【完全版】360度評価に入れるべき9項目!作成における3つのポイントを解説


【完全版】360度評価に入れるべき9項目!作成における3つのポイントを解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。さまざまな人事評価制度がある中で、360度評価の導入を考えている企業が増えています。

一方で360度評価を導入するにあたって、具体的にどのような項目を入れるべきか悩まれている方は多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、360度評価が各社で導入される背景や必要な項目、作成する際のポイントなどについて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

360度評価とは?導入される背景も解説

360度評価の導入を検討するにあたって、まずはどのような評価体制なのかを確認しましょう。各社で360度評価が導入されている背景も解説しますので、自社に適した評価体制なのかを今一度精査する参考となれば幸いです。


360度評価とは

360度評価は上司だけでなく、同僚・部下や他部署の社員など複数人で社員を評価をする方法で「多面評価」とも呼ばれています。


立場の異なる複数人が評価するため、他の制度より公平性・客観性を確保することが可能です。フィードバックも多様なものとなるため、より多くの気づきが得られて成長スピードも早くなります。


ただし「適切な評価者の選定が必要となる」「各評価者の回答を集計するまでに時間がかかる」などが課題としてあげられます。


360度評価が導入される背景

360度評価が導入されるようになった背景には、近年、組織構造が年功序列から成果主義に変わる動きが活発化していることがあげられます。成果主義では社員の成果や能力、年功序列は勤続年数や年齢が重要な評価指標です。多くの企業が年功序列であったときには、上司1人のみが評価する体制で十分でした。


一方で成果主義では、成果や能力を正確に把握する必要があることから同僚や他部署の人など、普段から業務上で関わりのある人物からのフィードバックを得ることが求められます。そのため、360度評価が導入されるようになっていきました。


また、360度評価が導入される背景には働き方の多様化もあげられます。リモートワークの普及により、評価者である上司は部下の仕事ぶりを常にみることができません。上司1人では勤務実態やパフォーマンスの正確な把握が難しいことから、他の社員からの評価も取り入れる体制が必要になっています。


組織構造の変化と働き方の多様化によって、より正確性が高く納得感が得られる360度評価の導入が進んでいます。


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360度評価に入れるべき9項目

360度評価に含めるべき項目は、9つあります。


  • 課題把握・体系化
  • 業務思考能力
  • コミュニケーション
  • 判断力
  • 目標達成志向
  • 経営理念理解
  • リーダーシップ
  • 人材育成
  • 組織動機づけ


360度評価には以上の9項目を360度評価に含めることで、より早く確実に成長を促せる人材育成ができます。


課題把握・体系化

課題把握と体系化は、個人の問題解決能力や業務効率を評価するための重要な項目です。「課題把握」は、課題となっているポイントの発見やその原因特定を指します。「体系化」は課題解決に向け必要なリソースを配分し、解決策を実行に移す能力のことです。


この要素を360度評価の項目に落とし込むことで、以下のような評価項目となります。


  • 課題を発見してチームや社内に積極的に共有している
  • 課題解決に向け必要なリソースを確保して改善策を実践できている
  • 新しい情報を積極的に取り入れ活用している


課題把握と体系化能力は、トラブル解決や業務の質向上を図る上で欠かせない要素です。


業務遂行能力

業務遂行能力とは、日々の業務における計画力や作業スピードを評価する項目です。具体的には「計画の立案」「タスクの優先順位付け」「時間管理」「目標達成」の能力などが含まれます。


これらの能力のほかにも、突発的な仕事に対する優先順位付けなどの「柔軟性」を判断するための項目も必要です。


これらの要素を360度評価の項目に落とし込むことで、以下の下記のような項目として表されます。


  • 他の社員と協力して業務を遂行している
  • 業務の進捗状況を常に把握しながら、問題が発生したときに素早く対処している
  • 業務を遂行するための専門的な知識を持っている


業務遂行能力の評価は、社員の生産スピードと業務の質を向上させるために不可欠です。


コミュニケーション

コミュニケーション能力は、円滑な情報交換と関係構築に欠かせないスキルを評価する項目です。明確かつ素早い情報伝達や積極的な傾聴、適切なフィードバックなどが評価対象となるでしょう。


以上を360度評価の項目に落とし込むことで、以下のような評価項目として表されます。


  • 周囲の社員と協力しながら業務を遂行できる
  • チームや他部署の社員と雑談を含めた話をするなど社内の雰囲気作りを推進している
  • 横柄な態度や乱暴な発言で周囲を委縮させていない


コミュニケーション能力は、職場の協力体制と士気を上げるために重要です。

判断力

判断力は、迅速かつ的確な意思決定を行う能力を評価する項目です。正確な情報収集や論理的な分析、長期的な視点で意思決定を行う際に重要な能力となります。


判断力は、一般社員はもちろん重要な意思決定を求められることが多い管理職の評価では、必ず含めるべき項目です。


以上を360度評価の項目に落とし込むことで、以下のような項目として表されます。。


  • 必要な決断を先延ばしにしていない
  • 客観的に状況を判断して決がをできる
  • チームの意見やフィードバックも受け入れた上で判断できる


特に、創業初期企業は、素早い事業展開やそれに伴う判断力が重要です。そのため、ベンチャー企業や新規事業を担当する社員については、判断力を評価項目に含めましょう。


目標達成志向

目標達成志向は、設定された目標に向かって努力し、成果を上げる能力を評価する項目です。高いモチベーションや自己管理能力、困難な状況にも粘り強く取り組む姿勢なども評価対象に含まれます。


以上を360度評価の項目に落とし込むことで、以下のような項目として表されます。。


  • いかなる状況でも目標達成のために努力できる
  • 設定した評価項目を達成するために、情報収集や工夫を欠かしていない
  • ネガティブな発言や態度で周囲の士気を落としていない


目標達成志向は、与えられた業務やプロジェクトを完遂する責任感を意識させる評価項目でもあります。


経営理念の理解

経営理念理解は、企業のミッションやビジョン・バリューを理解し、それに基づいた行動ができているかを評価する項目です。「企業の方針や戦略を理解しているか」なども評価対象に含まれます。


経営理念の理解やバリューに沿った行動は、企業における理想的な人物像を体現する上で重要な要素です。


360度評価の項目に落とし込むことで、以下のような項目になります。。


  • 会社の戦略や経営トップのビジョンに共感している
  • 自身や部下がバリューに沿った行動を取れているか常に確認している
  • 経営理念に合致した行動目標や組織目標を打ち出せている


経営理念の理解を評価項目に加えることで、企業文化の醸成と組織の一体感を高める人材育成が可能になります。


リーダーシップ

リーダーシップは、チームを効果的に導き、目標達成に向けてメンバーへの動機付けを行う能力を評価する項目です。組織の方向性を示してメンバーを鼓舞し、困難を乗り越えるための指導力なども評価対象に含まれます。


リーダーシップについては、管理職を評価する場合はもちろん、部下を持たない社員を評価する際にも含めましょう。リーダーシップは、役職を問わず仕事をする上で重要な素養となります。自ら率先し、周りを巻き込んで行動する姿勢は、チーム全体の士気と業務効率を高めます。


新入社員にとっても、早い段階でリーダーシップを発揮できるよう育成していくことで、将来的に組織のマネジメントや事業展開などを行いやすくなるでしょう。


360度評価の項目に落とし込むことで、以下のような項目になります。


  • 適切なタイミングで部下をフォローできる
  • 周囲のメンバーのモチベーションを引き出せている
  • 部署関係なく、周囲を巻き込んで業務を遂行できる


プロジェクトを滞りなく進めるためには、リーダーシップを発揮する社員の存在が不可欠です。


人材育成

人材育成は部下や後輩の成長を支援し、組織全体のスキル向上に貢献する能力を評価する項目です。具体的には「部下・後輩へのフィードバック」「トレーニングの計画と実施」「キャリア開発のサポート」が評価対象に含まれます。


部下や後輩に対してどれだけ積極的に業務上のサポートを行い、具体的なアクションを通じて他者の成長を促進しているかが評価のポイントとなります。


360度評価の項目に落とし込むことで、以下のような項目になります。


  • 部下の仕事ぶりを観察し、必要に応じて適切にフォローしている
  • 部下の仕事に対して公正な評価とフィードバックしている
  • 部下の性格や能力に合わせた指導をしている


人材育成の能力は、組織の持続的な成長に欠かせない素養です。


組織動機づけ

組織動機づけは、組織全体の士気を高め、メンバーが一丸となって目標達成に向けて努力できる環境作りを行う能力を評価する項目です。協力体制の構築や、期待する成果を出させる能力も評価対象に含まれます。


360度評価の項目に落とし込むことで、以下のような項目になります。


  • 組織の士気が高まるよう参画意識を高めている
  • 目標達成に必要な組織計画や社内方針をチームや組織全体に共有している
  • チーム内で衝突があった際、改善に向けたサポートをしている


組織動機づけは、チームの結束力やメンバーのモチベーションを向上させるために重要な素養です。


360度評価の項目作成における3つのポイント

ここでは、360度評価の項目作成に重要なポイントを3つ紹介します。


  • 管理職と一般職で分けるh
  • 15分程度で回答できる量に抑える
  • 記述式の回答も用意する


360度評価の項目を作成する際は、これらのポイントを意識することで、より効果的な運用ができるようになります。


管理職と一般職で分ける

360度評価の項目は、役割や責任が異なる管理職と一般職で区別することが重要です。


管理職には「リーダーシップ」「戦略的思考」「チームビルディングの能力」が求められます。一方一般職では専門知識やタスク遂行能力、協力の姿勢が重視されます。そのため、各職位ごとにカスタマイズされた評価項目や質問表を作成しましょう。


役割ごとに異なる期待に応じた評価項目を設定することで、そのポジションにあった人材育成が可能になります。


15分程度で回答できる量に抑える

評価項目が多いと、評価者によっては回答に時間がかかる可能性があります。評価者が回答に追われてしまうと、評価やフィードバックの質が低くなる、回答が後回しになるといった可能性もあります。回答の質低下や遅延が発生すると、360度評価のスムーズな運用が妨げられてしまいます。そのため、想定回答時間は15分程度に抑えることが理想的です。


評価者の負担を減らすためには、質問表のレイアウトや質問文は見やすく簡潔になるように作成しましょう。


具体的には、質問をカテゴリーごとに整理し、各質問は短く簡潔な表現を使うようにします。また、質問の定期的な見直しも大切です。評価に不要な質問は削除することで、回答時間を短くして評価者の負担を減らすことにもつながります。


記述式の回答も用意する

記述式の回答を用意することで、具体的で詳細な意見や提案を収集できます。本人のフィードバックにもなるため、記述式回答は育成面でも効果的です。具体的なエピソードや具体例を通じて、評価対象者の行動や成果を詳しく理解できます。


ただし、記述式の項目が多すぎると回答者の負担となります。そのため、質問は全て記述式にするのではなく、重要な評価ポイントのみにとどめましょう。


まとめ

360度評価は、上司だけでなく同僚や部下など立場の異なる複数人からの評価を集める方法です。「評価に対する納得感が高まる」といったメリットがある一方で「管理運用コストが大きい」などのデメリットもあります。


また、立場の違う複数人に回答をお願いするため、収集まで時間がかかる傾向にあります。そのため、質問表や質問文は分かりやすく、評価項目は厳選し回答時間を15分程度に抑えられるような設計が望ましいです。


360度評価を導入し運用するまでには、目的の明確化や評価項目の作成、評価者の決定など様々な業務が必要となります。データを活用した科学的な人事業務が可能なツール「タレントパレット」なら、運用中の評価シートを元に、360度評価やコンピテンシー評価など、幅広い人事評価を簡単に実施できます。


アンケート機能を用いることで、社員のモチベーションやエンゲージメント状態の把握も簡単です。

360度評価の導入を検討されている方や、その他人事評価業務でお悩みのある方は、ぜひ「タレントパレット」の導入をご検討ください。


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