1on1ミーティングを実施するメリットとは?目的や必要とされる背景について解説


1on1ミーティングを実施するメリットとは?目的や必要とされる背景について解説

組織内における上司と部下のコミュニケーション手段として、「1on1ミーティング」に注目が集まっています。従来のミーティングや面談とは違った特長を持つ1on1ミーティングからは、多くのメリットが得られるでしょう。本記事では1on1ミーティングの概要と、社会的に必要とされている理由、導入時のポイントなどを解説します。

1on1ミーティングの基本的概要

1on1ミーティングの特長やメリットを理解するために、以下で基本的な概要について解説します。

1on1ミーティングとは「上司」と「部下」で対話をすること

1on1ミーティングとは、上司と部下の関係にある人が1対1で対話する手法です。個別にミーティングを実施することで、普段はいえないことも話しやすい環境を構築できるのが特長です。

日本においては「ヤフー」が導入したことがきっかけに話題となり、現在は多くの企業で実践されています。1on1ミーティングによって上司と部下の良好な関係性を築いたり、抱えている悩みの解決につなげたりといった効果に期待されています。

1on1ミーティングと人事評価の面談との違い

1on1ミーティングには、一般的に部下のキャリアに関する相談を受けたり、悩みを聞いてサポートしたりといった目的があります。部下の評価や管理を目的とする人事評価の面談とは、方向性が異なる点に注意が必要です。

また、人事評価の面談と違って双方向のコミュニケーションが重視されることや、業務外の会話や相談なども重要な話題となる点が1on1ミーティンの特長です。

1on1ミーティングが注目される背景

1on1ミーティングが注目されている背景には、以下で紹介するような理由があります。

モチベーションの向上や今後の成長につながる

1on1ミーティングは、部下のモチベーションアップや成長につながる点で注目を集めています。上司と一対一で対話することで仕事の悩みを解消できたり、自分のやりたいことを伝えて実現につなげたりできる可能性があるでしょう。

部下が上司に自分の気持ちを伝えるための機会として利用できることが、注目されている理由の1つです。

VUCA(ブーカ)の時代に対応する手段となり得る

VUCA(ブーカ)とは、将来の予測がしづらいこと・時代背景を指す言葉です。VUCAによって多くのことが変動する現代において、1on1ミーティングで部下に「自分で考えさせる能力」を促進させる企業が増えている点も注目度を高めている理由になっています。

自己判断で行動・決定できる人材を育てることで、上司の指示がなくてもスピーディに環境に適した仕事ができるチームを構築できます。VUCA時代にも柔軟に対応できる企業として確立するきっかけになるため、1on1ミーティングを導入するケースも増えているます。

1on1ミーティングを実施するメリット

1on1ミーティングを実施することで、社員・企業にさまざまなメリットがあります。

1on1ミーティングのメリット①部下の成長を促せる

1on1ミーティングの機会を定期的に設けることで、部下に自身の失敗や成功の体験を振り返る時間を提供できます。上司によるアドバイスも同時に行えるため、課題の発見と解決を進めて自己成長を促せるのがメリットです。

1on1ミーティングのような機会がないと、部下の自主性に任せる部分が多くなってしまいます。成長意欲の高い社員ばかりではないため、1on1ミーティングで成長の機会を作るのがポイントです。

1on1ミーティングのメリット②部下を理解しやすくなる

1on1ミーティングを定例化することで、上司は部下をより深く理解しやすくなります。年齢の離れた部下とどのようにしてコミュニケーションを取っていいのか悩み、結果的に放置してしまう上司の事例も少なくありません。

1on1ミーティングを実施することで上司は部下を理解する時間を確保できるため、適切なコミュニケーションの方法を選定できるのもメリットです。

1on1ミーティングのメリット③信頼関係の構築につながる

1on1ミーティングによって「腹を割って話す習慣」ができれば、上司と部下の間に信頼関係が構築されます。一方で、上司と部下の関係が悪いと仕事の連携に支障が出る恐れがあります。

1on1ミーティングによってお互いのことを理解し合い、信頼するきっかけを作るのがポイントです。

1on1ミーティングのやり方

1on1ミーティングを導入するのなら、基本となる流れやポイントを把握しておくのが重要です。

1on1ミーティングの目標を決める

1on1ミーティングをはじめるのなら、まず目標を設定します。何のために1on1ミーティングを行うのか、具体的にどのようなことを達成したいのかを分かりやすい形に言語化するのがポイントです。

1on1ミーティングの目標として設定したものは、部下に周知して理解を得る必要があります。上層部や上司だけが納得している目標では、部下が付いてきてくれない可能性が懸念されるでしょう。1on1ミーティングに参加する人全員が納得できる目標を設定できるように、繰り返し話し合いをするのが重要です。

部下ごとに1on1ミーティングのスケジュールを設定する

1on1ミーティングを実施するタイミングを、部下ごとに設定するのが基本です。「週に1回」といった形式ではなく、「◯曜日の〇〇時〜〇〇時まで」と具体的に決めることで重要性を強調できます。

スケジュールはなるべく部下に合わせ、仕事などで都合がつかない場合には臨機応変に別日に変更しましょう。

1on1ミーティングの内容を記録する

1on1ミーティングで話し合った内容は、詳細に記録します。記録した内容は次回に活かせる情報となり、より建設的な話し合いにつなげることが可能です。

記録した内容は上司だけでなく部下も内容を確認できるように、クラウドやタレントマネジメントシステムなどで共有するのがおすすめです。必要なときに自由に閲覧できるように、事前に閲覧可能者を個別に設定しておきましょう。

1on1ミーティングで話すべき内容について

1on1ミーティングで実際に話すべき内容には、以下のパターンが考えられます。

現在感じていることや考えていることを聞き出す

部下が現在抱えている悩みや課題を知ることが、1on1ミーティングのポイントです。普段の業務に何を感じているのか、どのようなことを考えているのかを把握することで、問題の原因を洗い出して解決策の考案につなげられます。

部下から提案がある場合には、真剣に内容を聞いて実現に向けて話し合うことも重要です。

仕事以外の内容も積極的に話し合う

1on1ミーティングでは、仕事以外のことも積極的に話すのが特長です。趣味や家族のことなどを話し合うと、相互理解を深めるきっかけを作れます。

仕事以外の話題は部下の方から口にしづらい傾向にあるため、まずは上司から積極的に自分のことを語ってみるのがポイントです。

キャリアビジョンやスキルアップの相談

1on1ミーティングでは、部下のキャリアビジョンやスキルアップについての相談を受けることもあります。将来について何か考えていることがあるのかを聞き出し、可能な範囲でアドバイスをします。

部下に具体的なビジョンや目標がない場合には、自分の体験などを参考に将来設計を立てるサポートをすることも考えられます。無理に将来について考えさせるのではなく、あくまで部下が自主的に相談するように促すのが理想です。

1on1ミーティングを実施する際の注意点

1on1ミーティングによる効果を高めるには、いくつか注意しておくべき点があります。

部下の話を否定しない

1on1ミーティングでは、部下の話をすべて聞くことを心がけましょう。話の途中で内容を否定したり、自分の話で遮ったりすると、部下は心を開いて会話ができなくなります。

1on1ミーティングでは部下の話を最後まで聞いた上で、アドバイスをする流れを守るのがポイントです。

1on1ミーティングを部下にとっての「嫌な時間」にしない

ただ「1on1ミーティングを実施する」と伝えるだけでは、面倒に感じる部下もいる点に注意が必要です。どのようなメリットがあるのか、どうすることで有意義な時間にできるのかを説明し、部下にとって「嫌な時間」にしない工夫が求められます。

1on1ミーティングは継続する

1on1ミーティングは短期集中ではなく、中長期的に継続するのが基本です。複数回の話し合いを続け、信頼関係の構築と部下の成長につなげていくのが目的になるでしょう。

1〜2回程度のミーティングを実施しただけで満足しないように、何度も繰り返し実施することを前提に計画を進めるのがポイントです。

まとめ

1on1ミーティングを実施することで、多くの効果が見込めます。しかし、正しい方法や注意点を理解していなければ、その効果を引き出すことはできません。こちらで解説した1on1ミーティングの基本を参考に、必要な準備と効果を出すためのポイントをチェックしてみてください。