エンジニアの評価制度の特徴
評価制度を作成する際は、「能力評価」「業績評価」「情意評価」という3つの評価基準を設けるのが一般的です。エンジニアの評価においては、この3つの評価基準はどの様な項目が当てはまるのでしょうか。一口にエンジニアと言っても、業務や役割は様々ですが、ここでは、例としてITプログラマーを対象とした場合の評価項目をご紹介します。
能力評価
能力評価はエンジニアに対する評価の中でも最も重要なものです。プログラミングスキル、資格、使用可能言語、コーディング知識、ハードウェア・ネットワークに関する知識、作業スピード、作業の正確性、技術的独創性などが該当します。
業績評価
対応案件数、納期遵守率、具体的な成果物の数・質、目標に対する達成度などが該当します。
情意評価
勤務態度、チームメンバーなど周囲との協調性、新しいスキルや技術知識への習得意欲、社内外への情報発信力などが該当します。能力評価や業績評価では評価しづらい、開発の結果だけではなく、業務に対する姿勢や努力などのプロセスへの評価もここに含まれるでしょう。
エンジニアの評価制度の作成方法
エンジニアの評価制度の作り方について説明します。以下の3つを決めていくことが基本となります。
評価目的を決める
まず、評価制度を取り入れエンジニアの評価を行う目的を明確化します。通常、それぞれのエンジニアに対し正当な評価を行い、適切な報酬を与えることが第一の目的となるでしょう。その目的がしっかりと達成されれば、エンジニアの満足度も上がり、離職率を下げることができるはずです。
また能力と紐付いた評価により、それぞれの能力などをデータベースなどで管理することで、エンジニアの最適配置やプロジェクトメンバーの選出にも役立てることができます。これらも目的として認識しておくべきでしょう。
さらに、それぞれのエンジニアに不足しているスキルや知識があるのであれば、今後の教育・育成の方針を立てることに役立てることができます。つまり、エンジニアの育成や組織力の向上なども、評価の目的とすることができます。
評価基準を作る
次に、「能力評価」「業績評価」「情意評価」などの評価基準を作成します。エンジニアの場合、能力評価を基礎能力と応用能力などで2つ程度に分けるなど、従来の評価制度を応用した制度の導入も考えられます。
評価項目を決定する
さらに、評価基準ごとに細かい評価項目を決めていきます。上ではプログラマーの場合で説明しましたが、SE(システムエンジニア)やPM(プロジェクトマネージャー)の場合は当然、評価項目も変わってきます。プロジェクト管理能力、コミュニケーション能力、折衝力、要件定義能力、設計能力などが求められることになるでしょう。
エンジニアの評価制度の作成で気をつけること
エンジニアの評価制度を作成するときは、以下のポイントに気をつけることが大切です。
知見の共有も評価基準にする
エンジニアの仕事は自分の業務のみに専念して結果を出せば良いというものではありません。業務を通じて得た知見やノウハウを積極的にチームや社内で共有することで、チームや会社全体の技術力が向上します。組織全体の技術力向上を目的の1つとするのであれば、知見の共有を積極的に行っているかどうかも評価の対象とするべきでしょう。
現場とコミュニケーションを取りながら作成する
エンジニアの評価制度は現場の意見も取り入れながら作成することが非常に重要です。そもそもエンジニアの評価を非エンジニアが行うことはかなり難易度が高く、最も正しい評価ができるのは同じ仕事をしているエンジニア同士だともいわれます。評価制度の詳細は現場のエンジニアの意見をヒアリングして決める必要があります。評価そのものもエンジニアである上司やリーダーの他、同僚や先輩・後輩からの評価も取り入れる(いわゆる360°評価)などの工夫が求められます。
エンジニアは職域によって必要とされるスキル・言語が異なる
同じプログラマーであっても、システム開発とスマホアプリ開発、WEBアプリ開発では必要とされるスキルや言語が異なります。SEやPMも同様です。その違いは「能力評価」「業績評価」「情意評価」のいずれにも関わってくるでしょう。
一般的なエンジニアの評価項目は参考程度にとどめ、あくまで自社のエンジニアの場合にはどんな評価項目を設定するのかをしっかりと考えることが求められます。また同じ社内のエンジニアであっても、担当する職域が異なるのであれば、別々の評価項目を設定することが必要です。
エンジニアの評価制度には、「いかに正当な評価ができるか」が何よりもまず問われます。エンジニア自身が納得できるような評価制度を構築できれば、エンジニアのモチベーションも上がり、定着率も上がることが期待でき、評価制度自体が会社にとっての大きな強みになるでしょう。
まとめ
評価制度への納得度は、社員のモチベーションにも大きく関わります。社員の意見も参考にしながら、より効果的な制度の作成を目指しましょう。
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