1on1ミーティングのやり方とは?意味や目的、効果を解説|具体的なテーマも紹介


1on1ミーティングのやり方とは?意味や目的、効果を解説|具体的なテーマも紹介

リモートワークの導入後に、上司と部下のコミュニケーション不足が浮き彫りになった企業は多いのではないでしょうか。そのような課題を解決したい場合は、1on1ミーティングを導入することも1つの手段です。

この記事では、1on1ミーティングが注目される背景やメリット・デメリット、ミーティングで話すべきテーマについて解説します。

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1on1ミーティングの概要

そもそも1on1とは、どのようなミーティングなのでしょうか。1on1ミーティングの概要と目的について解説します。


1on1ミーティングとは

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行う対話です。上司が部下の状況を把握したり、行動計画の立案をサポートしたりして、部下の1人ひとりに個別で対応します。上司が部下を評価するためではなく、部下の成長を促すために行われるのが一般的です。


1on1ミーティングの目的

1on1ミーティングの目的は、社員の自己成長を促したり、エンゲージメントを向上させたりすることです。部下にあたる若手社員の成長だけではなく、上司にあたる管理職クラスの社員がマネジメント能力を高める目的もあります。昨今は、上司と部下との間で減少したコミュニケーションを埋める機会にもなっています。


人事評価面談との違い

1on1ミーティングと人事評価面談は、目的や話す内容、実施頻度などが異なります。

1on1ミーティングの目的が部下の育成であるのに対し、人事評価面談は、部下の評価、管理が目標です。

1on1ミーティングでは、業務から雑談まで幅広い話題の面談が、週~月に1回実施されます。一方、人事評価面談の話題は、評価に関することや目標の進捗具合で、実施頻度は四半期または半期に1回が一般的です。

1on1ミーティングが注目される背景

1on1ミーティングが注目される背景として、現在の企業を取り巻く環境が影響しています。主な背景について5つ解説します。


リモートワークによるコミュニケーション不足が生じたため

リモートワークに移行した多くの社員が、上司や部下との間でコミュニケーションが取りづらくなったと感じています。上司と部下のコミュニケーションが減ると、信頼関係の構築がうまくいかない恐れがあります。


社員間の信頼関係は、社内風土や業務効率に影響を与える要素の1つです。健全な企業経営を維持するためにも、上司と部下のコミュニケーションは欠かせません。コミュニケーションの機会を意図的に作り出す手段として、1on1ミーティングが導入されようになったと考えられます。


企業を取り巻く時代の流れに柔軟に対応できる人材を育成するため

1on1ミーティングを実施すると、時代の流れに柔軟に対応できる人材を育成できます。現在は企業を取り巻く環境の変化が激しく、先読みが難しい時代です。そのため、まずは社員の1人ひとりが時代とともに変化する社会のニーズを捉えることが大切です。さらに、変化するニーズに対応できるスキルを身に付ける必要があると考えられます。


1on1ミーティングを定期的に実施すると、社員に継続な内省を促せるため、時代の変化に対応できる人材へと成長することをサポートできるでしょう。


人手不足への対応に迫られているため

現在の雇用環境では人材不足が課題であり、その対策に追われている企業も多いのではないでしょうか。また従来の終身雇用から成果主義へと移行するにともない、人材の流動化が進んでいます。


少子高齢化で人材が減り、人手不足に悩む業界も多い上に、転職や再就職が当たり前になりつつある状況です。そのようなか1on1ミーティングを実施して、組織の人間関係を良好にし、人材の定着率を向上させることが期待されています。


働き方が多様化したため

現在はテレワークの増加や副業の容認など、多様な働き方を認める流れが加速しています。さらに企業のグローバル化による外国籍スタッフの増加や女性やシニア層における労働人口の増加など、働く人材自体も多様化しています。


1on1ミーティングは、それぞれの社員に対し個別に対応が可能です。そのため、多様化した働き方のニーズに対応する手段として、1on1ミーティングが利用されています。


目標管理・人材育成のため

1on1ミーティングは、上司が部下の現状を把握して具体的な目標を描けるようにサポートする機会となります。また部下が主体となって上司と話し合うことで、実行性のある行動計画の策定や将来的なキャリアの検討が可能です。


さらに上司が備えている能力やスキル、知識、過去の成功経験・失敗体験などを伝えながら話し合うことで、部下の成長を促せます。1on1ミーティングで上司が個別に部下の行動計画の立案をサポートして、計画に沿った行動を促すことが人材育成につながると考えられています。


1on1ミーティングのメリット

1on1ミーティングを実施すると、部下の成長を促したり、上司が社員の状態を把握できたりします。さらに社員のエンゲージメントを高める効果も期待できるでしょう。ここから1on1ミーティングのメリットについて具体的に解説します。


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部下の成長を促せる

1on1ミーティングでは、「経験学習モデル」と呼ばれる社員の成長を促すためのフレームワークを、効果的に実践できる点が魅力です。経験学習モデルとは、自分の経験を振り返りながら学習を進めるプロセスです。次のサイクルを通して学習を進めます。


・経験をする

・内省する

・教訓を得る

・応用する


1on1ミーティングを通して日常業務のなかで経験したことを振り返り、そこから何らかの教訓を導き出すことで、社員の成長を促せるでしょう。


部下への理解度が向上する

1on1ミーティングでは、上司と部下が2人でじっくりと話をします。そのため、上司は部下への理解度が向上するでしょう。1on1ミーティングは、現場の声を直接聞く機会でもあります。的外れな指示により、部下とのあいだの行き違いを防げます。


上司が社員の状態を把握できるため、組織内の信頼関係が改善する

定期的な1on1ミーティングは、上司が部下の健康状態や悩みなどを把握する機会として、有効活用できます。1on1ミーティングで得た情報をもとに、組織内の人間関係や職場環境の改善を図ると、離職を抑える効果も期待できるでしょう。上司が部下をサポートしやすくなり、業務の効率化も図れます。


社員のモチベーションが向上する

1on1ミーティングで部下が上司に伝えた意見が、待遇や評価として反映されればモチベーションの向上につながります。部下は、上司が細かく自分をみてくれているとわかり、モチベーションが向上します。


社員のエンゲージメントが高まり、信頼感が醸成できる

1on1ミーティングで個別面談を実施すると、社員が会社から認められていると感じやすくなります。社員の承認欲求を満たすことで、会社への愛着や貢献意欲などのエンゲージメント向上が期待できるでしょう。また上司と部下の交流が促されることで、チームや部署の所属メンバーにおける信頼感の醸成にも役立ちます。

1on1ミーティングのデメリットと対策

1on1ミーティングにはデメリットもあるため注意しましょう。本項ではデメリットと一緒に対策も紹介します。


無駄な時間になることがある

1on1ミーティングの目的を見失うと、無駄な時間を過ごす恐れがあります。部下が1on1ミーティングを無駄な時間と捉えると、不満が出てくる可能性もあるため注意しましょう。1on1ミーティングを有効な時間にするためには、上司と部下が1on1ミーティングの目的を共有することが大切です。ミーティング後は、部下が行動計画に従って自走できる状態が理想です。


効果を実感するまでに時間がかかる

1on1ミーティングの効果は定量化しづらいため、有効性を実感しづらい点がデメリットです。さらに1on1ミーティングの効果が現れるまでには時間を要します。


有効性を実感しづらいうえに効果が現れるまでに時間がかかるため、定期的に継続することが難しい側面もあるでしょう。1on1ミーティングを続けるためには、実施する頻度や日時などのルールを決めて、企業文化として根付かせることも大切です。


引継ぎがうまくいかないことがある

上司や部下のどちらかが異動すると過去の記録が活用されずに、引継ぎがうまくいかないこともあります。また1on1ミーティングの目的や目標までの進捗などの確認を行わずに、惰性でミーティングを続けると形骸化する可能性もあるでしょう。


ミーティングの形骸化を防ぐ対策として、フォーマットを準備してミーティングのたびに記録する取り組みが考えられます。また引き継ぎの仕組みをきちんと作るために、HRテクノロジーの活用もおすすめです。


1on1ミーティングの実施手順

1on1ミーティングを実施する手順を、4つのステップで解説します。

1on1ミーティングを実施する理由、目的を共有する

1on1ミーティングを初めて実施する場合は、1on1ミーティングの目的や実施理由をしっかりと伝えましょう。事前に研修を行ったり、レジュメを作成・配布したりするなど、その意義を十分に浸透させておくことが重要です。

目的や理由を共有することで、社員は安心感が得られるため、スムーズな実施につながります。

スケジュールを決める

1on1ミーティングを実施する具体的な日時と場所を決定します。その際、上司のみで決めるのではなく、部下の意見も取り入れることが重要です。日程がまとまらない場合は、毎週火曜日、毎月第3水曜日など、定期的に開催する方法もよいでしょう。

ただし、場所は限定しません。話す内容により、その都度、適切な雰囲気の場所を選ぶことをおすすめします。

1on1ミーティングで話す内容・質問項目を考える

1on1ミーティングで話す内容や質問事項を決めます。事前に内容や質問が共有されていれば、1on1ミーティングの際に建設的な会話ができるでしょう。

メモの内容を振り返る

1on1ミーティングでは、話した内容はメモを取り、いつでも振り返れるようにしましょう。メモを残すことは、上司と部下の認識の齟齬を防ぐ意味でも効果的です。1on1ミーティングでの話をもとに、これからの対応・対策を考えます。部下が主体的に答えや方向性を導き出せるような上司の対応が求められます。

1on1ミーティングで取り上げる具体的なテーマ例

1on1ミーティングで取り上げるテーマとして、次の事項が考えられます。

・業務上の課題
・心身の健康状態
・プライベートでの出来事
・希望する今後のキャリア

1on1ミーティングで取扱うべき内容がわからない場合は、次項で解説する具体的なテーマ例を参考にしてください。


業務上の課題

1on1ミーティングで上司が部下に業務上の課題についてヒアリングすると、面談の時間を有効活用できるでしょう。


とくに上司が日頃から忙しくしている場合、業務でうまくいかないことを相談できない社員もいるのではないでしょうか。1on1ミーティングで上司が直接部下の相談相手になると、社員のモチベーション維持につながります。部下の業務における課題解決もサポートできるため、業務も効率化できます。


心身の健康状態

部下の心身の健康状態についても、1on1ミーティングでチェックできます。たとえば、チームや部署における人間関係の問題や、業務負担に関する偏りの有無を確認してみてはいかがでしょうか。とくにメンタル面の不調は突然の退職につながることもあるため、上司が部下の心の状態を把握することは大切です。


プライベートでの出来事

1on1ミーティングではハラスメントにならない範囲でプライベートについて話を聞いてみることもおすすめです。プライベートな話題は、1on1ミーティングの雰囲気を和ませるためのアイスブレイクとしても利用できます。


休日の過ごし方や趣味、最近気になっている時事ネタなどについて触れるとよいでしょう。部下のプライベートな話に触れる際は、その内容を上司が他人に漏らさないことを約束することも大切です。


希望する今後のキャリア

1on1ミーティングで上司が部下のキャリアにおける希望を聞き、積極的にサポートすると信頼関係を築ける上に、部下の成長を促せます。


部下の希望するキャリアが明確ではない場合は、まずは大切にしている価値観ややりがいについてヒアリングするとよいでしょう。ヒアリングした内容をもとに、社内でのキャリアについて一緒に考えると、部下のモチベーションアップにつながります。


1on1ミーティングの効果を高める方法

1on1ミーティングの効果を活かすためのコツを3つに分けて解説します。

コーチングの考え方を活かす

1on1ミーティングは、部下が自ら設定した目標を達成するために実行できることが重要です。部下の行動をサポートするために、上司にはコーチング力が求められます。コーチングとはコミュニケーションスキルの1つで、質問や対話を通して、部下に気付きや自主的行動を促す手法です。アドバイスをするのではなく、聞き手に徹しましょう。

知識やノウハウを伝えすぎない

1on1ミーティングでは、上司は部下に知識やノウハウを教えすぎてはなりません。自主性が育ちにくくなるためです。知識やスキルを教えるコミュニケーション技術であるティーチングは控えましょう。

ただし、部下が、まったく知らないことや、はじめての問題に直面している場合には、知識やスキル、ノウハウを伝えることも必要です。これにより、スピード感を重視しながら指導を行えます。

適切なフィードバックを行う

部下が自分自身の現状を把握できるように、改善策の提案やアドバイスを行いましょう。適切なフィードバックは、モチベーション向上につながります。ただし、信頼関係が構築できないうちにフィードバックを行うと、部下からの信頼を失いかねません。

上司には、部下の能力を引き出すために、部下が考えを整理するきっかけや、新たな気づきにつながるサポートが求められます。

1on1ミーティングが無駄にならないための注意点

1on1ミーティングの注意点を2つ解説します。無駄な時間とならないために、意識すべき点を知っておきましょう。

「話すことがない」といわれないように備える

1on1ミーティングでは、何を話すかを事前に決めておきましょう。話すことがない、話が続かないといった事態に陥らないためです。会話に詰まりそうなときは、過去のミーティングを振り返ることもよいでしょう。雑談やプライベートの話、健康状態のことなど、話しやすい内容を取り上げる方法も効果的です。

「はい」や「いいえ」で答えられる質問は避け、オープンクエスチョンを意識しましょう。「はい」や「いいえ」は、回答の自由度が低くなり、部下の率直な思いや考えなどが聞きにくくなるためです。

話やすい雰囲気づくりを心がける

1on1ミーティングは、部下の自発的な発言を尊重する「対話型のコミュニケーション」です。言いたいことが言えない雰囲気では、適切なマネジメントが行えません。話しやすい雰囲気を醸成するために、部下の話を丁寧に聞き、共感することが大切です。以下の点を意識しましょう。

・話しやすい時間帯や場所にする
・目を見て話を聞く
・リラックスしたトーンで話しかける

上司の態度も雰囲気づくりに欠かせません。受け止める姿勢を示すことで、部下も心を開きやすくなります。

まとめ

1on1ミーティングとは上司と部下で話をする個別面談です。ミーティングを通して、上司は部下の状況を把握したり、行動計画の作成をサポートしたりします。

1on1ミーティングを導入すると、上司の退職や異動時の引継ぎが課題になることもあります。引継ぎをスムーズにするためには、HRテクノロジーを利用してミーティングの記録を保存しておくこともおすすめです。

タレントパレットは、大手企業をはじめ、多くの企業に導入されており、コンサルティングの知見もあるHRテック企業です。
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