1on1ミーティングとは
1on1ミーティングとは、上司が部下の育成やモチベーション向上を図るために実施する個人面談です。定期的に上司が部下の現状をヒアリングし、今後のキャリアや目標について話し合います。また部下の実績や成果についてフィードバックを行い、成長を促す目的もあります。
1on1ミーティングを通して個人のモチベーションを高めたり、成長を促したりしながらチームのパフォーマンス向上にもつなげる点も狙いの1つです。1on1ミーティングの目的について、次項でさらに詳しく解説します。
1on1ミーティングの目的
1on1ミーティングの目的は次のとおりです。
・エンゲージメントの向上を図る
・管理職におけるマネジメント能力の向上を図る
・チーム内にコミュニケーションの機会を作る
・社員の自己成長を促す
それぞれについて詳しく解説します。
エンゲージメントの向上を図る
1on1ミーティングを実施して上司と部下が話し合う場を作ると、社員全体のエンゲージメント向上につながります。企業におけるエンゲージメントとは、会社に対する愛着や思い入れです。社員のエンゲージメントが高いと、優秀な人材の流出を防げます。さらに社員が企業の目標達成にコミットするようになり、企業経営にもプラスの影響をもたらすでしょう。
管理職におけるマネジメント能力の向上を図る
1on1を実施すると、部下への接し方について管理職の立場にある社員の内省を促せます。上司が1on1ミーティングをとおして部下との関わり方を振り返ると、管理職クラスにある人材のマネジメント能力の向上につながります。
また、1on1ミーティングでヒアリングに集中する時間を設けると、部下について理解しようとする精神を育めるでしょう。上司と部下との間に信頼関係が醸成され、精神面でも部下をフォローできるようになります。その結果、組織全体のマネジメント品質の向上が可能です。
チーム内にコミュニケーションの機会を作る
1on1ミーティングは、チーム内にコミュニケーションの機会を作ることにもつながります。就業中に上司が部下の近況を丁寧に聞く機会は、それほど多くはありません。
かつては上司と部下が終業後に、飲食店で酒を酌み交わしながら個人的な会話する光景がみられました。しかし現在は、上司と部下がプライベートの時間に個人的な話をする機会が減少しています。そのため1on1は、以前にも増して重要なコミュニケーションの機会といえるでしょう。
社員の自己成長を促す
1on1ミーティングは社員の自己成長を促すためにも重要です。若手社員が自分の失敗について上司とともに振り返ったりフィードバックを受けたりすると、自分が気づかなかった課題を発見できます。
若手社員が課題を発見するためには、失敗した原因について理解を促せるような1on1ミーティングを実施することが大切です。ただ単に部下の誤りを指摘するだけでは、自己成長を促せないでしょう。社員が課題を把握できると今後の業務にも活かせるため、同じ失敗を繰り返しにくくなります。
さらに課題解決について上司のサポートを受ける安心感から、自身の能力やスキルを伸ばすことに集中できます。社員が自己成長するスピードを加速できるでしょう。
1on1ミーティングの進め方を5ステップで解説
1on1ミーティングは、次の5ステップで進めます。
- 1on1ミーティングの目的を共有する
- 1on1ミーティングの詳細を設定する
- 1on1ミーティングを実施する
- 課題を振り返る
- 1on1ミーティングの記録をつける
各ステップについて解説します。
1on1ミーティングの目的を共有する
まずは1on1ミーティングの目的を上司と部下で共有しましょう。目的を把握すると、お互いに話がかみ合わずムダなミーティングになることを避けられます。また人事評価が目的ではないことを伝えると、部下に安心感を与えられます。リラックスした状態で1on1ミーティングの臨めるため、部下も本心を話せるでしょう。
1on1ミーティングの詳細を設定する
次に具体的な日時や場所、話すテーマを決めるとよいでしょう。1on1ミーティングは多くの場合、職場の会議室や個室で行われます。プライベートについて話すこともあるため、外に音が漏れないような部屋での実施をおすすめします。
日時は上司だけで決めるのではなく、必ず部下の都合を聞くようにしましょう。互いのスケジュールをすり合わせて日時を決めることが、上司と部下の信頼関係を築くためには大切です。
1on1ミーティングを実施する
約束の日時になったら、1on1ミーティングを実施しましょう。当日はアジェンダに沿って上司が部下に質問を行い、ときにフィードバックをしながらミーティングを進めます。
部下がアジェンダを準備したほうが、主体となってミーティングに参加できます。しかし、部下が1on1ミーティングに慣れていない場合は、上司が簡易的なアジェンダを用意した方がよいでしょう。ミーティング中は部下が中心に話をして、上司はコーチングとフィードバックの手法を用い傾聴することが大切です。
課題を振り返る
1on1ミーティングでは課題や目標を確認して、過去の行動を振り返りましょう。部下の現状と過去の状況と比べると、成長の過程が分かりやすくなり、フィードバックにも活かせます。可能な限り目標と現状のギャップを数値で計測すると、具体的な改善計画を立てやすくなり、部下の成長にもつながります。
1on1ミーティングの記録をつける
1on1ミーティングで話し合った内容は、上司と部下の双方がいつでも振り返りをできる状況にすることが大切です。ミーティングで話した内容を記録し、次回までの行動計画を記録しておきましょう。
最近ではクラウドツールの利用もおすすめです。クラウドツールを利用すると、記録の管理や検索がしやすく、上司の異動が生じたときの情報の引き継ぎが容易な点が魅力です。
1on1ミーティング導入時の注意点
1on1ミーティングを導入する場合は、次の点に注意しましょう。
・導入の目的を明確にする
・他の人事施策と関連づける
・現場の管理職に1on1についてヒアリングする
・管理職に必要なスキルを習得してもらう
1on1ミーティングの導入を成功させるためにも、各項目をチェックしてみてください。
導入の目的を明確にする
1on1ミーティングを取り入れる前に、人事施策における導入の目的を明確にしましょう。つまり1on1ミーティングを通して、実現したいことをあらかじめ設定しておくことが大切です。たとえば次の目的が考えられます。
・上司と部下の信頼関係の強化に役立てる
・部下が設定した目標を振り返る機会を作る
・部下のキャリア形成をサポートする
目的を明確にすると1on1ミーティングで具体性のある話を展開でき、有益な時間を過ごせるでしょう。
他の人事施策と関連づける
1on1ミーティングを有効活用するためにも、面談や他のミーティングなどの現行の人事施策と関連付けましょう。たとえば、年に一度のキャリア面談と1on1を関連付けると相乗効果が期待できます。キャリア面談で決めた目標などを振り返る場として、1on1ミーティングを活用すると部下の成長を促せるでしょう。
現場の管理職に1on1についてヒアリングする
管理職クラスの社員に1on1ミーティングの進め方や内容についてヒアリングすると、現場のニーズに適した面談を実施できます。日常業務や目標設定の面談など、上司と部下が話す機会は1on1以外にもあります。そのようななかで、現場の管理職が1on1ミーティングをどのような場にしたいと考えているのかを把握することが大切です。
人事部は1on1ミーティングの導入自体が目的になることを避けるために、現場へのヒアリングを行い実効性のある面談を実施しましょう。
管理職に必要なスキルを習得してもらう
管理職が1on1に必要なスキルを習得すると、部下に対して効果的な面談ができます。1on1に必要なスキルは次のとおりです。
・ヒアリング
・コーチング
・ティーチング
・フィードバック
以上のスキルを学べるような管理職向けの研修を実施するのも1つの手段です。
まとめ
1on1ミーティングを実施する目的は、社員のエンゲージメントや管理職クラスのマネジメント能力を向上させることなどが考えられます。さらに、社員同士のコミュニケーションや自己成長を促す機会にもなります。1on1ミーティングを成功させるうえでとくに大切なことは、記録に残して上司と部下がいつでも確認できるようにしておくことです。
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