こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
21世紀型経営として企業にはパーパス経営が求められています。顧客や市場からの長期的な信頼を高めるうえでも、パーパスを重視した経営が大切です。本記事ではパーパス経営をすぐにでも導入したい企業向けに、パーパスの概念や必然性、成功につながる導入方法を解説します。
パーパス経営は自社の存在意義を社会に発信すること
パーパス経営とは、企業が自社の社会的存在意義を能動的に発信したうえで、ビジネスにつなげる手法です。パーパス経営は欧米の企業を中心にすでに導入されており、21世紀型経営にマッチした企業理念として日本でも注目されています。
パーパス経営は消費者の視点で考えると必要性が把握可能です。自社利益の追求のみを考える企業よりも環境や格差是正など国際的な課題に関心を払い、投資をする企業のほうが信頼につながりより安心できるでしょう。
消費者の視点で考えても、利益をひたすら追求する企業よりも環境や格差是正など国際的な課題に関心を払い、解決に向けてポジティブな投資をする企業のほうが信頼につながり、より安心できるでしょう。また、パーパス経営は投資家にとっても主要な関心事であり、パーパス経営の理念にそぐわない企業から投資資金が引き上げられる流れが加速しています。
このように、パーパス経営は企業単位の価値観にとどまらないことはもちろん、グローバルなニーズの中で生み出された必須の課題と言えるでしょう。
そもそもパーパスとは
パーパスの意味については、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授を務める名和高司氏が詳しく説明しています。名和氏は東京大学大学院からハーバード・ビジネススクールに渡って修士号を取得し、三菱電機やマッキンゼーなどトップ企業を渡り歩いた経営のエキスパートです。
名和氏は著書『パーパス経営』の中で、パーパス経営の目指すべき到達点を「志本主義経営」と定義しています。資本主義ではないため注意が必要です。志本主義経営は個々の従業員の志や内面に持っている情熱・ビジョンに価値を置いた経営を指します。
資本主義経営では、従業員の志を引き出しひとつにまとめることで組織の原動力になると名和氏は訴えています。
志本主義経営と資本主義経営は相反する概念です。利益追求を至上課題としてすべての従業員に共有する資本主義経営に対し、志本主義経営ではまず従業員個人の熱意や意欲、才能に焦点を当てます。そのため、ポテンシャルが最大限に発揮できる企業運営が実現可能です。
単なる利潤追求ではなく社会貢献の在り方を含めて評価されるため、企業はグローバルな課題により敏感でなくてはなりません。その意味では、志本主義経営はESGやSDGsとマッチする概念だと言えるでしょう。
志本主義経営のベースとなるパーパス経営は欧米の企業ではすでに一般化されています。さらに、欧米諸国のパーパス経営では、Purpose based management(パーパスに基づいた経営)やPurpose driven business(パーパスを原動力にしたビジネス)などの表現が生まれています。
パーパスが広がり始めた背景
パーパスがグローバル課題として重要視されている背景にあるキーワードは、以下のとおりです。
- SDGs
- サステナビリティ経営
- 市場のコモディティ化
2015年には国連サミットでSDGs(Sustainable Development Goals)が採択され、日本でもサステナビリティ経営が企業の課題として注目されました。また、顧客のニーズやライフスタイルの多様化・細分化によって市場のコモディティ化が加速し、企業が従来通りの方法で市場に商品やサービスを投入しても充分な付加価値が生み出せなくなっています。顧客の購買基準に企業の社会的責任が含まれているためです。
つまり、サステナビリティ経営は今やすべての企業に課せられた至上命題であり、サステナビリティ経営にマッチしない企業は容赦なく市場から淘汰されてしまいます。
サステナビリティ経営の実現には、その土台としてパーパス経営が必須です。資本主義経営を前提とした利潤追求ではサステナビリティ経営は達成できず、時代にマッチした新たな付加価値を提供できません。
パーパス経営は時代の変化によって生み出された概念であり、サステナビリティ経営実現のための絶対条件でもあります。
企業がパーパス経営を取り入れるメリット
数値的な利潤追求というビジョンを捨てた企業には、何が残るのでしょうか。こちらでは、企業がパーパス経営を取り入れるメリットを見ていきます。
社内の共通認識を持てるため意思決定がスピーディー
パーパス経営では従業員同士の共通理解や連帯感を重視するため、自然と社内に一体感が生まれます。すべての従業員がひとつの理念を共有し、共鳴しているため課題解決の際のスピーディーな意思決定が可能です。
また、課題に対する責任も従業員同士で分散しているため、すべての従業員が当事者意識を持って長期的な課題解決に取り組みます。そのエネルギーは企業を前進させ、新たな付加価値を生み出す原動力になるでしょう。
企業の団結力が高まる
パーパス経営の強みは、企業の強固な団結力です。環境や貧困層への配慮など、グローバル課題への貢献意識を個々の従業員が共有することで団結力につながり、プロジェクトごとの連帯意識が高まります。また、従業員の情熱や意欲など内面的な要素を引き出すことで、高いモチベーションが維持され、企業をより良い方向に前進させる原動力に変わるでしょう。
長期的な課題達成には数字による結びつきだけでなく、理念や志による連帯が不可欠です。
自社ファンの獲得・ブランディング
パーパスを意識した経営スタイルは、顧客や株主などのステークホルダーへのアピールにつながります。パーパス経営を徹底することでSDGsやESGなどグローバル課題への配慮を強く印象づけられるため、将来的な顧客獲得に効果的です。
グローバル課題達成の土台としてのパーパス経営に力を入れることで、潜在的なファン層から評価され、企業ブランディングにつながるでしょう。
パーパス策定のポイントは5つ
パーパス経営の成否はパーパスの質で決まります。こちらでは、パーパス策定の際に意識すべき5つのポイントを見ていきましょう。
社会の課題を解決できる内容
パーパス経営で企業に強く求められるのは、社会全体の普遍的課題の解決です。これまでのように新しい商品やサービスを投入し、自社の利潤を追求するだけでは顧客が離れ、やがて市場から淘汰されてしまうでしょう。今や顧客の多くが未来志向であり、新たな付加価値の提供にプラスして、社会的な課題解決への貢献度もシビアに評価しています。
長期的課題を段階的に解決する姿勢やプロセスを可視化して見せることが、パーパス経営の本質です。
自社の既存業務とつながる内容
パーパス経営と称していくら理想的な課題解決のビジョンを掲げたとしても、自社本来の業務とリンクしていなければ長続きしません。
良質なコーヒー豆の生産で知られる大手メーカーの例を見てみましょう。このメーカーでは、地球規模の気候変動が自社にとっての長期的な脅威になると見抜き、地球環境に配慮した活動の継続をパーパスとして取り入れました。
自社の既存業務と無理なくリンクする企業理念をパーパスとして据えると、従業員の共有がスムーズに行え全社レベルでスピーディーな意思決定が可能です。
自社の利益に結びつきやすい内容
パーパス経営では高い志が求められますが、ビジネスの一環である以上、理念だけでは一時的な理想論や自己満足で終わってしまいます。パーパスをビジネスのサイクルとして成り立たせるためには、利益確保の側面が不可欠です。
長期的な理念をパーパスとして取り入れつつ、利益を生み出す構造を合わせて構築することで持続可能性が高まります。
ステークホルダーから共感を得やすい内容
ステークホルダーは、企業イメージやブランディングを大きく左右する重要な要素です。社会的課題と密接に連動した指針をパーパスに掲げることで、対外的な評価・信頼性が高まり、潜在顧客の獲得につながります。
長期に取り組める内容
パーパス経営の核心は本質的な社会問題であり、長期的なスパンで取り組むべき課題です。一過性のブームで終わるような取り組みは、利潤追求型思考としてステークホルダーからネガティブな評価を受けるでしょう。
数十年先を見据えた長期的な課題をパーパスとして据えることで企業イメージが定着し、ターゲット層の拡大につながります。
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【次世代に企業をつなぐ】パーパス経営のはじめ方
パーパス経営を導入し浸透させるためには、入念な下準備が重要です。特に、旧来型の経営スタイルで成功を収めた企業は、パーパス経営の導入に時間を要する可能性があります。本章では、企業が新たにパーパス経営を導入するために必要なステップを見ていきましょう。
自社の歴史を振り返る
パーパス経営導入にあたっては、まず自社の歴史への深い理解が不可欠です。自社の歴史や風土とリンクしない形でパーパスを導入しても、一時的なトレンドで終わってしまいます。
特に、創業者の理念や志をさかのぼることで、企業が創業以来大切にしてきたビジョンが可視化され、企業の原点に沿ったパーパスが導入しやすくなるでしょう。もちろん、歴史的背景をそのままあてはめるのではなく、現代の市場動向や自社リソースを反映したパーパスへの柔軟なアレンジが必要です。
自社の強みを見出す
自社の歴史的背景から取り入れるべきパーパスが具体化したら、様々な手法を組み合わせて自社の強みを洗い出します。活用できる分析手法は以下のとおりです。
- 3C分析
- SWOT分析
- コンピテンシー分析
- ケイパビリティ分析
自社リソースや競合他社の動向を多角的な視点から分析することで、市場における競争優位性が可視化されます。自社の強みを活かせるパーパスを経営の中心に据えることで理念追求と利益追求がつながり、社会的に評価される企業に成長するでしょう。
顧客ニーズと自社の強みをマッチさせる
パーパスは顧客ニーズや自社の強み、世界情勢などによって決まります。顧客から求められていることと自社の潜在的優位性を無理なくマッチさせることで、市場に受け入れられやすくなり、パーパスの面でも評価されるでしょう。
軸となるパーパスが企業内で確立されていれば、全体として進むべき方向性が可視化され、顧客ニーズのめまぐるしい変化への柔軟な対応が可能となります。
自社業務枠への落とし込み
自社業務と無理なくリンクすることで、初めてパーパス経営は完成します。毎日の業務と連動していないパーパスは、単なるお題目にすぎません。策定したパーパスをすべての従業員で共有し、日々の業務と照らし合わせプロセスとして定着します。パーパスの定着には、時間をかけたヒアリングが不可欠です。
パーパス経営はSDGsやESGなど、グローバルな課題と密接に結びついています。たとえば、大手衣料メーカーの取り組みはパーパスの成功例として有名です。繊維の原産国の強制労働や低賃金などを解決課題として見据え、現地に快適な生産拠点を設けて労働環境を整えることで問題解決に尽力しています。このように、解決すべき長期的な課題を見据えつつ、自社本来の業務に理念を無理なく連動させたパーパスの策定および共有が重要です。
まとめ
今の時代、すべての企業にはパーパスに基づいた経営が求められています。従業員の理念や志を引き出し、パーパスとしてひとつにまとめることで企業活動の原動力が高まり、新たな付加価値の提供が可能となるのです。パーパスを正しく取り入れた企業は市場や顧客から高く評価され、競合他社への競争優位性を長くキープできます。
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