時間です。

休憩時間は業務時間には算入できません。休憩中に電話番をした場合は「手待ち時間」であり、休憩時間とはなりませんので注意しましょう。

時給労働者の場合、休憩時間は給与計算の対象外となります。

4.時間外労働

時間外労働とは残業のことを指し、超過勤務とも呼ばれます。労働基準法に定められている法定労働時間である「1日8時間まで」「週40時間まで」を超過した分の労働時間です。

時間外労働に対する割増賃金率は、25%以上と定められています。時間外労働が発生した場合は、割増賃金が支払われるため「8時間+〇時間」と記録しましょう。

5.深夜労働時間

22時から翌朝5時までの深夜時間帯の労働は深夜労働時間と呼ばれ、時間外労働と同様に25%以上の割増賃金が発生します。

なお深夜労働時間と時間外労働時間が重なる場合は、さらに25%以上の割増となるため、合計50%以上の割増賃金が支払われる仕組みです。

6.休日労働時間

労働基準法第35条により、労働者に対して週に1回、または4週間で4回以上の法定休日を与えなくてはならないと定められています。

法定休日に就業した場合は休日労働となり、35%以上の割増賃金が給与に上乗せされる仕組みです。割増賃金の支払いを正確に行うため、基礎賃金とわけて記録しましょう。

7.有給休暇の取得状況

年次有給休暇とは、一定期間の継続勤務で取得できる休暇のことです。労働基準法第39条で定められている労働者の権利です。

働き方改革関連法により、2019年以降は有給休暇の取得が義務化されました。従業員に年に10日以上の有給休暇が付与されている場合、5日以上の有給休暇を取得させる必要があります。

「何日間の有給休暇をいつ付与し、いつ取得したのか」を従業員ごとに管理帳簿に記録しましょう。管理帳簿は3年間の保管が必要です。

8.勤務日数

勤務日数とは、従業員が業務を行うために職場に出勤した日数です。

通常は休暇を取得した日は勤務日数にカウントされません。しかし、有給休暇を取得したにもかかわらず、短時間でも出社した場合は勤務日数にカウントされます。休暇ではなく出勤日となるので会社にも、従業員の側にも認識が必要です。

9.欠勤日数

労働の義務がある日に休むことを欠勤といいます。

体調不良など従業員都合の休みであるため、給与計算には算入できません。欠勤控除を行う際に必要なため、欠勤日数を記録しておきましょう。

欠勤についてさらに詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。

「欠勤」については、こちらの記事をご確認ください。

勤怠管理を行う上での注意点



勤怠管理を実施する際は、注意点を理解した上で行わなくてはなりません。特に注意してほしい点は次の通りです。

欠勤理由を確認する

勤怠管理を行う際には、欠勤の理由を確認しましょう。労働者の都合により、出勤日と定められた日に休むことを「欠勤」といいます。

忌引きなど特別な理由がある場合は、欠勤には該当しないケースが一般的です。独立行政法人労働政策研究・研修機構のアンケートによると、民間企業の90.7%で「慶弔休暇制度」が設定されています。

また体調不良による欠勤では、診断書があれば病気休暇となり欠勤扱いにならないケースが多いようです。

欠勤の種類や理由、ほかの休み方との違いについて詳しく知りたい場合は「欠勤理由」の記事をご覧ください。

「欠勤理由」については、こちらの記事をご確認ください。

欠勤の場合には欠勤控除を行う

欠勤した日の給与を月給から差し引く仕組みが欠勤控除です。欠勤控除は、ノーワーク・ノーペイの原則(労働基準法24条)に従って行われます。時給制の場合は、勤務しない時間分はもともと加算されないため、欠勤控除は必要ありません。

月給制の場合は欠勤控除が必要なため、次の方法のどちらかを使用して算出しましょう。

方法 計算式
年平均の月所定労働日数を用いる方法 欠勤控除額 = 月給与額 ÷(年平均の月所定労働日数 × 欠勤日数)
当該月の所定労働日数を用いる方法 欠勤控除額 = 月給与額 ÷(当該月の所定労働日数 × 欠勤日数)

年平均の月所定労働日数を用いた計算式(上の方法)の方が控除額を算出しやすいため、一般的によく用いられています。

欠勤控除の計算方法や注意点について詳しく知りたい場合は、欠勤控除の記事をご覧ください。

「欠勤控除」については、こちらの記事をご確認ください。

6時間以上勤務のときは休憩時間が必要

「労働時間が6時間以上8時間未満の場合は、少なくとも45分の休憩を与える」と労働基準法第34条にて定められています。6時間ぴったりの場合は、休憩時間を与える必要はありません。

また8時間を超える勤務の場合は、少なくとも1時間の休憩を与える必要があります。

休憩時間のルールや特例について、さらに詳しく知りたい場合は、休憩時間の記事をご覧ください。

「休憩時間」については、こちらの記事をご確認ください。

テレワーク・リモートワークでの勤怠管理

コロナ禍以降、テレワークやリモートワークが広く浸透しましたが、在宅勤務ではタイムカードによる打刻は行えません。

そこで生み出されたのが、チャットツールのアクティビティログを勤怠管理に使用する方法です。また社内LANに会社外からアクセスするリモートデスクトップ機能を活用する方法もあります。

これらの方法以外に有効なのが、勤怠管理システムの導入です。勤怠管理システムの中には、自分のパソコンやスマートフォン、タブレットから打刻できるタイプがあり、テレワークでの勤怠管理に効果的です。

勤怠管理を怠るとどうなる?

勤怠管理を怠った場合は、企業にリスクが生じる可能性があります。法律や制度的な面から解説するので、勤怠管理を行う際の参考にしてください。

従業員への安全配慮義務が欠ける

勤怠管理が適切に行われず過重労働が発生した場合、従業員の健康に影響が出るかもしれません。その結果、過労死などの労働災害を招く危険性があります。

また従業員への安全配慮義務が欠けると、メンタルヘルスの不調からうつ病を発症する可能性もあるでしょう。

時間外労働や休日出勤数を正しく管理し、従業員の健康を守ることが大切です。

給与未払いなどのトラブル

時間外労働を適切に管理できていない場合は、給与未払いの問題が発生するかもしれません。従業員から未払い残業代を請求されるケースが考えられます。

残業代未払いのトラブルが起こると、社内外の信頼を失う可能性が高くなります。企業のイメージダウンは免れず、業績悪化も想定されます。

労働基準法に抵触

労働基準法により、使用者は労働時間を適切に管理する責務を負わなくてはなりません。

労働基準法に違反している疑いがあると、労働基準監督署の調査が入ります。監査官が企業に臨検して調査を行い、違反が見つかった場合は是正勧告が行われる仕組みです。

是正勧告を受けたが改善されない場合は、労働基準法に違反したとして逮捕や起訴に移行します。罰則の内容は4段階に分かれており、懲罰や罰金が科せられるのです。

厚生労働省が公開するブラックリストに掲載され、社会的な評価も低下するでしょう。

まとめ

本記事では、勤怠管理の方法や管理項目、注意すべき点を解説しました。正しく勤怠管理を行うことで従業員の健康を守り、働きやすい環境をつくりましょう。

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