人材アセスメントとは
「アセスメント(assessment)」には、評価や査定といった意味があります。従来は、開発事業や医療といった分野において、物事が周囲に与える影響を評価するという意味で使われていました。
一方、人材アセスメントは人事の分野で利用される手法です。人材アセスメントは、人材の資質や行動特性を客観的に評価し、すべての人材を適切な場所に配置することを目的として活用されています。
人材アセスメントが注目されている理由
人材アセスメントは欧米での軍隊における研究を起源としています。出自や階級で判断するのではなく、すでに備わっている能力を評価して任務に適した人材を見極めるために開発されました。終戦後、欧米の産業界を中心にビジネスシーンでも活用されるようになり、日本においては、バブルが崩壊してから活発に利用され始めたといわれています。
かつて日本では、定年まで1つの企業に勤め続ける終身雇用制度が多くの企業で採用されていました。年功序列がまかり通っていた時代においては、能力に関係なく在籍期間が長い社員ほど高く評価される傾向にありました。しかし、終身雇用制度が崩壊した現代の日本では、人材アセスメントで社員の能力を正確に評価することの重要性が高まってきているのです。
人材アセスメントに期待できる効果
ここからは、人材アセスメントを導入することで期待できる効果を4つ紹介します。
社員の能力を客観的に評価できる
人材アセスメントでは、第三者機関に依頼して社員の評価を行います。従来の上司による内部からの人事評価の場合、どうしても個人的な好みや偏見が評価に反映されてしまいます。人材アセスメントの導入によって、主観的ではない正確な評価が期待できるでしょう。
社員登用の精度が向上する
客観的な評価ができる人材アセスメントを活用すれば、社員の適性を正確に見極めることができます。その結果、各人材を適したポジションに配置できるようになり、昇進や昇格、採用などの精度が向上し、企業全体の業績拡大にもつながります。
潜在的な能力が発見できる
企業内では高い成果を上げている社員ばかりが注目されがちですが、それまで活躍の機会に恵まれず、埋もれている人材もいるかもしれません。外部からの評価によって、それまで見逃されてきた社員の潜在的な能力の発見につながる可能性があります。
社員のモチベーションが向上する
人材アセスメントの導入で社員は客観的で公平な評価が受けられるようになり、業務に対するモチベーションが向上します。また、評価結果のフィードバックを実施することで、各社員が目指すべき方向も明確になります。
人材アセスメントが活用できるシーン
ここでは、実際に人材アセスメントが活用できる3つのシーンを紹介します。
人事評価
人材アセスメントによって社員の管理能力などが客観的に評価できるようになるため、昇進や昇格の判断に役立ちます。
新卒採用
新卒採用で人材アセスメントを活用すれば、志望者の人材適性が事前に把握できます。その結果、入社後のミスマッチを避けられるようになり、早期退職などを防ぐことができます。
人材発掘
外部からの評価によって社員の新しい能力を発見することで、適切なポジションへの配置転換などに役立つ可能性があります。
人材アセスメントの代表的な手法
人材アセスメントの代表的な手法には3つのものがあります。ここからは、それぞれの特徴について解説します。
アセスメント研修
アセスメント研修とは、実際の業務のような状況において、社員がどのように行動するのかを評価する手法です。評価の専門家が企業側の意向を反映して評価項目を策定し、プレゼンテーションやグループワークを通して研修を進めていきます。この評価手法によって、社員の業務態度や職務能力などを測ることができます。
360度評価
360度評価は多面評価とも呼ばれ、上司だけではなく、同僚や取引先の人間などにも協力してもらい、多角的に評価を行う手法のことです。上司の主観によって評価が歪められるリスクが減り、より正確に人材の適性を把握できるようになります。
適性検査
適性検査はテスト形式で能力や性格、興味関心などを測定する手法で、数値化することで人材を定量的に評価できます。例えば、無料で受検できる「タレントパレット」の「TPI適性検査」では、自分の個性や適職を分析できます。400万のビッグデータをもとに正確な特性が把握できるので、企業の人事評価にも役立つでしょう。
人材アセスメントを導入するときのポイント
ここでは、人材アセスメントを導入するときのポイントを3つ紹介します。
目的を明確にする
人材アセスメントの導入にあたって、自社がどのような人材を求めているのか、理想の人材像を設定することが重要です。人材アセスメント導入の目的を明確することで、客観的な評価を最大限に活かせるでしょう。
評価項目を設定する
積極性や分析力など、職務ごとに必要な能力を評価項目として設定することも大切です。役職に応じた項目を設定しなければ正確な評価も役に立たないので注意しましょう。
結果を分析する
人材アセスメントで評価をした後は、その結果を分析して活用する必要があります。事前に評価結果について予測を立て、実際の結果と比較しながら改善点を洗い出してください。
人材アセスメント導入時の注意点
最後に、人材アセスメントを導入するときの注意点を2つ紹介します。
人間性は評価できない
人材アセスメントで評価できるのは、あくまでも職務上の能力のみです。人柄や価値観などの人間性までは評価できないため、評価ツールに頼りすぎないようにしましょう。
本来の能力を測れない場合もある
人材アセスメントを昇格のための試験のような位置づけにすると、社員が意気込んで本来の能力を測定できない場合があります。研修のような形にして、ありのままの社員の能力が測れるように工夫すると良いでしょう。
まとめ
人材アセスメントは社員の能力や適性を客観的に評価できる手法です。適切な方法で導入すれば人事評価や新卒採用でも大いに役立つため、利用を検討してみることをおすすめします。
プラスアルファコンサルティングの「タレントパレット」は、データ活用の視点からシステム設計がなされています。人事考課データと残業時間を掛け合わせて、高評価かつ残業時間が少ない人材などを抽出できます。多様な評価形式にも対応し、高評価の社員の特徴などを無料のTPI適性検査で分析可能です。
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