スキルセットとは
スキルセットとは、業務を進めるために必要な個人の能力や資質、経験などの組み合わせです。スキルセットは、職種により異なります。
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「スキル」と「スキルセット」の違い
スキルが能力を単体でとらえるのに対し、スキルセットは、複数のスキルを組み合わせてセットで考えます。必要とされるスキルが複数あるためです。
スキルセットの種類
スキルセットには、ソフトスキルとハードスキルがあります。両方をバランスよく身につけることが重要です。
ソフトスキル
ソフトスキルとは、自分の持つ技術を発揮するために必要なスキルのことです。業界や職種に関わらず求められるソフトスキルには、以下のものがあります。
・タイムマネジメント能力
・コミュニケーション能力
・リーダーシップ
・論理的思考力
・想像力
・傾聴力
・問題解決能力
・決断力
ハードスキル
ハードスキルは、業務に必要な専門的な能力や知識です。研修や業務を通じて習得できるハードスキルの一例には、以下のものがあります。
・プログラミングスキル
・会計処理能力
・データ分析力
・デザイン力
・ライティング能力
・マーケティング能力
・語学力
人材育成とは
続いて、人材育成の目的や手順について詳しくご説明します。
人材育成の目的
企業における人材育成の目的は、社員ひとりひとりの能力を高めることで、短期的には、生産性を上げて業績アップにつなげること、さらに社員のやる気を引き出し、社員満足度も上げることにあります。そして中長期的には、企業や組織の将来を担うリーダーを育てることまでが、人材育成の目的に含まれます。
人材育成の手順
人材育成には時間や手間を要しますが、論理立った手順を踏んで進めることで、効率よく効果を上げることが期待できます。
1.社員の業務内容、労働時間など現状の分析、課題を把握する
まずは現状の分析からスタートします。社員の業務内容、労働時間の配分、それぞれのポジションに必要なスキルの持ち主が配置されているかなどを調査します。そこから、事業の生産性や効率、社員満足度との関連を分析し、現状における人材育成の課題を把握します。
2.事業戦略や経営ビジョン達成のために人事戦略を策定する
人事戦略は、事業戦略や経営ビジョンを達成するために必要な人材を確保・育成・配属するための戦略です。つまり、人材育成は、人事戦略の一部でもあるのです。従って、人材育成は、人事戦略における人材の確保と配属とセットで考える必要があります。
3.スキルマップを作成する
スキルマップとは、社員が、その経験年数や役職に応じて必要とされるスキルを可視化した一覧表です。社員個々の習熟度や未熟な部分を客観的に把握でき、公平な評価と、必要とされる人材育成プランの策定に寄与します。
4.育成手法を決定する
人材育成にはいくつかの手法がありますが、大きくは、OJT(On the Job Training)とOff-JT(Off the Job Training)に分けられます。
OJTは実際の業務の中で、先輩や上司から教わりながら知識や経験を積み重ねていく方法です。実務の習得に効果的な方法で、多くの企業・組織が取り入れています。中堅やベテラン社員が若手を1対1で指導するメンター制度もOJTのひとつです。一方で、教える側の負荷が増えて現場の生産性が一時的に落ちる可能性があるのと、指導者によって内容の質にばらつきが生じがちであることには注意しなければなりません。
Off-JTは、業務外における教育の総称で、社内外の集団研修、自己啓発、eラーニングなどがあります。現場に負担をかけずに必要なスキルを体系的に学べるのと同時に、社外のOff-JTならば、さまざまな属性の人との交流を通じて視野を広げられるメリットもあります。一方で、Off-JTで学んだことは、必ずしも担当業務に直結するとは限りません。
OJTとOFF-JTのメリット、デメリットを理解した上で組み合わせると、高い効果が期待できます。
5.人材育成の実施
作成したスキルマップに沿って、社員個々の目標を設定します。目標は、社員ひとりひとりにとって適切で、内容が具体的で、かつ定量的な評価(売上、コスト削減など)が可能なものでなければなりません。
6.企業側、社員側2つの視点で効果を測定する
設定した目標に対して、定期的に効果の測定をします。人材育成における効果測定では、企業側と社員側の2つの視点が必要です。
企業側は、人材育成がどの程度企業の利益に貢献したかに着目します。人材育成にかけたコストの費用対効果を測定することで把握するのが一般的です。
社員側は、知識やスキルの習熟度、定量的な数値目標の達成度合いに加え、業務に対する満足度や意欲の向上などの項目も測定します。
7.スキルマップ、人材育成手法を見直す
効果の進捗度合によっては、スキルマップや人材育成の手法の見直しも必要です。
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ビジネスパーソンに必要な4つのスキルセット
スキルセットには、業種や職種を問わず、必要とされる4つのスキルがあります。それぞれについて、解説します。
基本スキルセット
基本スキルセットは、社会人としての常識やマナーなど、誰しもが身に付けておくべきものです。
基本スキルセットには、以下のものがあります。
・電話応対能力
・文章作成能力
・身だしなみ
・基本的なパソコンスキル
対課題スキルセット
対課題スキルセットは、課題を解決へと導く際に重要となるスキルの組み合わせです。スキルの例には、以下のものがあります。
・立案力
・分析力
・論理的思考力
・計画力
対人スキルセット
対人スキルセットは、人を動かすために必要なスキルです。チームワークを発揮するためのスキルの例は以下のとおりです。
・交渉力
・営業力
・リーダーシップ
・コミュニケーション能力
・プレゼンテーション能力
自己スキルセット
自己スキルセットは、自分自身をコントロールするために必要なスキルです。セルフマネジメントやモチベーション管理に必要なスキル例は以下のとおりです。
・体調管理能力
・ストレス対応力
・モチベーション管理力
・アンガーマネジメント能力
職業別習得するべきスキルセットの例
求められるスキルセットは職業によって異なります。ここでは、人事、マーケター、営業、デザイナー、エンジニアの4つの職業について、それぞれが身につけるべきスキルセットの例を解説します。
人事
人事は、社内のさまざまな部署の社員と接点を持つ部署です。スキルセットを向上させて、現場の課題の改善策を提案することが重要です。必要なスキルセットには、以下のものがあります。
・対人スキル
・マネジメント力
・ビジネスマナー
・情報収集力
・傾聴力
・課題解決能力
マーケター
マーケターは、商品やサービスの魅力・特徴をアピールして販売につなげる業務を担います。常日頃から情報収集するために、以下のスキルセットが求められます。
・マーケティング用語への知識
・パソコンスキル
・コーディングの理解
・情報収集能力
・データ分析能力
・企画立案能力
・創造力
・コミュニケーション能力
・プレゼンテーション能力
営業
営業の業務は、顧客のニーズや課題を聞き出し、課題を解決したり、希望を叶えたりする商品やサービスを提供することです。以下のスキルセットが必要です。
・コミュニケーション能力
・プレゼンテーション能力
・体調管理能力
・ストレス耐性能力
・論理的思考力
・マーケティング
・情報収集力
・分析力
デザイナー
デザイナーの仕事は、企業の抱える課題を解決するために最適なデザインを提案することです。必要なスキルは以下のとおりです。
・デザインの理解・知識
・企画立案能力
・プレゼンテーション能力
・スケジュール管理能力
・コミュニケーション能力
・ソフト操作スキル
エンジニア
エンジニアには、さまざまな種類があります。それぞれに求められる業務内容やスキルが異なります。各エンジニアに必要なスキルは以下のとおりです。
Webエンジニア
・プログラミング言語の理解
・コミュニケーション能力
・マネジメントスキル
システムエンジニア
・複数のプログラミング言語の理解
・プロジェクト管理能力
・リーダーシップ
サーバーエンジニア
・サーバーの知識
・課題解決能力
・立案力
ワークエンジニア
・機器やソフトウェアの知識
・開発能力
・対人スキル
スキルセットを向上させる方法
スキルセットを向上させるための取り組みについて、解説します。
研修を実施する
スキルを向上させる、新しいスキルを身につけるための研修を実施しましょう。研修の例は以下のとおりです。
・ビジネスマナー研修
・パソコン研修
・電話応対スキル研修
・ロジカルシンキング研修
・マネジメント研修
・プレゼンテーション研修
研修・セミナーは、1度に多くの社員に対して実施できることが強みです。
自身のスキルを把握する
高いスキルを身につけるためには、現状について知らなければなりません。得手不得手を分析し、自分が持っているスキルを整理しましょう。
スキルマップを活用して、スキルを可視化することも有効です。
マインドセットを調整する
スキルセットを身につけるためには、マインドセットを整えましょう。マインドセットとは、業務を遂行するために必要なパターンや思考法のことです。職種に則した考え方を身につけること
ができれば、必要なスキルを自然と習得できるようになります。
また、予想もしないようなトラブル、アクシデントが起きても、焦らず対応できる実践的なスキルが定着しやすくなります。そのためには、経験を積み重ねることが重要です。
人材育成に必要なスキルと身につける方法
人材育成においては、育成する側である現場のリーダーに一定の自覚とスキルがなければ十分な効果が期待できません。では、人材を育成する側には、どのようなスキルが必要なのでしょうか。
課題発見に関するスキル
人材を育成する側には、まずは職場の現状を的確に把握し、課題を発見するスキルが必要です。業務の実態と現場からのヒアリングにより、社員の満足度の把握や、必要とされる人材・スキルの洗い出しを行い、現状と照らし合わせた課題を抽出します。
目標設定と計画に関するスキル
正しく目標を設定するには、その社員の特性を良く見極めなければなりません。社員の長所を伸ばし、短所を克服すること、そしてチームや企業が掲げる計画とのバランスを考慮した目標を設定することが重要です。スキルマップを活用すれば、長所・短所が可視化できて分かりやすいでしょう。
指導に関するスキル
人材育成を行う指導者にとっては、何よりコミュニケーションスキルが重要です。社員のやる気や能力を最大限に引き出すには、一方的な指示やアドバイスをするだけではなく、相手の意見を尊重できなければなりません。教え導く「ティーチング」だけではなく、対話を通じて、相手に自発的な考えや行動を促す「コーチング」の要素も併せて取り入れると良いでしょう。
人材の抜擢に関するスキル
年齢や過去の功績、学歴などにとらわれず、優秀な人材を高いポストに抜擢するスキルもリーダーには必要です。社員の適性や能力を見極める力はもちろんのこと、選考のプロセスを開示して社内に不公平感を残さず、さらに抜擢から外れた人のケアまで気を配ることも、人材を抜擢するスキルのうちに含まれます。
まとめ
業務をスムーズに進めるためには、必要な個人の技術や経験などをまとめたスキルセットの活用が便利です。社員には、能力を発揮できるために必要となるソフトスキルと、研修や業務を通じて習得できるハードスキルをバランスよく身につけさせましょう。
そのためには、スキルセットを向上させるための研修やマインドセットと合わせて、人材育成にも取り組まなければなりません。人材育成には、科学的人事をワンストップで提供するタレントマネジメントシステム「タレントパレット」をご活用ください。あらゆる人材データを一括管理し、企業の成長や業務効率に役立てます。人材育成に役立つシステムやスキルマップについて知りたい人は、お問い合わせください。
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