人材を適材適所に配置したい
「人材を活用する」といった時、経営者のアタマにまず浮かぶのは、「社員ごとのスキルやキャリア、志向に合わせ、最高のパフォーマンスを発揮してくれる役割を与えて、組織としてのパフォーマンスを最大化する」ということでしょう。
スマート人事であれば、人材データのプラットフォームであるタレントマネジメントという武器があります。そこには、社員の経験や知識、保有している資格、やりたい仕事や将来の夢といった詳細なデータが入っています。そして、「新事業開発のプロジェクトチームをつくりたい」「海外拠点立ち上げのメンバーを募集したい」「マーケティング部門を強化したいので、そこに適性のある人材を異動させたい」といった、経営者のリクエストに応じて、最適なメンバーをすぐに推薦できます。
アナログ人事はどうでしょう。「新事業開発のプロジェクトチームをつくりたい」「海外拠点立ち上げのメンバーを募集したい」「マーケティング部門を強化したいので、そこに適性のある人材を異動させたい」と経営者から要望されたら、「まずは各マネジャーに問い合わせて、適性のある人材や希望する人材がいるか、探してみます」と答えるでしょう。「メンバーを引っこ抜かれたら困る」と協力したがらない現場マネジャーをなだめすかしたりして、大変な時間をかけて、精密さに欠ける情報をもとにメンバーを推薦します。
社員の離職率を下げたい
そもそも人材が定着してくれなければ、活用することはできません。労働人口の減少は新規の人材採用をますます困難にしており、離職率を低減することは、経営の至上命題と言っても過言ではないでしょう。それを実行する最前線に立つのは、人事部門です。
スマート人事は、タレントマネジメントに過去の離職者のデータを記録させており、その解析に基づいて、施策を立案できます。「社内チャットのログデータの解析によれば、離職者は、離職を会社に申し出る半年前~1年前に、上司のマネジメント能力に疑問を投げかけるような会話を同僚としているケースが多い。そのような会話をしたメンバーに対しては、“上司の上司”がメンバーとも上司ともこまめにコミュニケーションをとり、両者を仲介する動きをする」。科学的に根拠のある、合理的な施策を講じることができ、離職率を低減できます。
アナログ人事の場合。「離職率を下げたいんだが」と経営者から言われたら、「わかりました。私が若いメンバーともっと飲みに行くことにします」。効果がゼロとは言いませんが、まったく非科学的です。
採用のミスマッチを防ぎたい
超売り手優位の採用市場でなんとか勝ち残り、やっと採用した人材がほんの数ヵ月で「思っていた仕事と違う。辞めます」と。これほど徒労感を味わう瞬間もないでしょう。「活躍してくれる人材だけを採用したい」というのは経営者の切なる願い。人事部門にそのための行動を求めることになります。
スマート人事にはタレントマネジメントがあります。これまでの採用活動と入社後のパフォーマンスについてのデータが入っています。そこから、入社後に活躍している人材は、「どんなキャリアの持ち主か」「エントリー書類にどんな記述があったか」「面接官は誰で、どんな面接ログを残しているか」「どの人材紹介会社の推薦か/どんなセミナーで出会ったのか」といったことを解析できます。こうした「活躍人材の共通項」を満たしている求職者に、面接官として好成績を上げている人材をあて、「絶対に獲得しにいく」という動きをしていくことを提案できます。これにより、科学的にミスマッチ採用を防止できるのです。
「わかりました。私が面接で、もっと人材を見極めるように、がんばります」。アナログ人事はそう答えるでしょう。ベテランの人事なのであれば、自社に適合する人材を見極める能力はそれなりにあるでしょう。でも、採用競争が激化しているいま、面接で必要なのは「人材の見極め」よりも「人材のひきつけ」です。見極めに時間をかけているうちに、自社の魅力を求職者に伝えるのがおろそかになってしまいがち。面接した人材が入社に至る割合が低下するでしょう。それでも採用目標数を達成するには、面接する求職者の数を増やすしかありません。募集コストの増大と、人事担当者の疲労蓄積が心配です…。
計画的に優秀人材を育成したい
首尾よく人材を採用できたら、ハイパフォーマーに育成する役割を人事は求められます。なかなか人材を採用できない時代ですから、既存社員のパフォーマンスレベルを引き上げることは重要な経営課題。このリクエストに、スマート人事とアナログ人事はどうこたえるでしょうか。
「新卒のA君はBマネジャーの下に配属し、○○社の研修を入社半年後に受けさせましょう。中途入社のCさんは、すぐに○○社の研修を受講させた後、D課長にマネジメントしてもらいましょう」。スマート人事にはタレントマネジメントという武器があります。現に活躍しているメンバーが、「入社時点ではどんなレベルにあり、誰にどんなマネジメントを受け、どんな研修を経たのか」のデータがあります。ハイパフォーマーへといたるコースが解析できているのです。それに沿って育成案を提出。成果を上げることができます。
一方、アナログ人事の場合。「最近、○○社の研修が評判いいみたいです。ウチもやってみましょうか」。その研修が本当に自社のメンバーに適合するかどうかは、「やってみなければわからない」。とても計画的に育成することはできません。
ガラケーからスマホへ
いかがでしょうか。スマート人事とアナログ人事とでは、これだけ大きな差があります。まるで、「スマートフォンを駆使している人」と「ガラケーをいまも使っている人」レベルの差です。個人がガラケーを使うかどうかは趣味の問題ですが、ビジネスでは致命的。さて、あなたの企業の人事はどちらですか?